底地の売却を完全ガイド!5つの売却方法と相場を徹底解説
底地の売却を完全ガイド!5つの売却方法と相場を徹底解説

目次
底地とは、借地権が設定されている土地のことです。
底地は完全所有権の土地と比べて自由に利用できないなど、いくつかの制約が設けられています。
こうした事情から、底地は売却できるのかどうか、判断がつかない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から言うと、底地の売却自体は可能です。
しかし、借地権者との権利関係が絡むことや、買い手が限定されることなどから、一般的に底地の売却は難しいと言われています。
この記事では、底地をスムーズかつ好条件で売却する具体的な方法や、地主が押さえておくべきポイントについてわかりやすく解説します。

底地の売却が難しい理由
底地の売却が難しい主な理由は、以下の通りです。
- 土地を自由に活用できない
- 収益性が低い
- 買い手が見つかりにくい
借地人が底地を使用しているため、地主は土地の所有者であるにも関わらず、土地を自由に活用することができません。
また、借地契約の内容によっては、物価や土地価格の上昇に対して適正な地代が設定されず、収益率が低い底地も存在します。
上記のような理由から、「底地を買いたい」という購入希望者を見つけることが難しいのです。
底地を好条件で売却したい場合は、底地専門の不動産会社に売買仲介を依頼するようにしましょう。
底地の売却方法と相場
底地の売却方法にはいくつかの種類があり、それぞれ相場が異なります。
こちらでは、具体的な売却方法とその相場について解説します。
底地の売却方法 | 特徴 | 更地と比較した売却相場 |
---|---|---|
借地人に売却 | 借地人の購入意思が必要 | 50%程度 |
等価交換し売却 | 借地人との手続きが煩雑 | 30~40%程度 |
底地・借地の同時売却 | 借地と同時に売却が必要 | 30~40%程度 |
投資家への売却 | 早く高額で売却できる | 30~50%程度 |
買取業者へ売却 | 早く売却ができる | 10%程度 |
借地人に売却する方法
底地の売却方法の1つが、土地を借りている人、つまり借地人に売却するというものです。
例えば、地主が所有している底地を貸し出し、そこに家を建てて住んでいる借地人に対して底地を売却するといったケースが考えられるでしょう。
底地の所有者にとっては売却が叶い、借地人にとっては、土地と建物が自己所有の完全所有権になったことで地代を支払う必要がなくなる=土地を自由に使えるようになるため、双方にとってメリットがあります。
地主からの提案で、底地を借地人に売却する場合の相場は、市場価格の50%程度とされています。
底地と借地権を等価交換して売却する方法
借地人と相談して底地と借地権を等価交換し、土地を分割して売却する方法もあります。

例えば、Aさんが底地100坪を、Bさんが借地権(借地面積100坪)を所有している場合、Bさんは50坪の借地をAさんに返還し、残った50坪の土地所有権をAさんからもらう方法で、お互いの権利をそれぞれ等価交換します。
等価交換する際には、土地の形や大きさ、既存物件がある場合は取り壊し費用の負担などの条件を調整し、合意が得られれば分筆が成立します。
等価交換によって借地権の付着した土地ではなく完全所有権になるため、底地のみで売却するよりも高値で売却できます。
相場は、分筆の結果どのくらいの大きさの土地となるかで決まるため、詳しくは査定を依頼して確認してください。
底地と借地権を同時に売却する方法
地主が所有している底地と、借地人が所有している借地権付き建物を、双方の同意があれば同時に売却することも可能です。
この場合、底地と借地権がセットとなった通常の不動産(完全所有権の不動産)として取り扱うため、需要も高く、市場価格で売却できます。
ただし、底地と借地権を同時に売却するには、借地人からの同意が必要です。
借地人が借地上の建物に引き続き住み続けたい場合、同時売却は難しいでしょう。
また、同時売却の場合、市場価格での売却となりますが、底地の所有者(地主)と借地人の間で売却金額を分配することになります。
分配比率の目安は借地権割合が目安の基準になるため、基本的には借地人の取り分の方が多くなります。
仲介業者を通して投資家に売却する方法
仲介業者を介して、投資家などの第三者に底地を売却する方法があります。
底地を第三者に売却する際、借地人の承諾は不要です。
借地人が家を建てて住んでいる場合でも、将来的に収益を上げる見込みがあると判断すれば、投資家は底地を購入します。
仲介業者は底地を買いたいと考えている買い手と底地を手放したいと考える売り手をつなぐ役割を担っています。
仲介業者が持つ”買い手ネットワーク”を駆使して買い手を探してきてくれるのが特徴です。
