法的能力とは|用語集
法的能力とは
意義
- 権利能力:権利・義務の主体となることができる資格・能力のこと
- 意思能力:意思表示などの法律上の判断において自己の行為の結果を判断することができる能力のこと
- 行為能力:私法上,単独で有効に法律行為をなし得る能力のこと
- 責任能力(民事):不法行為上の責任を判断しうる能力
- 行為能力:不法行為をなし得る能力をいいます
- 受領能力:意思表示を了知しうる能力
1. 権利能力について
民法第二章人 第一節 権利能力
3条1項:「私権の享有は、出生に始まる。」
3条2項:「外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。」
権利能力は生まれた瞬間の赤ちゃんからお年寄りまで誰でも有する権利を受けられるものです
2. 意思能力について
行為者に自らの行為の結果を判断することができるだけの精神的能力が備わっていることが要求され、自らがした行為の結果を判断することができる精神的能力のことを意思能力といいます。意思無能力者の行為は無効です。お酒を飲みすぎて記憶がない場合でも意思無能力となる場合もあります。具体的には7歳から10歳程度の精神状態とされます。
3. 行為能力について
民法第二節に行為能力の規定があります。類型としては、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人です。是非弁識能力の程度によって分かれ、単独での法律行為に制限を加えています。
意思能力と行為能力の違い
意思能力は、事案・行為ごとに個別具体的に判断力の有無を判断します。
これに対して、行為能力は、個別の事案とは切り離して、年齢や審判の有無といった形式的な基準により判断する点で異なります。
4. 責任能力、5. 不法行為能力について
民法720条:「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」
たとえば、小さい子供には責任を判断することはできず、責任能力がないとされます。
ただ、
民法714条:「…責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」
とあるように子供の親などが責任を負う場合はあります。
6. 受領能力について
民法98条の2:「意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。」
行為能力が制限されている場合、申込みなどの意思表示をうけても受領能力がないと判断される場合があります。
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この記事の監修者
弁護士
弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。地代滞納、建物明け渡しなど借地権・底地権の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。