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借地権のリフォームに注意!地主への承諾料が必要なケース|借地権のトラブル

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借地権のリフォームに注意!地主への承諾料が必要なケース

「借地権付きの家をリフォームするのに地主の承諾は必要?」

「借地権の家のリフォームする際の注意点を知りたい」

「承諾料をもらうにはどれくらいかかる?」

借地権付きの建物を解体・売却する際は地主の承諾が必要となる場合がほとんどですが、借地権の家をリフォームする際も承諾は必要なのでしょうか。地主から承諾をもらう場合、承諾料を支払うことになるため事前に承諾の有無を把握しておく必要があります。また承諾料はどれくらいの価格が必要なのか気になる方もいらっしゃるでしょう。この記事では借地権のリフォームと増改築の違いについて紹介し、リフォームを行う際の注意点を解説します。

1. 借地権のリフォームと増改築のちがい

一般的にリフォームと増改築は同じ意味合いに捉えられておりますが、借地権においては2つの違いを理解しておくことが大切です。リフォームであれば地主の承諾が不要となる一方で、増改築は地主の承諾が必要なため、承諾料を支払うことになるためです。ここでは2つの違いについて解説します。

1-1 借地権のリフォームとは

借地権リフォームとは現状の建物をそのままにし、一部の修繕などを行う工事のことや老朽化した建物や設備を新築時に近い状態に修復することを指します。具体的には以下のような工事が当てはまります。

  • 外壁塗装または張替え
  • キッチンやユニットバスなどの設備の入れ替え
  • 内装のクロスの張替え

リフォームは主に小規模な工事が該当し、建築確認申請も不要です。なおかつ借地権付き建物の場合も地主の承諾が不要となるため、承諾料を支払う必要もありません。ただし、地主とトラブルにならないためにも事前に借地権付き建物のリフォーム工事を行う旨を伝えておくことをおすすめします。

1-2 借地権の増改築とは

借地権付き建物の増改築とは、建物の一部を解体して改修工事を行ったりする工事のことを指します。正確には増改築は「改築」と「増築」に分かれています。

改築とは建築基準法によって「建築物の一部を除却または、建築物が災害によって一部焼失した後、引き続いてこれらと用途・規模・構造の著しく異ならない建築物を建てる工事」と定められています。

一方、増築は既存の建築物が建っている敷地に、新たに建物を築造することを指します。建築基準法では10平方メートルを超える増築を行う際には、指定確認検査機関に「建築確認申請」の提出が義務付けられています。

「増築」と「改築」は建築基準法上では「建築行為」にあたるため、新築や建て替えなどと同様に建築確認申請が必要となり、完成後には法務局で「建物表題変更登記」が必要です。

借地権のリフォーム工事では建築確認申請が不要となりますが、増改築では建築確認申請の認可を得なければ工事を行うことができません。また地主からの承諾も必須に定められていることが多いため、承諾料を支払う必要があります。

2. 借地権をリフォームする際の注意点

借地権の家をリフォームする際は地主の承諾が不要となりますが、以下の3点に注意する必要があります。

2-1 増改築禁止特約がないか確認する

借地権の家を増改築する際は、地主と締結した土地賃貸借契約書に「増改築禁止特約」が記載されていないか確認しておきましょう。

増改築禁止特約とは、地主の承諾なしで建物の増改築を禁止する規定のことです。借地上の建物の増改築が行われると建物の寿命が延びてしまい、借地権の期間が長くなることから、地主の立場としては土地の自由度が低くなるため、増改築を禁止している方もいらっしゃいます。

とはいえ、新法借地権が施行された1992年7月以前の契約は、増改築禁止特約がないことが多いため、契約書を確認してみましょう。

土地賃貸契約書がない場合は、「特約付加されていない」と一般的には解されています。しかし地主が契約書を所有している場合もあるため、地主に契約書を見せてもらうようにしましょう。