ただし、投資家が底地を購入しても借地権はそのまま存続し、底地所有者が土地を自由に扱えるわけではないため、底地価格は更地価格の15~20%程度が目安となります。
それでも、後述する買取業者に売却するよりは高く売れる可能性があります。
買取業者に売却する方法
買取業者への底地売却も選択肢の1つです。
底地の買い取りを専門としている買取業者も存在します。
底地は自由度が低いため、一般的に売却が難しいとされていますが、底地を専門としている買取業者であれば、比較的買い取ってもらいやすいでしょう。
ただし、買取価格は投資家に売却する場合よりもずっと低くなります。
価格の目安は市場価格の10%程度です。

底地を売却するメリット
底地を売却することで、地主は以下のメリットを得ることができます。
- 税負担の軽減
- 相続問題の解消
- 借地人とのトラブルからの解放
税負担の軽減
固定資産税や都市計画税は、土地を所有している限り毎年課税されます。
底地を売却することで、これらの税負担から解放されます。
特に、地代収入が少ない場合や、土地の評価額が高く税負担が重い場合には、大きなメリットとなります。
相続問題の解消
底地を相続する場合、相続税の負担が大きくなることがあります。
また、複数の相続人がいる場合、底地の管理や将来的な売却について意見が対立し、トラブルに発展する可能性もあります。
底地を売却して現金化することで、これらの相続問題を未然に防ぐことができます。
借地人とのトラブルからの解放
借地契約には、地代の滞納、契約更新時の条件交渉、立ち退き交渉など、さまざまなトラブルのリスクが伴います。
底地を売却することで、これらの借地人とのトラブルから解放され、精神的な負担も軽減されます。
底地を売却するデメリット
底地の売却には以下のようなデメリットも存在します。
- 売却手続きの煩雑さ
- 借地人とのトラブルのリスク
- 地代収入の喪失
売却手続きの煩雑さ
底地の売却は、通常の土地売却よりも手続きが複雑になる傾向があります。
借地権者との交渉や、場合によっては裁判所の手続きが必要になることもあり、時間と労力がかかります。
特に、底地が共有名義の場合は、共有者全員の同意が必要となるため、さらに手続きが難航する可能性があります。
借地人とのトラブルのリスク
底地の売却に際して、借地人の承諾は法的には不要ですが、売却方法や借地人との関係性によってはトラブルに発展する可能性があります。
例えば、借地人が土地の購入を希望していた場合や、新しい地主との関係に不安を感じる場合などは、借地人の意向を考慮した上で判断する必要があります。
地代収入の喪失
底地を売却すると、当然ながら毎月の地代収入が得られなくなります。
地代収入を生活費の一部に充てていた場合や、将来的な収入源として期待していた場合は、売却後の収入計画をしっかりと立てておく必要があります。
底地を売却する流れ
底地を売却する際の大まかな流れは以下の通りです。
- 不動産業者に相談し、土地を査定してもらう
- 販売活動の実施
- 売却条件の交渉
- 売買契約の締結
- 代金決済・引渡し
底地を売却する場合、まずは不動産業者に相談し、どのくらいで売れるのか査定してもらいましょう。
このときポイントとなるのが、底地を専門に扱う業者を選ぶことです。
底地を専門に扱う不動産会社には、買取業者と仲介業者の2種類があります。
不動産買取業者の場合は、自社で買い取りを行うため、査定金額がそのまま売却金額となります。
買い取った底地を高く売却することで転売益を得るため、買取業者の売却相場は低くなります。
不動産仲介業者の場合は、投資家などの第三者に売却するため、2週間ほど時間をかけて販売活動を行います。
底地の売買価格は、買取業者よりも仲介業者のほうが、高額になる傾向があります。
高く売りたい方は、仲介業者へ依頼することをおすすめします。
仲介業者へ依頼後、買い手が見つかったら売買条件を交渉し、合意できれば売買契約を締結しましょう。
交渉する際は、仲介業者を経由して行うことでトラブルも発生しにくくなります。
契約締結後は、契約書の内容に沿って決済と引渡しを行い売却が完了します。
なお、売り手は所有権移転登記などの書類を準備する必要があるため、忘れないように早めに準備を進めましょう。
底地を売却する際の費用と税金
底地を売却する際には、さまざまな費用と税金が発生します。
売主(地主)が負担する税金には、以下のものがあります。
- 登録免許税
- 印紙税
- 譲渡所得税
- 仲介手数料
- 測量費用
登録免許税
底地に抵当権が設定されている場合、売主は売却前に抵当権の抹消登記手続きを行う必要があります。
その際に、登録免許税がかかります。
納税方法は、金融機関などで現金納付し、その領収証書を登記申請書に貼り付ける形となります。
課税額は不動産1個につき1,000円で、金額分の収入印紙を申請書に貼り付けて対応してください。
なお、抵当権の抹消などを行う必要がない場合は、売主に登録免許税の負担はありません。
印紙税
