借地権買取のきほん|買取業者の選び方と最適な買取相手とは?
借地権買取のきほん|買取業者の選び方と最適な買取相手とは?

実は、借地権は適切な方法で売却すれば、 高額売却が可能です。
しかし、借地権の売却は所有権の売却とは異なる点が多く、専門的な知識が必要です。
この記事では、借地権買取の基本的な知識から、信頼できる買取業者の選び方、あなたの状況に最適な売却方法まで、わかりやすく解説します。

借地権買取の基礎知識
借地権とは、建物を建てる目的で、土地を借りる権利のことです。土地を貸す人を地主、借りる人を借地人と呼びます。
そのため、土地の所有者は地主、建物の所有者は借地人という権利関係になります。
借地権(借地権付き建物)は、地主または第三者に売却することができます。ただし、第三者に売却する際には、地主の承諾が必要となります。
次では、借地権の買い取り先とそれぞれのメリットデメリットを解説します。
借地権の最適な買取相手3選
借地権の買取相手は、主に以下の3パターンです。
- 地主
- 買取業者
- (仲介業者を経由して)第三者
①地主
地主に借地権の買取を依頼するメリットは、譲渡承諾料の支払いが不要な点です。
通常、地主以外の第三者に借地権を売却する場合、譲渡承諾料の支払いが必要となります。譲渡承諾料の相場は、借地権価格の10%程度とされています。
一方デメリットは、買取価格が大幅に安くなる点です。高く売りたい借地人と安く買いたい地主は、利益相反の関係にあります。市場価格の50%以下になるケースも珍しくありません。
また、地主に借地権の買取義務はないため、必ずしも地主が借地権を買い取ってくれるとは限りません。
②買取業者
買取業者に借地権を買い取って貰うメリットは、スピーディに現金化できる点です。買取業者は自社で直接買い取るため、仲介業者を通して売却する場合に比べて、売却までの期間が短く済みます。また、買主を探す必要がないため、売れ残るリスクがありません。
一方デメリットは、買取価格が市場相場よりも低くなる点です。
借地権の買取業者の目的は、安く仕入れて高く転売することです。悪徳業者に当たってしまうと、不当に安い価格で買い取られてしまう可能性があります。信頼できる業者を選ぶことが重要です。
③(仲介業者を経由して)第三者
仲介業者を経由して、第三者に借地権を買い取って貰うメリットは、高額売却が期待できる点です。仲介業者は、独自のネットワークを持っているため、一般市場では買い手が見つかりにくい借地権でも、多くの買い手候補者にアプローチできます。加えて、その中から好条件(最高値)で購入してくれる買主とマッチングすることができるという強みがあります。
そのため、市場価格の70%以上で、売買契約が成立するケースも珍しくありません。
仲介業者は、中立的な立場で売却活動や条件交渉、売買契約手続きのサポートを行ってくれるため、トラブルのある借地権でも安心して任せられる点もメリットと言えるでしょう。
一方デメリットは、買取業者と比べて、販売活動に時間が掛かる点です。販売活動を開始してから、買い手が見つかるまでに、最低でも1週間程度かかります。
借地権の買取業者選びの5つのポイント
借地権の買取業者を選ぶポイントは、以下の通りです。
- 借地権の買取・仲介実績が豊富か
- 地主との交渉力があるか
- 査定価格が適正か
- 契約条件が明確で安心できるか
- 口コミや評判が良いか
また、上記は買取業者に限らず、仲介業者を選ぶ場合のポイントとしても有効です。
1. 借地権の買取・仲介実績が豊富か
借地権の売却は通常の不動産取引とは異なり、地主との交渉や法律的な知識が必要になります。実績が豊富な業者は、スムーズに手続きを進められる可能性が高いため、過去の取引事例を確認しましょう。
特に、大手の不動産会社は、借地権の仲介を不得意としているケースも珍しくありません。「大手不動産会社だから安心できると思って依頼したが、半年以上地主への交渉が進まず、売却が難航した」という事例も多いため、借地権専門の仲介業者へ依頼するのが鉄則です。
2. 地主との交渉力があるか
