\ 無料相談・査定をする /

借地権付きの建物や土地を購入するメリットとデメリットは?

作成日:
コンテンツ番号:17039

借地権付きの建物や土地を購入するメリットとデメリットは?

家の購入は、人生の中でも大きな決断のひとつです。物件や土地を探している最中に「借地権」という言葉を目にしたことがある人もいるかもしれません。特に都市部では多くの借地権付きの物件が市場に出回っています。

しかし、そもそも借地権とは何なのか、土地を購入して自分のものにするのとはどのような違いがあるのか、正しく理解できていない人もいるのではないでしょうか。

この記事では借地権の基本的な概念から、購入する際のメリットとデメリット、さらに実際に購入する手順をわかりやすく解説します。

借地権は購入できる?

「借りる」という文字が含まれていることから、借地権は購入するものなのか借りるものなのかイメージしづらいかもしれません。まずは借地権の概要について解説していきます。

借地権は購入できる

借地権は購入ができます。ややこしいですが、「土地を借りて建物を建てる権利」を買っているため、借地権は売買や譲渡が可能です。ただし借地権の売買は手続きが複雑で、一般的には不動産の専門家や弁護士の手を借りて行います。

そもそも借地権とは

借地権とは、他人の土地を借りて自分の建物を建てる権利のことです。借地人(土地を借りる人)は地主(土地を貸す人)に対して地代を支払う代わりに、その土地を使用する権利を得ます。また、貸している土地のことを貸宅地や借地と呼びます。

借地権と所有権の違い

借地権と所有権は権利の内容が異なります。借地権はその土地を借りて使用する権利のことですが、所有権は土地や建物を所有する権利のことです。借地権の場合は土地と建物の所有権が別々の人に帰属するのに対して、所有権は土地と建物の両方を同じ人が所有します。

借地権付き建物を購入するメリットとデメリット

ちなみにですが、借地権の売買が指す内容は大きく分けて2つあります。

  1. 借地権付き建物の売買
  2. 借地権という権利の売買

2の場合、建物が建っていない更地の状態の土地の権利を売買することになります。今回の記事では1のパターンについて解説します。

それでは、借地権付き建物を購入するメリットとデメリットを具体的に解説します。

借地権付き建物を購入するメリット

借地権付き建物を購入するメリットは、以下の2つです。

  • 土地の固定資産税がかからない
  • 所有権よりも安く購入できる

通常、土地を所有している場合、毎年固定資産税を納める義務があります。借地権では、土地の所有者は地主になるため、借地人は建物の固定資産税は払いますが、土地の固定資産税を支払う必要はありません。

また、借地権付きの建物は所有権よりも安く購入できることもメリットです。同じエリアで同様の建物を購入する場合でも、借地権付き建物のほうが価格が低い傾向にあります。借地権付き建物の方が、割安になる理由は、建物の活用に地主の承諾が必要になるためです。

詳しくは、以下で解説します。

借地権付きの建物を購入するデメリット

借地権付き建物の購入にはデメリットも存在します。

主なデメリットとして、以下が挙げられます。

  • 地代の支払いが必要
  • 増改築や売却の際には地主の承諾が必要
  • 地主とトラブルになるケースがある
  • 住宅ローンの審査が厳しい

借地権付き建物は、継続的に地代の支払いが必要です。借地権は土地を利用する対価として地主に地代を支払う義務があるため、毎月一定の費用が発生します。

加えて、借地権付き建物では、自由に土地を扱えるわけではなく、地主の承諾が必要な事項が多くあります。例えば、住宅ローンを利用するときや、建物の増改築、売却時などです。そのため、地主から承諾を得るための交渉や手続きが発生します。

こうした決まりがあることから、借地権付きの建物を購入した後にも地主との良好な関係の維持が重要になってきます。地主との関係が悪化すると、地代の改定や契約の更新がスムーズに行えなくなる可能性があります。

そして、借地権付き建物の住宅ローンの融資審査は厳しめです。これは借地権の担保評価が低いためです。

借地権は所有権と違い、借地権者が土地を自由に扱えないため、金融機関はリスクを高く見積もりがちです。そのため、一般的な所有権の不動産よりも融資の審査が厳しくなり、地主から融資承諾を得ることが難しいことも、ハードルの高い要因になっています。

