相続により借地人が複数人になることは可能?|借地権を相続した方
相続により借地人が複数人になることは可能?
相続によって借地人が複数人になることは可能です。
はじめに
民法898条:「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」
民法899条:「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」
被相続人が死亡し、相続が発生し、遺産分割協議等によって借地権付建物の相続人が決まるまでは、借地権は法定相続人の共有状態となります。
相続人が3名いれば、1人あたり3分の1の共有持分ということになります。これらの3名が遺産分割協議を行い、単独所有とするのではなく、借地権付建物を3名の共有と決めた場合には、以下の事に注意してください。
共有とする場合の注意点
- 地代や公租公課の支払い
3名の共有とし、1人がそこに住み他の者との教諭をする場合、だれが地主に地代を支払い、また固定資産税などの税金もだれが負担するかは前に決めておかないとトラブルのもとになってしまいます。 - 建物名義
建物の名義を居住者1名にするというように、借地権の名義人と建物名義人が異なる場合もトラブルの元になります。
換価すべき
借地人側で相続があった場合、借地人側が遺産分割協議の時点で借地権付建物の相続人を1名にし、その相続人が借地権相当額の現金を他の相続人に支払うという代償分割を取れば権利関係はさほど複雑にはなりません。
- 代償金の支払を確実にするために、遺産分割協議書を公正証書で作成するという方法もありますので、不安がある場合には検討をお勧めいたします。
すでに共有となってしまっている場合、共有状態を長引かせずに、なるべく早く換価することをお勧めいたします。共有はその後にさらに相続が起こると細分化を繰り返してしまい、価値はどんどん下がってしまいます。
民法256条:「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。」
とあるように、いつでも共有物は分割することができます。共有物全部を処分するには全共有者の同意がいりますが、自己の持ち分だけであれば、いつでも処分できます。もちろん、共有物全部を処分できる方が、価値は高くなります。
相続により共有となりトラブルになるケースは多くあります。弊社ではそのような事例を数多く解決して参りました。 是非一度ご相談ください。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。