借地権付きの建物や土地を購入するメリットとデメリットは?
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借地権付き物件を購入する際の注意点は?メリット・デメリットを徹底解説

借地権付きの建物や土地を購入するメリットとデメリットは?

物件や土地を探している最中に「借地権」という言葉を目にしたことがある人もいるかもしれません。

特に都市部では多くの借地権付きの物件が市場に出回っています。

この記事では、借地権の基本的な概念やメリット・デメリット、さらに購入にあたっての具体的な手順をわかりやすく解説します。

定期借地権付きマンションを購入する人が増えている理由

近年、期限付きで借りた土地に建設される定期借地権付きマンションの供給戸数が急増しています。

首都圏では2025年に過去最多の年間供給戸数となる見込みです。

土地価格が高騰する都市部では、購入者は分譲より初期費用を抑えられ、土地所有者は土地を保有しつつ安定収益を得られ、不動産会社は開発機会を拡大できるため、三者にメリットがあります。

例えば渋谷笹塚の「パークタワー渋谷笹塚」では、通常の分譲マンションより約2割安く販売され、第1期230戸は即日完売しました。

住宅価格が高騰する中、手頃に都市部で住宅を取得できる点が人気の理由です。

参考:読売新聞オンライン

借地権付き物件とは?

借地権と所有権の違い

借地権付き物件とは、「建物」の所有権は購入者自身にありますが、「土地」の所有権は地主が持ち、購入者が地主から土地を借りている状態の物件を指します。

最大のポイントは、通常の所有権物件とは異なり、土地の所有権がないため、毎月地主に地代(土地の賃料)を支払う義務が発生することです。

また、増改築や売却を行う際には地主の承諾と承諾料が必要となるなど、購入者の権利行使に制限が伴います。

この権利関係の違いにより、物件価格は所有権物件より安価になりますが、契約内容をよく確認する必要があります。

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借地権付き建物を購入するメリットとデメリット

借地権付き建物を購入するメリットとデメリット

借地権の取引には「借地権付き建物の売買」と「借地権という権利自体の売買(更地の権利)」の2つのケースがありますが、ここでは建物とセットで購入するケースについて、その具体的なメリットとデメリットを詳しく解説します。

借地権付き建物を購入するメリット

借地権付き物件は、通常の所有権物件と比較して、特に初期費用と税負担において大きなメリットがあります。

メリット① 所有権の物件よりも安く購入できる

借地権付きの建物は、同じエリア同様の建物を購入する場合でも、所有権の物件に比べて価格が低い傾向にあります。

これは、最大の費用である土地の所有権価格が含まれないためです。

また、後述する土地利用に関する制約があることも価格が低くなる理由の一つです。

この初期費用の安さが、購入者にとって最も魅力的なメリットです。

メリット② 土地の固定資産税・都市計画税がかからない

通常、土地を所有している者には、毎年固定資産税と都市計画税を納める義務があります。

しかし、借地権付き物件では、土地の所有者はあくまで地主です。

そのため、借地人(購入者)は建物の固定資産税・都市計画税は支払いますが、土地にかかる税金を支払う必要はありません。

ランニングコスト(維持費)を抑えられるという大きな節税メリットとなります。

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借地権付き建物を購入するデメリット

借地権付き建物の購入には、初期費用が安い反面、継続的な費用負担将来的な制約という重要なデメリットが存在します。

デメリット① 継続的な「地代」の支払いが必要

借地権付き建物は、土地を利用する対価として地主に地代(土地の賃料)を支払う義務があるため、毎月、一定の費用が継続的に発生します。

初期費用が安くても、このランニングコストは契約期間中ずっと続くことになります。

また、契約更新時には更新料の支払いが必要になるケースも一般的です。

デメリット② 地主の承諾と費用(承諾料)が必要な場面が多い

借地権付き建物では、土地を自由に扱えず、以下のような重要な行為を行う際に地主の承諾承諾料の支払いが求められます。

  • 増改築・建て替え時
    建物の大規模な変更を行う際。
  • 売却・譲渡時
    将来、物件を第三者に売る際。
  • 住宅ローン利用時
    金融機関が土地に抵当権を設定する際(融資承諾)。