借地権を売却する際には、地主の承諾が必要なケースが多く、交渉が必要になることがあります。地主との交渉経験が豊富で、円滑に話を進められる業者を選ぶことが重要です。
3. 査定価格が適正か
業者によって査定額に差が出ることがあります。複数の業者から見積もりを取り、適正価格で買い取ってくれるかを比較検討しましょう。特に、相場より極端に低い査定を出す業者には注意が必要です。
4. 契約条件が明確で安心できるか
借地権の譲渡には、原則として地主の承諾が必要です。契約時に「地主の承諾が得られた場合に売買契約が成立する」とする停止条件が設定されることが多いため、承諾が得られなかった場合の対応(契約解除の条件など)を確認しておきましょう。
買取業者が作成する売買契約書の内容は、売主に不利になっているケースもあります。必ず、特約条項の内容など弁護士のリーガルチェックを受け、売却後のトラブルがないように対策しましょう。
5. 口コミや評判が良いか
過去に取引した人の口コミや評判をチェックし、信頼できる業者かどうかを確認しましょう。ネット上のレビューや、不動産関連の専門家の意見を参考にするのもおすすめです。
借地権買取の流れ
借地権買取の流れは、主に以下の通りです。
- 借地権の評価・査定を行う
- 地主と交渉し譲渡承諾を得る
- 地主と譲渡承諾の内容を協議する
- 販売活動開始
- 買主と地主間で契約条件の確認
- 売買契約の締結
- 借地権の引き渡し(決済)
借地権を売却する際は、査定価格の算出と地主への交渉が重要となります。査定価格の算出は、複数の不動産会社に依頼し、適正価格を把握しましょう。
地主への交渉は、借地権専門の不動産会社に相談し、承諾を得られるよう戦略を立てましょう。
借地権買取の注意点
借地権買取では、地主や業者とトラブルになる可能性があるため、注意が必要です。
具体的なトラブルは、以下の通りです。
地主とのトラブル
借地権の買取に際して、地主とのトラブルは特に注意が必要です。
1. 地主が買い取ってくれない
借地権を売却する場合、まずは地主に買い取ってもらえないか打診するのが一般的です。
しかし、地主に借地権を買い取らなければらない義務はありません。地主が土地の有効活用を計画している場合や、借地人との関係性が良好でない場合は、買取を拒否される可能性もあります。
2. 地主が承諾してくれない
借地権を第三者に売却する際、地主の承諾が必要です。
地主の承諾が得られない場合は、地主に代わって裁判所に譲渡承諾を得るための借地非訟手続きを行う必要があります。
3. 譲渡承諾料をめぐるトラブル
借地権を第三者に売却する場合、地主の承諾に加えて、譲渡承諾料の支払いが必要です。
しかし、譲渡承諾料の金額をめぐってトラブルが発生することがあります。法律で上限額が定められているわけではないため、譲渡を阻止するために高額な譲渡承諾料を提示、請求されるケースがあります。
4. 地主と連絡が取れない
地主と連絡が取れない場合、借地権の売却手続きを進めることができません。地主が高齢で連絡がつかない、相続が発生して相続人が不明である、などのケースがあります。
地主とのトラブルは、借地権の売却を大きく阻害する可能性があります。地主への交渉が難航しそうな場合は、早めに借地権に詳しい専門家の知見を借りるようにしましょう。

買取業者とのトラブル
買取業者とのトラブルは、主に以下の2点に集約されます。
1. 停止条件などの契約内容をめぐるトラブル
買取業者は、売買契約を締結する前に、 重要事項説明 を行う義務があります。
重要事項説明では、契約内容や取引条件について詳しく説明されます。
しかし、悪徳業者の場合、重要な情報を意図的に隠蔽したり、不利な条件を曖昧な表現で記載したりすることがあります。
例えば、停止条件 です。
停止条件とは、契約後であっても、一定の条件を満たした場合に契約を解除できるというものです。
悪徳業者は、この停止条件を悪用し、
- 売買契約後に、追加費用を請求する
- 売買契約後に、一方的に買取価格を下げる
などの行為を行うリスクがあります。
