借地契約書がなくても底地は売却できる?|底地の売却・相続
借地契約書がなくても底地は売却できる?
ご相談内容
先日父親が亡くなり、息子である私(A)、B・Cがそれぞれ相続分通り(3分の1ずつ)相続しました。
相続をきっかけに、父親の相続財産を整理・売却しようと考えています。
父親の相続財産の中にはいわゆる底地(底地権)と呼ばれる不動産(甲土地)がありました。
何人かの借地人が底地には住んでおり、毎月家賃はもらっています。
処分するには権利関係を把握しないといけないと思い、契約書などの書類を探したのですが、一向に見つかりません。
借地人に話を聞くと、戦前からの付き合いで、借地人側も代が変わっており、詳細がよく分からないとのことです。
底地を持っていても仕方ないので、とにかく処分整理をしたいです。高く買い取って欲しい等という希望は特にありません。
上記のように契約書がない場合でも売却することは可能でしょうか。また、売る際に必要な事項(書類等)はなにがありますでしょうか。
契約(書)とは
そもそも、契約とは「一方当事者の申込みの意思表示に対し、他方当事者の承諾の意思表示によって成立する法律行為」のことを言います。
簡単に言うと、とある行為に対するお互いの同意のことを言い、お互いの合意さえあれば、契約は成立します。契約書はその合意を残しておくための書類であり、契約成立の必須の要件ではありません。もちろん、後々のことを考えて、契約締結時に契約書を交わした方が良いということは言うまでもありません。
- ただ、例えば、定期借地権などのように法律用要件で公正証書が必要とされている場合には、証書の作成が無いと、契約そもそも成立しない(=無効)になる場合がありますので、注意が必要です。
底地(土地)売却に必要な書類
底地を売却する際の必要な主な書類は下記になります。
- 身分証明書
- 実印
- 印鑑証明書 ※共有の場合共有者全員分が必要になります。
- 登記済権利書、または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書
このように、売主の情報や底地である不動産の情報が必要になります。ただ、借地人との借地権設定契約書類が必要かというと、必須ではありません。もちろん買い手側の立場から考えると、詳細な情報があった方がいいでしょう。
当社ではそのような土地でも売却実績はあります。実際の流れは、土地などの面積の測量をし、買い手を探すという手続きになります。
租税関係では困ることも
底地などの不動産を売却した場合には、譲渡所得が生じることがあり、確定申告をしなくてはなりません。この確定申告、税金の計算のためには、売った底地を昔に取得した時の契約書が必要となります。実は、相続が関係する場合、契約書を紛失してしまったというご相談はよくあります。
本件のように相続した不動産の場合などは、被相続人が亡くなっており、どこにあるのか、保管しているのか、状況が把握できないためです。契約書が無いとどうなるのか。
売却自体はできますが、契約書を紛失してしまうと租税関係では不利になることもあります。不動産を売却した場合譲渡税がかかる場合があります。
(現状の計算式)
で計算されますが、契約書がないと、基本的には、ここの取得費が売却価額の5%として税額計算をすることになってしまいます。
しかし、このような場合でも、本来の取得費を算出するために証拠が集めることができれば、5%基準による税額計算を回避できる可能性はあります。
当社では、租税関係にも詳しい会計士や税理士と提携しており、売却にかかる税関係などのサポート体制も万全です。また、地方の場合でも、実際に直接出向かせて頂き、手厚いサポートもしております。ぜひ一度ご相談下さい。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。