こうした承諾を得るための交渉や手続きが必要となり、その都度、地主へ承諾料を支払うのが一般的です。

デメリット③ 地主との関係悪化がリスクになる

こうした制約や費用負担があることから、購入後も地主との良好な関係の維持が重要になります。

関係が悪化すると、地代の改定や契約の更新、各種承諾がスムーズに行えなくなり、将来の売却や建て替え計画に支障をきたす可能性があります。

デメリット④ 住宅ローンの審査が厳しい

借地権付き建物の住宅ローン審査は、所有権物件に比べて非常に厳しめです。

  • 担保評価の低さ
    借地権は、所有権と異なり利用に制約があるため、金融機関は担保評価を低く見積もりがちです。
  • 融資承諾の必要性
    金融機関は、万一の際に物件を売却して資金を回収するために、地主から融資承諾(抵当権設定の承諾)を得ることを融資の条件とします。

そのため、一般的な金融機関では借地権付き物件への融資を取り扱っていない場合もあり、融資先が限定されることになります。

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借地権付き建物の購入時に確認すべき3つのポイント

借地権付き建物の購入時に確認すべき3つのポイント

借地権付き物件の購入は、通常の所有権物件の購入以上に、契約書の内容を徹底的に確認することが重要です。

将来の費用や制約はすべて契約書に記載されています。

①借地契約の種類(普通借地権・定期借地権など)

まず、購入対象の物件がどのような種類の借地契約に基づいているかを把握することが、最も重要です。

借地権には大きく分けて以下の2種類があり、将来的なリスクが大きく異なります。

  • 普通借地権(旧法借地権含む)
    契約期間が満了しても、借地人(購入者)が建物の存続を希望し、正当な事由がない限り、原則として契約は更新されます
    半永久的に土地を借り続けられる可能性が高いのがメリットです。
  • 定期借地権(新法)
    契約で定めた期間(一般的に50年以上)が満了すると、必ず借地契約が終了します。
    原則として契約の更新や建物の再築による延長はありません。借地人は建物を解体して更地にして地主に返還する義務を負います。

特に、定期借地権の場合は、残りの期間がどれくらい残っているか、また将来、更地にして返還する際の解体費用を誰が負担するのかを事前に確認しておく必要があります。

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②契約期間と更新条件の確認

借地権の種類が判明したら、具体的な契約期間と更新条件を確認します。

  • 契約期間
    契約がいつ開始し、いつ満了するのかを確認します。期間が残り少ない定期借地権物件は、ローンの審査が難しくなるなど、購入後のリスクが高まります。
  • 更新条件(普通借地権の場合)
    更新の際の地主の承諾に関する事項や、更新を拒絶できる正当事由の有無を確認します。
  • 契約終了時の特約
    定期借地権の場合、「建物買い取り請求権を放棄する」などの特約が付いていることが一般的です。これらの特約は、借地人に不利な内容を含んでいる可能性があるため、必ず専門家と共にチェックしましょう。

③地代・更新料・譲渡制限の確認

契約書に定められた、購入後の費用や制約に関する条件は、購入の判断に直結します。

  • 地代の金額と改定条件
    月々地主に支払う地代の金額と、地代を改定(値上げ)する際の条件(例:近隣相場や公租公課の増減を考慮するなど)を確認します。
  • 更新料の有無と金額
    普通借地権の場合、契約更新時に更新料が必要になるケースが一般的です。更新料の有無、およびその算定方法や過去の事例を確認します。
  • 増改築・譲渡制限と承諾料
    • 増改築の制限: 契約で建物の増改築が制限されていないか。
    • 譲渡・転貸の制限: 将来、物件を売却(譲渡)したり、他人に貸したりする際に、地主の承諾が必要であること、そしてその際の承諾料(譲渡承諾料など)の目安を確認します。

