借地権付き建物は売れない!?その理由と売却のコツについて解説
借地権付き建物は売れない!?その理由と売却のコツについて解説
目次
「借地権付き建物は売れない」と思っていませんか?
確かに借地権は、一般的な不動産と比べて「買い手が見つかりにくい」「地主に譲渡承諾を貰う必要がある」などの特徴があります。
この記事では、「借地権付き建物は売れない」と言われる理由と売却するためのコツについて解説します。
借地権付き建物が「売れない」と言われる理由
借地権付き建物が「売れない」と言われる理由は、結論から申し上げますと「購入需要が少ない」つまり、「買いたい人が少ない」からです。
では、なぜ買いたい人が少ないのでしょうか。その理由は、借地権付き建物の以下の特徴が関係しています。
- 永続的に地代や更新料の支払いが必要
- 増改築や売却の際に地主の承諾が必要
- 各種承諾料の支払いが必要
- 住宅ローンの審査に通りにくい
一つずつ解説していきます。
永続的に地代や更新料の支払いが必要
借地契約は、土地を借りる対価として、地主に地代(賃料)を支払うものです。
借地契約の存続期間は、最低でも20年以上と非常に長く、契約期間中地代の支払いは、永続的に続きます。更新料についても、契約書内に更新料の支払いが明記されている場合は、支払う必要があります。
地代は固定資産税が上がったり、地価が上がったタイミングで増額になる可能性があり、借地人としては不安要素になり得ます。
また更新料についても、相場は「更地価格の3%」とされており、大きな金額の負担になることから、借地権付き建物の購入を懸念する人が多い傾向にあります。
増改築や売却の際に地主の承諾が必要
借地権付きの建物では、増改築や売却を行う際に、必ず地主の承諾を得る必要があります。
増改築に際して、建物の構造や用途を変更することは、土地の利用に影響を与えるため、契約上、地主の許可を得ることが求められます。
売却も同様に、借地人が変更になることで、地主としては、新しい借地人が契約条件を守らないリスクや、土地の使用方法などの契約条件が変わる可能性があるため、地主の権利保護を目的として、承諾が必要とされています。
自分名義の建物にも関わらず、地主の承諾を得なければ、増改築や売却ができない点は、借地権付き建物を購入する際に一つの懸念材料になることがあります。
各種承諾料の支払いが必要
借地権付き建物では、増改築や売却などの際に、地主に承諾料を得ることに加えて、承諾料を支払う必要があります。
各種承諾料の額は、一概に決まっていませんが以下が基準になります。
譲渡承諾料 | 借地権価格の10%程度 |
増改築承諾料 | 更地価格の3〜5% |
条件変更承諾料 | 更地価格の10%程度 |
条件変更承諾料は、木造住宅を鉄筋コンクリート住宅に変更する場合や、住居を業務用建物に変更する場合、賃貸住宅に建て替える場合等に必要となる承諾料のことです。
明確な法律規定がない分、承諾料の金額を巡って地主とトラブルになるケースもあるため、借地権付き建物の購入時には、各種承諾料の条件について留意しておく必要があります。
住宅ローンの審査に通りにくい
借地権付き建物を購入する際、住宅ローンの利用を考える人も多いでしょう。しかし、借地権付き建物の場合、住宅ローンの審査に通りにくい傾向があります。
借地権付き建物は、担保評価が低くなりやすいことに加え、金融機関は、地主に融資承諾書の提出を必ず求めます。
融資承諾書には、「借地人が地代を滞納した場合、借地契約を解除する前に、金融機関に連絡をすること」などが明記されており、地主にとってはデメリットとなる内容のため、多くのケースで融資承諾は得られません。
借地権付き建物を購入する場合は、購入資金の計画を慎重に行う必要があります。
このような理由から、通常の所有権と比べて、借地権付き建物を購入したい人は、少ないと言われています。
借地権付き建物の売却方法
「借地権付き建物は売れない」と言われていますが、法的に借地権付き建物を売却すること自体は可能で、売却方法もいくつか選択肢があります。
借地権付き建物の売却方法は以下の通りです。
- 地主に買い取ってもらう
- 第三者に売却する
- 等価交換した後に売却する
- 底地と同時売却する
地主に買い取ってもらう
借地権付き建物を売却する方法の一つは、地主に買い取ってもらうことです。
この場合、借地人は土地の所有者である地主に対して、借地権付き建物を購入するよう交渉します。
ただし、地主に建物を買い取る義務はないことから、売買価格は低くなる可能性が高いです。一般的に、借地人から地主に借地権の買取を依頼する場合、売買価格の相場は更地価格の50%程度になると言われています。