借地権付き建物を購入する手順

ここからは借地権付き建物を購入する手順を1つ1つ解説していきます。借地権付き建物の購入を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

Step1.物件の情報収集をする

まずは物件の情報収集を行います。物件情報の収集は、不動産業者のWebサイトや物件広告をチェックすることから始めるのがおすすめです。「借地権」の表記がある物件や土地を探しましょう。

必要な情報を効率的に収集するために、借地権の専門会社に相談するという方法もあります。専門会社は、借地権に関する豊富な知識と経験を持っているため、依頼者のニーズに合った物件探しをサポートしてくれます。

気になる物件や土地が見つかったら、現地見学も忘れずに行います。近隣の雰囲気や交通の利便性、生活環境などもチェックしておくと良いでしょう。

Step.2不動産会社や仲介会社に購入の申し込みをする

続いて、購入を希望する借地権付き物件や土地を取り扱っている不動産会社・仲介会社に連絡し、購入の申し込みをします。

このタイミングで借地権の契約期間や地代について詳しく確認しておきましょう。また、後々起こり得るトラブルを避けるために、地主が個人なのか法人や寺院なのか把握しておくことも大切です。

Step.3住宅ローンの事前審査を受ける

借地権付き建物を購入する場合でも、一般的な所有権の土地や建物と同様、住宅ローンを利用して資金を確保することが一般的です。
しかし前述した通り、借地権付き建物の場合は住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。

自己資金の割合を高めれば、融資審査のハードルを下げることも可能です。事前審査を通過するためには、資金計画を慎重に立てることが求められます。

Step.4売買契約を交わす

住宅ローンの事前審査が通ったら、次は売買契約を交わします。

売買契約書には物件の詳細や取引条件、価格、支払い方法、引き渡し時期など多くの情報が記載されています。特に借地権に関する詳細な条件も含まれるため、しっかりと目を通しましょう。不明点があれば、必ず質問するようにしてください。

Step.5住宅ローンを申し込む

金融機関の本審査を通過すれば、ローン契約を結ぶことができます。しかし、借地権付き建物で住宅ローンを組む際には、地主の署名と捺印がされた金融機関指定の融資承諾書が必ず必要です。融資承諾書は、借地人になる買主がローンを組むことを地主が承諾した証明になります。

ただし、中には融資承諾書の作成への協力を拒む地主も多くいます。このとき、現実的でない融資承諾の条件を提示されることもあります。

(例)

  • 高額な融資承諾料を要求される
  • 特定の金融機関の住宅ローンしか認めない
  • 年収◯◯万円以上の世帯にのみ融資を承諾する
  • 外国人は不可(日本国籍を有した人に限る)

したがって事前に地主としっかりとコミュニケーションを取って、良好な関係を築いておくことが重要になってきます。どうしても協力が得られない場合は、借地権にまつわるトラブルに強い専門家や業者に相談する選択肢もあります。

Step.6引き渡し

売買契約に基づき、物件の決済と引き渡しが行われます。引き渡しによって物件の所有権が正式に借地人の名義となります。管轄地域の法務局で所有権移転登記や借地権登記を済ませたら、正式な手続きは完了です。

借地権付き建物を購入する前に相談しよう

今回は購入するという観点から借地権について解説しました。

借地権付きの建物や土地利用権を所有することで得られる利点には、通常の所有権よりも安価に不動産を取得できる点や土地の固定資産税を支払わずに済む点が挙げられます。一方で地代の支払いが継続的に必要であったり、増築などを行う際は地主の承諾を得なければならなかったりするデメリットがあります。

また、借地権の売買は複雑な要素が絡むほか、地主との関係性が要因でトラブルに発展するケースも少なくありません。したがってスムーズに売買を行うには借地権の専門会社へ相談するのをおすすめします。専門会社はノウハウが豊富なのに加えて交渉スキルも高いため、トラブルが起きたとしても早期解決が期待できます。ぜひ検討してみてください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

この記事のタグ

おすすめの記事はこちら