二次相続により法定相続人が多数いる底地の整理基礎知識
二次相続により法定相続人が多数いる底地の整理
ご相談事例
借地人側に二次相続が起き法定相続人が数十人になってしまいました。 整理など含めて何か方法はありませんか。
二次相続とは
二次相続とは、簡単にいうと2回目の相続という意味です。例えば、父Aが死亡した際に始まる通常の遺産相続(一次相続)を行った後に残された母Bも死亡したケースで、子供CDだけで行われる母の相続が二次相続にあたります。
地主と父Aが借地権設定契約を締結しており、父Aが亡くなってしまった場合、母Bは父Aの借地人としての地位も相続しますが、母Bも亡くなってしまった場合、その借地人の地位をCDが相続します。CDが死亡し、相続人が複数いるような場合(三次相続等)はさらに、借地人が増えていってしまう可能性があります。
本件での解決策
1. 借地人から買い取る
まず、借地人側から借地権を買い取ることが考えられます。ただ、本件の場合だと借地人がかなり多くなっており、現実的には難しいかもしれません。
2. 借地人側と一緒になって(一括で)売却する
借地人側と協力して、底地と借地を一括で売却(完全な所有権として売却)する方法も考えられます。一番売却価格は高くなる可能性があります。ただ、こちらも1と同様に借地人側の人数が多い為、交渉が難航することが予想されます。
3. 借地人側に売却してしまう
そこで、借地人側に底地部分を売却してしまう方法が考えられます。全員に対して売却しなければならないわけではなく、借地人の一人に売却し、その後の整理は借地人側に任せるというのも一つの方法です。借地人の誰かに買い取るだけの資力があれば実現できます。
買い取った借地人は底地権者と借地権者の地位を兼ねることになり、その重複部分については、混同により消滅します。買い取った借地人は底地権者として他の借地人から地代を得ることができます。借地人側の誰かに資力さえあれば、買い取ってもらえる可能性は高くなります。混同とは、
民法179条:「同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。」
とあります。
例えば、父親から借金をしていましたが父親が亡くなり自身が父親の一切の財産を相続した場合、債権者としての地位(父がお金を貸したという地位)と債務者としての地位(父からお金を借りたという地位)が併存します。同一債権において債権者と債務者が同一人物に帰属する場合、債権を残しておく意味はないので、混同により消滅することになります。
4. 底地買取業者に売却
権利関係が複雑な底地は一般の人はなかなか買い取ってくれません。底地を専門で買い取る、いわゆる底地買取の専門業者に売却することが考えられます。買い取ってもらえるケースは多いですが、かなり安く買い取られてしまう可能性が高くなってしまいます。
底地買取専門業者に買い取ってもらうのを検討するのはどうにもならないケースに相談するとよいでしょう。
なお、当社は直接買い取るわけではなく、仲介を致します。ご紹介する先は投資家が多く、投資価値があればかなり高額で買い取ってもらうケースもあります。また、買い手との交渉についても第三者の立場から客観的に交渉でき、適切なアドバイス、適切な交渉ができます。
「底地を整理したい。こんな状態でも売却ってできるの?」そんな底地でも売れる可能性は十分にございます。まずは、一度ご相談ください。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。