旧法借地権は売却できる?4つの売却方法と借地権のよくあるトラブルを解説
旧法借地権は売却できる?4つの売却方法と借地権のよくあるトラブルを解説

目次
旧法借地権を売却する際には、特有のルールや地主との関係性、手続きの流れを理解しておくことが大切です。更新が繰り返せる旧法借地権は安定性が魅力ですが、売却には注意すべきポイントも多く、トラブルのリスクもあります。
本記事では、スムーズな売却のために知っておくべき基本情報と、よくある問題への対処法を詳しく解説します。

旧法借地権とは
旧法借地権とは、1992年8月に新法ができる以前までに、地主と借地人との間で締結されている土地賃借契約のことを指します。
この借地権は、契約期間が長く、借地人が長期間にわたり土地を利用できることが特徴です。契約が更新され続ける限り、借地人は土地を借り続ける権利を持ちます。
借地人の権利保護が強く、契約の解除が難しいため、借地人は安定して土地を利用できる点が魅力です。
現状、借地契約においては、新法と旧法が混在しています。新法ができた1992年8月より前に契約している場合でも、更新時に新たに新法で契約を締結しなおせば、新法が適用されることになります。逆に、新たに契約を結ばない限りは、そのまま旧法として更新されます。
ちなみに新法では、定期借地権ができたことなどもあり、旧法よりも土地を返却すべき条件が明確化されました。つまり、旧法のままの契約は借地人には有利、新法の契約にすると地主に有利ということです。
旧法借地権付きの建物は売却できる?
旧法借地権付き建物の売却は可能です。
ただし、第三者に売却するには地主の承諾が求められます。
地主の承諾が得られれば、第三者に売却できますが、地主に対して譲渡承諾料を支払う必要があります。
したがって、借地権付き建物を第三者に売却を検討する際は、事前に地主に相談し、同意を得ることが必須です。もしも、地主の承諾が得られない場合は、裁判所を通じて譲渡承諾を得る手段(借地非訟手続き)もあります。
さらに、借地契約の残存期間や地代の支払い状況、土地利用の目的なども売却価格に影響を与えるため、これらの要素について十分に理解した上で売却を進めることが重要です。
旧法借地権付き建物の売却方法
借地権の売却方法は、大きく以下の4つの方法があります。
- 地主に買い取って貰う
- 仲介会社に依頼して買い手を探す
- 買取業者に売却する
- 底地と一緒に同時売却する
地主に買い取ってもらう
借地権を売却する際、最もシンプルな方法の一つは地主に直接買い取ってもらうことです。この方法では、借地権の譲渡契約を締結することなく、地主が借地権付き建物を購入する形になります。
地主が建物と借地権を買い取ることで、地主は完全所有権の土地と建物を取得できるメリットがあります。
しかし、地主がその土地を購入したいと思うかは別問題であり、地主の意向に大きく依存します。また、買い取り価格が低く提示される場合や、地主への条件交渉が必要なこともあるため、売却を成功させるには非常に難易度の高い選択肢と言えます。
仲介会社に依頼して買い手を探す
仲介会社を通じて借地権を売却する方法は、一般的に広く利用されています。
借地権に詳しい不動産仲介業者は、買い手を見つけるためのネットワークや地主との交渉をスピーディに進めるための知識を持っています。
借地権が付いている物件は一般的に市場で流通しにくいため、仲介業者が独自に持っているネットワークを通じて販促活動を行い、適切な買い手を見つけることが期待されます。
ただし、仲介業者を利用する場合、仲介手数料が発生するため、そのコストも考慮する必要があります。また、借地権の条件や契約内容により、買い手が限定されたり、交渉が難航することがあるため、依頼する仲介会社は慎重に選定することが重要です。
買取業者に売却する
借地権付き物件を買取業者に売却する方法もあります。
買取業者は、迅速に現金で購入してくれることが多く、売却を急ぐ場合には有力な選択肢となります。この方法では、仲介業者を通さずに直接買取業者と交渉するため、仲介手数料が発生しない点がメリットです。
しかし、買取価格は市場価格よりも低く設定されることが多く、業者の利益が差し引かれた額が提示される点に注意が必要です。買取業者は買い取りのスピードを重視するため、時間に余裕がない場合や早急に現金化したい場合に向いています。
底地と一緒に同時売却する
借地権を売却する際に、底地(借地権が設定されている土地)も一緒に同時売却する方法です。
この方法は、借地権と底地をセットで売却することによって、両者の取引を一度にまとめることができます。底地と借地権が一体として売買されるため、それぞれ単体で売却するよりも、不動産としての価値が高く、買い手が見つかりやすい特徴があります。
しかし、借地権と底地の同時売却は、地主の意向や売買代金の分配割合の取り決めなどが絡むため、難易度の高い交渉になります。
旧法借地権でよくあるトラブル
旧法借地権では、地主と借地人との間でトラブルになりやすい特徴があります。
ここでは、よくあるトラブルについて具体的に解説します。
地主の承諾を得られない場合
旧法借地権付きの物件を売却する際、地主の承諾が必要です。
しかし、地主が承諾を渋ったり、何かしらの条件を付けてくることがあります。
特に、借地権を譲渡することに対して地主が不安を抱いている場合、承諾を得るのが難しくなることがあります。この場合、地主に理解を得るための交渉が重要ですが、うまくいかない場合は裁判所に承諾を求める手続きが必要になることもあります。
まずは、裁判の前に借地権に強い不動産会社に相談し、対応策を助言してもらうのが良いでしょう。
建物の解体に関するトラブル
旧法借地権では、借地契約が満了になれば、更地にして土地を地主に返還するのが原則です。
その際の建物解体費用は、原則売主が負担することになります。
ただし、構造や面積によっては解体費用が高額になり、負担できないケースもあり得ます。地主に交渉して一部解体費用を負担してもらうこともできますが、極めて可能性は低いです。
契約内容や建物の状況によっては、建物をそのままで第三者に買い取ってもらえる場合もあります。借地権に強い不動産会社に相談してみると良いでしょう。
地代の値上げトラブル
地代の値上げも旧法借地権においてよくある問題です。
特に、契約期間が長期間にわたるため、地代が時々の経済状況や不動産市場に合わせて見直されることがあります。契約更新のタイミングで、急に地代の値上げを提案されることもあります。
当社にご相談に来られるお客様では、地代の値上げが、借地権の売却を考えるきっかけになるケースも非常に多いです。
相続がきっかけのトラブル
旧法借地権の契約は、非常に長期間続きます。契約期間中に、借地人や地主に相続が発生することも珍しくありません。
相続が発生すると、これまでの関係性が一変してしまうこともあります。トラブルのなかった関係から、相続によりやり取りの窓口が変わることで、突然理不尽な要求をされ、信頼関係が破綻していってしまうケースもあり得ます。
旧法借地権を売却するなら中央プロパティー
センチュリ-21中央プロパティーは、借地権に特化した不動産仲介会社です。
大手不動産会社に依頼したが、まったく話しが進まなかった借地権売却も、当社がサポートすることで2週間で売却できたケースがあります。
仲介会社でありながら、仲介手数料をはじめとする諸費用は、0円です。買主様に負担いただくため、売主様は無料で当社の売却サポートをご利用いただけます。
借地権に強い弁護士も在籍しておりますので、地主とトラブル中の場合もお任せください。

この記事の監修者
弁護士
弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。