印紙税とは、契約書や証書、受領書などの各種書類を作成する際に発生する税金です。
底地を売却する際には、売買契約書に貼り付ける印紙が必要です。
印紙税の納税は、収入印紙で行い、契約書に収入印紙を貼り付け、消印を押せば完了です。
なお、収入印紙はコンビニや郵便局、法務局などで購入できます。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、不動産売却に伴い発生する所得税と住民税の総称です。
譲渡所得税が発生するのは、不動産売却に伴い利益を得た場合のみで、利益がない場合は課税されません。
つまり、買い値より売り値が上回っていなければ納税義務は生じません。
また、譲渡所得が3,000万円以下の場合は免除申請(3000万特別控除)が適用されます。
仲介手数料
正確には税金ではありませんが、底地を売却するときに発生する費用の1つです。
底地を売却する場合、測量や契約書の作成、登記手続きなどが発生しますが、不動産仲介業者を介して契約を締結した場合、その手数料となるのが仲介手数料です。
不動産仲介手数料は、以下のように上限が定められています。
売買代金 | 仲介手数料(税抜) |
---|---|
200万円以下 | 売買代金×5%以内※ |
200万円超え ~ 400万円以下 | 売買代金×4%+2万以内※ |
400万円超え ~ 800万円以下 | 売買代金×3%+6万以内※ |
800万円超え | 売買代金 × 3% + 6万円 |
※2024年7月1日、宅地建物取引業者の報酬規定が改正され、低廉な空家等の売買(売買代金が800万円以下のもの)については、調査費用等を考慮し、売主から受け取れる仲介手数料の上限額が最大33万円(税込)に引き上げられました(特例)。これは、通常の計算方法で算出した上限額と比較して、高い方を上限とすることができます。
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測量費用
こちらも税金とは異なりますが、底地を売却するときには測量費用が発生します。
売買契約にあたって、底地の正確な面積や隣接地との境界線を明確にし、売買価格の根拠とするため、土地家屋調査士などに依頼して測量を行います。
特に、過去に作成された測量図が古かったり、そもそも存在しなかったりして境界が不明確な場合には、将来的な境界トラブルを未然に防ぐためにも、隣接する土地の所有者全員の立会いと確認を得て境界を確定させる「境界確定測量」を行うことが強く推奨されます。
測量にかかる費用は、土地の広さ、形状、隣接地の状況、依頼する専門家などによって変動しますが、原則として売主(=地主)が負担することになります。
底地を売却するときの注意点
底地売却にあたっての注意点は、以下の通りです。
- 底地の購入希望者は少ない
- 底地が共有名義だと売却が非常に困難
- 相続税が高くなる可能性がある
- 借地権の種類によって買取価格が変わる
底地の購入希望者は少ない
底地は、土地の所有者であっても自由に活用できないため、一般的な土地と比べると購入希望者が少なく、売却を希望してもすぐに買い手が見つからない可能性もあります。
そのため、売却を検討している場合は、底地専門の業者を活用しましょう。
専門業者であれば、借地人との間にトラブルが発生しているなど、一般的に買い手を見つけにくい底地でも取り扱ってもらえる可能性があります。
底地が共有名義だと売却が非常に困難
底地が共有名義の場合、名義人全員の同意を得られなければ底地全体を売却できないため、売却が困難になる恐れがあります。
共有名義とは、複数の名義人で所有している状態のことです。
底地の場合、相続によって兄弟・姉妹が複数人で所有するといったケースが考えられます。
例えば、長男が売却を希望しても次男と長女が反対していれば売却はできません。
共有名義は、売却以外にも、税金の負担割合などトラブルにつながりやすいため、早い段階で共有状態を整理する必要があります。
具体的な対策としては、他の名義人から持分を買い取り、単独名義にする方法が考えられます。
単独名義であれば、自分の意思のみで売却可能です。
相続税が高くなる可能性がある
底地を相続で取得した場合、相続税が高くなる可能性があるため注意してください。
底地をはじめとした土地の相続税は、道路ごとに設定された標準価格である「相続税路線価」をベースに算出されます。
土地の時価で相続税が決まるわけではないため、市場価格の10~20%程度でしか売却できないような底地でも、税金額が高くなる可能性があります。
そのため、底地を売却しても相続税を払えない相続人は負担が大きすぎて物納する場合も多くあります。
底地を相続する可能性のある方は、この点を考慮しておかなければなりません。
借地権の種類によって買取価格が変わる
底地の売却は、借地権の種類により難易度と相場が大きく変動します。
普通借地権の場合の買取価格