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借地権購入で覚悟しておくべき将来的なリスク3選

借地権購入で覚悟しておくべき将来的なリスク3選

借地権付き物件の購入は、初期費用を抑えることができる一方で、将来的に地主との関係や契約期間の満了により、所有権物件では発生しない特有のリスクを抱えることになります。

契約更新不可や地代の値上げリスク

普通借地権の場合、原則として契約は更新されますが、地主が土地を利用する「正当な事由」がある場合は、更新が拒絶される可能性があります。

また、地代は経済情勢の変化に応じて改定されるため、地主から地代の値上げを請求されるリスクもあります。

地主との交渉がまとまらない場合は、裁判での解決が必要になるなど、精神的・時間的な負担が発生する可能性があります。

建物老朽化後の土地返還義務(特に定期借地権)

定期借地権の場合、契約期間満了時には、建物がまだ使用可能であっても、原則として建物を解体して更地にした上で地主に土地を返還しなければなりません。

この際、借地人が建物の解体費用を負担する義務があります。

解体費用は数百万円に及ぶため、購入時に将来の解体費用を見越した資金計画を立てておく必要があります。

売却や担保設定時の制限

将来、物件を売却しようとしても、地主の承諾が必要です。

地主が承諾を拒否したり、法外な譲渡承諾料を求めたりすると、売却ができない可能性があります。

また、融資(住宅ローンやリフォームローン)を受ける際に、金融機関が土地に抵当権を設定する際の「融資承諾」を地主が拒否する場合もあり、資金調達に制限がかかるリスクがあります。

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借地権付き建物の購入についてのよくあるご質問

借地権付き建物の購入に関連して、よくあるご質問をいくつかご紹介します。

Q1.借地権はローンで購入できないって本当?

A.必ずしも購入できないわけではありませんが、地主の融資承諾が得られない場合は自己資金での購入が必要になるなど、ハードルが高いのが実情です。

譲渡承諾や増改築承諾と異なり、融資承諾は、借地借家法上の代諾許可制度の対象外です。
したがって、地主から融資承諾が出ない場合については、借地人に法的な対抗手段はありません。
地主から融資承諾が出ない場合、買主は、手持ちの自己資金で購入資金を用立てる必要があります。
金融機関によっては、地主の融資承諾が不要なローン商品を提供している場合もありますが、条件が厳しいことが一般的です。

Q2.借地権付き建物の購入時、住宅ローンの借り入れに地主の承諾は必須ですか?

A.はい、必須です。

借地上の建物の住宅ローン契約には、地主の承諾書が必要です。
また、前提として「借地上の住宅に融資しない」金融機関も多く存在します。

そして、承諾書の中には地代が滞って賃貸借契約を解除する場合、解除前に金融機関に連絡することなど金融機関に有利(地主に不利)な文言が入っていることがあります。

ローン手続きの最終段階になって地主の承諾書がもらえないと、ローンの契約そのものができなくなります。
そのため、売買契約締結前に、地主の融資承諾の見込みについて確認しておくことが非常に重要です。

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借地権付きの建物や土地利用権を所有することで得られる利点としては、通常の所有権よりも安価に不動産を取得できる点や、土地の固定資産税を支払わずに済む点が挙げられます。

当社センチュリー21中央プロパティーは、借地権専門の不動産仲介会社です。

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この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21 中央プロパティー 代表取締役/宅地建物取引士
都内金融機関、不動産会社での経験を経て、2011年に株式会社中央プロパティーを設立。長年にわたり不動産業界の最前線で活躍するプロフェッショナル。

借地権の売買に精通しており、これまでに1,000件以上の借地権取引や関連する不動産トラブル解決をサポート。底地や借地権付き建物の売却、名義変更料や更新料の交渉など、複雑な借地権問題に従事。

著書に「地主と借地人のための借地権トラブル入門書」など多数の書籍を出版。メディア出演やセミナー登壇実績も豊富で、難解な相続不動産問題も「わかりやすい」と説明力に定評がある。

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