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借地借家法の新法と旧法について|弁護士Q&A

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作成日:
コンテンツ番号:473

借地借家法の新法と旧法について

地主AさんはBさんに土地を貸しています。もう長い間土地を貸していてそろそろ更新するか否かと言う時期になってきました。
借地借家法は旧法と新法があると聞きました。平成28年現在、更新が迫りB(借地人)さんと更新しようとしていますが、新法と旧法どちらが適用されるのですか?また、具体的な違いは何ですか?

借地借家法の新法と旧法について
現在の借地法と旧借地法はどう違うの?のイメージ

現在の借地借家法(新法)は建物保護法、借地法、借家法を改革・統合して平成3年に制定、平成4年に施行(8月1日施行)された法律になります。
借地借家法が施行された平成4年8月1日以前から存続する借地権に対しては、廃止された旧「借地法」が、引き続き適用されることになっています。

  • 当事者で合意する場合は新法適用可能

1. 借地権の存続期間

新法では建物の種別に関係なく一律に30年(当初の期間)

  • 尚、当事者間でこれより長い期間を定めることは自由です。

旧法の場合、堅固建物と非堅固建物で存続期間が異なります。堅固建物はコンクリート造りなどの丈夫な建物とイメージして下さい。非堅固建物は木造建築が一般的です。堅固建物で30年、非堅固建物で20年が原則になります。

  • これより短い期間を定めた場合には 「期間の定めがないもの」とみなされます。

「期限の定めがない」場合でも無限に借地権が存続するわけではありません。堅固建物は60年、非堅固建物は30年となります。

2. 借地権を更新した後の存続期間

新法では、1回目が20年、2回目以降は10年が原則になります。当事者間でこれより長い期間を定めることは自由です。旧法では、堅固建物が30年、非堅固建物が20年です。

借地権の種類契約時の在続期間更新後の在続期間
最初の更新二回目以降の更新
借地法(旧法)旧法上の借地権堅固建物期間の定め有30年以上20年以上10年以上
期間の定め無30年20年10年
非堅固建物期間の定め有30年以上20年以上10年以上
期間の定め無30年20年10年
借地借家法(新法)普通借地権期間の定め有30年以上20年以上10年以上
期間の定め無30年20年10年
定期借地権一般定期借地権50年以上更新無し
※期間満了後原状回復(更地)
建物譲渡
特約付借地権
30年以上建物譲渡に伴い借地権は消滅
事業用借地権10年以上
50年未満
更新無し
※期間満了後原状回復(更地)

3.建物が朽廃した場合における借地権

(1) 旧法では、存続期間の定めがあるか否かで異なります。

  • 存続期間の定めがあるとき
    建物が朽廃しても借地権は消滅しません。
  • 存続期間の定めがないとき
    建物が朽廃すると、その借地権は「消滅」します。

(2) 新法

借地権は消滅せず、契約期間は借地権が存続します。

4. 建物が「滅失」してしまった場合

(1) 旧法

建物が滅失してしまった場合には、借地権を第三者に対して主張することが出来なくなってしまいます。

(2) 新法

消滅した場合でも借地権を第三者に主張する規定が設けられました。

「…建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。…」

借地借家法10条2項

とあり、消滅しても土地上に掲示すれば借地権の効力は継続されます。
ただし、同条文には「建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。」とあり、2年以内に建物を新たに建て登記をする必要があります。

5. 朽廃や滅失した場合などにおける再築

(1) 旧法

残存期間を超えて存続する建物を建てる場合、地主は原則として解除が出来ず、それに建物がなくなった日から堅固建物で30年、非堅固建物で20年、借地期間が延長されます。地主が遅滞なく異議を述べる場合は異なります。

(2) 新法

  • 再築が1回目の更新前(契約期間内)の場合
    地主の承諾があれば20年の期間延長となりますが、承諾がなければ残存期間内での保護になります。
  • 1回目の更新以降
    地主の承諾を得ていなければ、地主は契約を解除できることができます。
    地主の承諾がない場合は「地主からの解約申し入れ」だけで借地権が消滅してしまいますから、注意しなければなりません。

6. 地主が更新を拒絶する場合

(1) 旧法

地主が借地契約の更新を拒絶する場合「正当な事由」とされていました。

(2) 新法

新法では財産上の給付(立ち退き料の支払い)だけでも更新を拒絶できる場合もある。

  • 旧法では、借地法4条1項:「土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合その他の正当事由」とあっただけで正当事由を廻り多くの紛争が発生していました。この条文時代は正当事由を巡って多くの争いが発生していました。そこで、新法では借地借家法6条「…借地権設定者及び借地権者が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況…を考慮して…」借地権者側の事情をも斟酌することを要することにしました。
借地権の種類を表した図

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この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

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