その他にも、
- 契約不適合責任(瑕疵担保責任)
- 引渡し時期
- 違約金
など、契約内容に関するトラブルは多岐に渡ります。
売却後も含めてトラブルがないように、売買契約時に弁護士のリーガルチェックや立ち合いがあると安心した取引ができるでしょう。
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2. 査定額が不当に低い
買取業者は、独自の査定基準に基づいて買取価格を決定します。
しかし、悪徳業者の場合、
- 市場価格よりも著しく低い査定額を提示する
- 根拠不明な減額項目を設ける
などの方法で、不当に安い価格で買い取ろうとする可能性があります。
業者とのトラブルは、金銭的な損失だけでなく、精神的な負担も大きいため、注意が必要です。
上記で解説した業者選びのポイントを押さえて、トラブルを未然に防ぐように努めましょう。

借地権買取に関するQ&A
Q.借地権の買取価格はどのように決まりますか?
借地権の買取価格は、土地の時価 × 借地権割合 で決まるのが一般的です。例えば、土地の時価が1億円で借地権割合が70%の場合、借地権の価値は 7,000万円 になります。
また、借地権の買取価格に影響する要素として、以下があります。
- 借地権割合(地域によって60~80%の範囲で変動)
- 残存期間(契約の残存期間が短いと価値が下がる)
- 建物の状態(古い建物がある場合、解体費用を引かれることも)
- 地主との関係(地主が買取を希望すると価格が下がる傾向あり)
業者ごとに査定額が異なるため、複数の業者に見積もりを依頼して比較することが大切です。
Q.買取業者と仲介業者はどちらがおすすめですか?
どちらが良いかは、何を売却で実現したいか、によって異なります。
- 早く売りたい、手続きの手間を減らしたい → 買取業者
- できるだけ高値で売りたい、売却後のトラブルも防ぎたい → 仲介業者
Q.地主への交渉がうまくいかない場合はどうすべきですか?
無理に自力で何とかしようとせずに、早めに専門家(不動産会社や弁護士)に相談することが大切です。不動産会社によっては、地主との交渉を代行してくれるため、専門家をうまく活用することで、スムーズな売却が実現する可能性があります。
Q.借地権の買取にかかる費用は?
借地権を売却する際には、以下のような費用が発生します。
費用の種類 | 金額の目安 |
仲介手数料 | 売却価格の3%+6万円+消費税 |
譲渡承諾料 | 売却価格の10% |
譲渡所得税 | 短期:約39% 長期:約20% |
印紙税 | 数千円~6万円 |
建物解体費(必要な場合) | 100万円~300万円 |
まとめ:借地権買取を成功させるために
借地権買取を成功させるには、信頼できる業者選びと専門家への相談が不可欠です。
地主への交渉や売却の手続きに不安がある場合は、弁護士や借地権に詳しい不動産会社に相談することで、トラブルを回避し、スムーズな取引を実現できます。
センチュリー21中央プロパティーは、借地権を専門に扱う不動産仲介業者として、以下のような強みを持っています。
- 借地権に強い弁護士との連携
同社は借地権に精通した社内弁護士と専門チームで、地主との交渉やトラブル解決を円滑に進める体制を整えています。 - 売主の仲介手数料無料
買主様から仲介手数料を受け取ることで、売主様には仲介手数料やその他の諸費用の負担がありません。 - 独自の入札制度による高額売却
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借地権の売却でお悩みの場合は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者
弁護士
弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。地代滞納、建物明け渡しなど借地権・底地権の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。