借地人が建てた建物の入居者が地主に地代を支払う事は可能?基礎知識
借地人が建てた建物の入居者が地主に地代を支払う事は可能?
甲土地の上に乙建物(木造2階、建延27坪、築40年、地代は年7万円)を建てて暮らしていましたが、父親は亡くなり、我々子供たちも自立し、今では高齢の母が一人で暮らしています。借地権者ではなく、借地権者が建てた建物の入居者が地代を支払ってきた場合、何か問題はあるのでしょうか。
問題ありません。
詳細解説
民法474条:「債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、…はこの限りでない。」
同上2項:「利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。」
とあります。第三者弁済も当然有効なので、入居者による地代支払いも有効です。そして、入居者は「利害関係を有する第三者」に当たります。すなわち、借地人が地代の滞納を続け、契約が解除された場合、借地人は更地にして返還する義務があります。
当然、借地建物を借りて住んでいる人は出ていかなければなりません。それを防ぐために、地代を払って借地権が消滅しないようにすることができます。借地人が地代を払うな。という意思を示していても、借家人が払う地代は認められますので、地主は借地権者さんの支払と同一に扱わなければなりません。
- 借家人はその後借地人に地主に対して支払った地代を求償することができます。
「弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。」
:民法500条
この記事の監修者
弁護士
弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。