借地人は更新料を必ず支払う必要があるのか?|弁護士Q&A
借地人は更新料を必ず支払う必要があるのか?
借地契約を更新する更新料を支払う義務はあるのか。支払わないと契約はどうなるのか(解除原因になるのか)。
地主と借地人との間で更新料についての合意があれば、更新料を支払う必要があります。契約の重要な要素となっている場合には解除事由となり、解除される可能性があります。
詳細解説
更新料とは
賃貸借契約を更新する場合に、更新料という名目で金銭が授受されることが一般的です。これは賃料の前払及び礼金的性格を有しています。ただ、法律上は、借地契約が更新される際に更新料の支払いが義務とされているわけではありません。よって、そもそも地主が更新料を請求するためには、更新の際に借地人との間で更新料の支払いについて合意する必要があります。
なお、地主と借地人との間で更新料を支払う旨の契約(合意)が成立した場合には、金額が暴利に当たるような高額なものでなければ、有効であると考えられています。
更新料の不払いがあった場合
更新料の不払いが解除事由になるか判旨:「土地の賃貸借契約の存続期間の満了にあたり賃借人が賃貸人に対し更新料を支払う例が少なくないが、その更新料がいかなる性格のものであるか…どうかは、単にその更新料の支払がなくても法定更新がされたかどうかという事情のみならず、当該賃貸借成立後の当事者双方の事情、当該更新料の支払の合意が成立するに至つた経緯その他諸般の事情を総合考量したうえ具体的事実関係に即して判断されるべきものと解するのが相当である …本件更新料の支払は、賃料の支払と同様、更新後の本件賃貸借契約の重要な要素として組み込まれ、その賃貸借契約の当事者の信頼関係を維持する基盤をなしているものというべきであるから、その不払は、右基盤を失わせる著しい背信行為として本件賃貸借契約それ自体の解除原因となりうるものと解するのが相当である。」
【最判昭59年4月20日】事案
判例はここでも信頼関係破綻の理論を適用し、単に不払いがったことで解除できるとするわけではなく、更新料を支払う契約が賃貸借契約の根幹・基礎となっているか否かを考慮するようにしているといえます。
更新料の支払いが合意された経緯等から、借地人が更新料を支払わないことによって信頼関係が破壊される程度に至っていると認められる場合には、借地契約を解除することができることになります。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。