金額や条件面の交渉ハードルが高い方法のため、借地人が地主に直接交渉するよりも、借地権に詳しい不動産業者に交渉を代行してもらうのがおすすめです。
第三者に売却する
借地権は、第三者に売却することができます。
地主に売るよりも、第三者に売る方が一般的には、売買価格が高くなる傾向があります。借地権を第三者に売る場合は、借地権に強い不動産会社に仲介を依頼するとスムーズです。
ただし、第三者の売却には、地主の承諾が必要になります。地主の承諾が得られない場合は、下で解説する「地主の譲渡承諾が貰えない場合の対処法」を参考にしてください。
等価交換した後に売却する
借地権における等価交換とは、土地と建物の権利を交換し、その後に売却する方法です。
以下図のように、等価交換を行うことで、Bさんは完全所有権の土地と建物を第三者に売却できるため、借地権付き建物を単体で売却するよりも、不動産価値が高く、高値での売却が実現します。
ただし、等価交換の契約内容は詳細に決める必要があり、地主と双方の合意が不可欠です。完全所有権の土地を手に入れることができるメリットがありますが、条件の調整が必要になるため、交渉に時間がかかる点はデメリットと言えるでしょう。
底地と同時売却する
地主に底地を手放しても良い、という意思がある場合、同時売却もおすすめな方法です。
同時売却は、底地と借地権付き建物を同じタイミングでセットで売却する方法です。買い手としては、完全所有権の不動産が手に入るため、購入需要は高まります。
ただし、こちらも売買代金を借地人と地主の間で、どのように分配するのか、協議がまとまらないケースがありますので、同時売却を検討する際は、借地権専門の不動産会社に一度相談してみると良いでしょう。
地主の譲渡承諾が貰えない場合の対処法
借地権の売却(譲渡)には、地主の承諾が必要です。
地主の承諾が得られない場合は、借地非訟手続を行います。
借地非訟手続とは、地主の代わりに裁判所に譲渡承諾を貰う手続きのことです。
借地非訟手続の流れは以下の通りです。
- 申立書の提出
- 審問
- 鑑定委員会の意見聴取
- 和解勧告または決定
借地非訟手続は、裁判所を介して借地契約に関する問題を解決する手続きであり、主に調整や調停を通じて解決を図ります。訴訟と異なり、当事者間の合意に基づいて解決を目指しますが、合意が得られない場合は裁判所が下した命令に基づき、借地権の譲渡承諾の可否を決定します。
参考記事:借地非訟とは?手続きや費用、メリット・デメリットについて解説
借地権付き建物を売却するためのコツ
「借地権付き建物は売れない」と言われるほど、売却までに様々なハードルがあります。しかし、借地権付き建物はコツを押さえれば高く売却することができます。
借地権付き建物を好条件で売却するためのコツは、以下の通りです。
- まずは借地権に詳しい弁護士や不動産会社に相談する
- 借地権の価値を正しく理解する
- 地主の承諾が得られないなら中央プロパティーへ
まずは借地権に詳しい弁護士や不動産会社に相談する
借地権付き建物は、一般的な不動産の売買とは異なり、多くの専門知識が必要となります。一見、大手の不動産会社に相談したほうがしっかりとした対応をしてもらえるイメージですが、借地権付き建物については、そうとは限りません。
まず、借地権の契約書の内容を正確に理解し、売却時のリスクや注意点を整理する必要があります。その後、多くのケースでは、地主に対して交渉を進めることになるため、高い交渉スキルや解決ノウハウを有していなければ、交渉が難航してしまうのです。
最悪のケースでは、地主との関係性が悪化してしまうこともあるので、必ず借地権に詳しい弁護士または不動産会社を選びましょう。
借地権の価値を正しく理解する
借地権付き建物は、通常の不動産と比較して制約が多い分、不動産の評価額が低くなる傾向があります。
しかし、中には相場よりも大幅に安い査定額を提示し、安く買い叩こうとする悪徳な業者もあります。
借地権の評価方法は、複雑で難しいですが、中央プロパティーが提供する借地権専門の無料査定サービスをご利用いただくことで、24時間以内にあなたの借地権の査定額を知ることができます。
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地主の承諾が得られないなら中央プロパティーへ
一般的に、借地権は地主の承諾がなければ、第三者に売却することはできません。
しかし、中央プロパティーでは10年以上、借地権の売買仲介を専門に行ってきたノウハウを活かし、「地主の承諾なしでも借地権を売却」することができます。
借地権付き建物を売りたい方は、センチュリー21中央プロパティーへぜひご相談ください。
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。