普通借地権は、借地借家法によって借地人の権利が手厚く保護されており、契約期間が満了しても、借地人からの更新請求があれば原則として契約が更新される権利です。
地主側から見ると土地の自由な利用や処分が大きく制限されることになるため、底地の売却価格は更地価格と比べて大幅に低くなるのが一般的です。
相場としては更地価格の1割~5割程度といわれることもありますが、これは地域や個別の契約内容によって大きく変動します。
定期借地権の場合の買取価格
定期借地権は、契約時に定めた期間(例えば50年など)が満了すると、更新されることなく借地関係が終了し、原則として土地が更地の状態で地主に返還される権利です(建物買取請求権を排除する特約が付いている場合)。
契約期間の満了が近づくにつれて、地主が土地を完全に自由利用できる時期が明確になるため、底地の価値は上昇していく傾向にあります。
満了間近のタイミングであれば、更地に近い価格で評価される可能性もあるでしょう。
使用貸借の場合の買取価格
使用貸借とは、親族間などで見られる、地代などを伴わない無償での土地の貸し借り契約のことを指します。
借地借家法の適用を受けず、借地権のような法的に強い権利は発生しません。
契約内容にもよりますが、貸主(地主)は借主に対して比較的容易に土地の返還を求めることが可能です(ただし、借主が居住している場合などは配慮が必要)。
そのため、土地に対する負担は借地権に比べて軽く、底地(負担付き所有権)の売却価格も更地価格に近い水準となることが期待できます。
ただし、実際に土地を使用している人がいる状態での売却となるため、買い手を見つけるのが難しいといった側面があります。
底地の売却に関するよくある質問
Q.土地の賃貸借契約書がなくても、底地を売却できる?
A.売却自体はできますが、契約書を紛失してしまうと租税関係では不利になることもあります。
不動産を売却し、利益が出た場合、譲渡所得税がかかる場合があります。
譲渡所得税は、
(売却価格 – 取得費 – 譲渡費用)× 税率 |
で計算されますが、契約書がないと、基本的には、ここの取得費が売却価額の5%として税額計算をすることになってしまいます。
ただし、このような場合でも、本来の取得費を算出するために証拠が集めることができれば、5%基準による税額計算を回避できる可能性はあります。
Q.底地を売却するときに借地人の承諾は必要?
A.底地との売却に関しては、民法上の規定がないため、ルール上は借地人の同意なしで地主は売却できます。
底地のみを第三者や買取業者に売却する場合は、借地人には特に影響はありません。
ちなみに、借地人が借地権を売却する際は地主の同意を得なければなりません。
これは、借地とはそもそも、借地人が地代を支払うことで契約が成り立っているものであり、土地の所有者である地主は、借地人に支払い能力があると判断したうえで貸しているという前提があるためです。
Q.底地を高額で売却するためのポイントは?
A.底地を高額で売却するためには、「底地や借地権を専門に扱っている仲介業者」を利用しましょう。
不動産業者を通じた底地の売却方法には、主に、業者が直接買い取る「買取」と、業者に買主探しを依頼する「仲介」の二種類があります。
買取業者は、購入した底地を将来的に転売して利益を得るビジネスモデルであるため、仕入れ価格(=買取価格)を極力抑えようとします。
そのため、市場価格(仲介で時間をかけて売却した場合に見込める価格)と比べると、売却価格が大幅に低くなる可能性があるのです。
一方で底地に精通した仲介業者であれば、底地の条件を正確に把握しつつ、独自のネットワークで買主を探してくれます。
借地人との交渉や、売却の進め方についても専門的なノウハウを持っているため、売主にとって有利な条件での売却が実現しやすくなります。
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今回は、底地の売却に関して、売却までの流れや具体的な売却方法と相場、借地権の種類などについて解説しました。
底地は自由度の低い土地であるため、価値が低く売却が困難になる可能性があります。
また、どのような借地権が付着しているかによって売却額が異なるため、注意しなければなりません。
底地の売却をスムーズに行いたい方は、専門の仲介業者の利用がオススメです。
センチュリー21中央プロパティーは、社内弁護士と連携しており、底地の売却に伴う借地人とのトラブルにも対応可能なほか、手続きにかかる諸費用をかけずに書類の作成が可能です。
売却時の仲介手数料が不要なことに加えて、独自の投資家ネットワークを持っているため、底地の高額売却もご期待いただけます。
底地の売却を検討している方は、ぜひ中央プロパティーへご相談ください。

この記事の監修者
社内弁護士
当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。