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借地上に自販機を設置し、収益を得るのは違反?|弁護士Q&A

更新日:
作成日:
コンテンツ番号:601

借地上に自販機を設置し、収益を得るのは違反?

ご相談内容

私Aは、現在甲土地を建物所有目的でBに貸していますが、知らない間に自動販売機が設置されていました。

  1. この場合の自動販売機の借地料を私Aがもらえるのでしょうか。また、問題はないのでしょうか。
  2. Bが甲土地でガーデニングをしているのですが、問題ないのでしょうか?
借地人が勝手に自販機を設置したイメージ

1. 自販機の借地料について

(1)自販機設置の契約の整理

まず、自販機設置の当事者ですが、本件のようなケースですと借地人Bと自販機の業者が契約当事者となるのが原則です。Bと業者との間で契約が交わされ、その設置料金についてもBが受け取るような形となっていると考えられます。このような状態ですといくら土地の所有者であってもAが料金を受け取ることは当然できません。

(2)契約違反の可能性

AはBに対して「建物所有目的」で甲土地を貸しています。その契約内容には自販機設置の内容は無いと考えられ、Bの自販機設置行為は契約違反の可能性が考えられます。すなわち、甲土地内に置かれている自販機が置いてある部分については、自販機設置業者に対して土地を又貸し(転貸)したと考えられます。

これまで、何度も解説してきましたが、賃貸目的物を勝手に第三者に貸す行為は、無断転貸として解除事由になります。本件でも、「転貸」となり、契約の解除事由にあたると考えられます。

  • 解除事由にあたるとしても、解除そのものができるかというと必ずそうなるわけではありません。

「信頼関係」が破綻するような転貸でなければ解除をすることは残念ながらできません。自販機を土地の一部に置いた程度では、土地全体を解除するということは難しいと考えられます。無断転貸による解除ができなかったとしても、債務不履行(用法遵守義務違反)による損害賠償請求ができる可能性はあります。

(3)固定資産税に影響が? 

自販機が置かれていることで、固定資産税が増税される可能性があります。自販機がなかった頃は、敷地全体は居住用としての軽減措置を受けられていたにもかかわらず、自販機が設置されている敷地が事業用の認定を受け、固定資産税が増税されてしまうといったケースです。
このまま放置しておくとその可能性もありますので、注意が必要です。

2. 借地でガーデニングについて

Aは甲土地を建物所有目的で貸したのだから、ガーデニングをするのは契約違反(用法遵守違反)で許されないと考えているのでしょう。確かに、ガーデニングにより害虫が発生したり、草木が生い茂り近隣の住宅にも迷惑が掛かってしまったりというケースも考えられます。ただ、通常のガーデニングの範囲であれば、底地人(地主)がこれを止めることは難しいとお考え下さい。

ただし、甲土地の大部分を畑にする等の場合には当然、用法遵守義務違反となる可能性が非常に高くなります。どうしてもガーデニングを認めたくない場合には、契約当初に特約を結んでおくと防止できます。

雑草や枝葉について

それでは、甲土地に生えた草の手入れや枝葉の伐採はどうでしょうか。土地の所有者は地主であり、土地を利用しているのは底地人であることから、どちらが雑草や枝葉の伐採をすべきか、というという問題です。

地主側からすれば、「土地を利用しているのだから、雑草や枝葉の伐採は借地人が行うべき」と思うでしょうし、借地人側からすれば、「土地の所有権は地主にあるのだから、地主が行うべき」と思うことでしょう。この点については、取り決めがない場合には基本的には借地人が対応するのが通常ですが、この点についてもトラブルになりやすいケースですので、契約締結時にしっかりと取り決めをしておくとよいでしょう。

この記事の監修者

岡田 卓巳オカダ タクミ

弁護士

弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。地代滞納、建物明け渡しなど借地権・底地権の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。

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