また、借地権の家をリフォームする場合は地主の承諾は不要となりますが、増改築とリフォームを同じ行為に捉えている地主もいるため、あわせて地主に確認しておきましょう。

2-2 増改築の規模を“あらかじめ”地主に共有する

契約書に増改築禁止特約の記載がない場合は、地主の承諾は必要ありませんが、事前に「どれくらいの規模の増改築を行うのか」を地主に共有しておくことが大切です。

増改築禁止特約が契約書に明記されていなくても、地主の立場からすれば「勝手に増改築されている」と誤解され、トラブルに発展する可能性も高いです。

また増改築禁止特約が明記されていた場合にリフォーム工事を行う際も、「これくらいの工事規模であれば承諾が不要だ」と安易に判断するのは危険です。

一般的なリフォーム工事であっても地主は「この規模の工事でも増改築に該当するため承諾が必要だ」と都合よく一方的に解釈して、トラブルになるかもしれません。

そのため、どれくらいの規模の工事を行うのかを工事着手が始まる前に伝えておくことが大切です。

万が一反対された場合は地主と交渉する期間が必要となり、工事スケジュールが変わってしまう可能性も高いため、工事が決まった段階、もしくは工事の検討をしている段階で伝えることをおすすめします。

2-3 慎重に資金計画を立てる

借地権でリフォーム工事や増改築を行う場合、慎重に資金計画を立てることが大切です。リフォーム工事を行う際の資金を金融機関からの融資で対応しようと考える人は少なくないでしょう。しかし融資を受けるには借入額に対して十分な担保評価が必要です。

担保評価とは、万が一債務者の返済が滞った際、金融機関は不動産を差し押さえて売却し、残債務に充当できるほどの価値があるのかを表したものです。

借地権の場合、更地価格の60〜70%の担保評価となるうえ、借地権付き建物は自由度の低さから売却も困難です。そのため金融機関ではさらに厳しめの評価額として算出するため、ローンを組む場合、通常の不動産より若干ハードルが上がります。

また借地権の場合、土地所有者は地主なので、土地そのものを担保に入れることは地主の承諾なしではできません。地主も土地を差し押さえられる可能性もあることから一般的に土地に対する担保設定に応じることが少ないです。

そのため建物だけの担保評価で借入額が決まりますが、老朽化している建物は評価額が非常に低く、金融機関から借入するのが難しいとされています。

借地権をリフォームする際は、ある程度自己資金で対応しなければいけない状況か、担保不要で高金利のノンバンクなどで融資を受ける必要が出てくるため、慎重に資金計画を立てるようにしましょう。

3.地主への増改築承諾料は必要? 

増改築を行う際は、地主の承諾が必要となりますが、一般的に増改築承諾料を支払うことになります。ここでは増改築承諾料の費用相場について紹介します。

3-1  増改築承諾料とは

増改築承諾料は地主から増改築の承諾を得る対価として支払うお礼金のようなものです。とはいえどの場合も必要というわけではありません。以下の表の通り工事内容によって分けています。

工事内容増改築承諾料
改築・増築必要
リフォーム不要

リフォームであれば増改築承諾料は不要となります。しかし先程もお伝えした通り、リフォーム工事であっても地主に工事規模などを伝えておかないとトラブルにもなりかねないため注意しましょう。

また地主によってはそもそも承諾料を請求して来ない場合もあります。

3-2  増改築承諾料の費用相場

増改築承諾料の相場は基本的に更地価格の3〜5%です。更地価格は土地の時価を表しますが、「国土交通省の土地総合情報システム」で不動産取引価格情報検索で、実際に取引された価格を確認することが可能です。

ただし、あくまでも承諾料は地主と借地人との話し合いで決まります。特に地主と普段から関係構築が十分にできていない場合は、借地人が自分一人で無理に交渉を進めると、地主とトラブルになる可能性があります。交渉が難航しそうな場合は、早めに借地権専門の不動産会社などの専門家に依頼することをおすすめします。自身で交渉してしまうと、地主の言いなりとなってしまい、相場価格からかけ離れた金額に同意してしまうリスクもあります。また最初は「承諾してくれたけど途中から拒否された」ということも少なくありません。

しかし専門家である不動産会社であれば、地主との増改築承諾料を適正価格にしてくれるうえ、工事内容の詳細説明なども行ってくれます。そのため、増改築承諾料の交渉は自身で行うのではなく、借地権専門の不動産会社などに一任しましょう。

4.地主がリフォームを承諾してくれない場合

増改築禁止特約が契約書に明記されていない場合、地主の承諾は不要ですが、地主は建物の建て替えに対して異議を述べることができるため、承諾してくれない場合も考えられます。またリフォームに関しても地主の承諾は不要であるにもかからわらず、地主から反対されて工事の着手ができない場合もあります。

その場合は「借地非訟」の制度を利用して裁判所の代諾許可を得る必要があります。借地非訟とは裁判所に借地人が申し立てを行い、双方の事情を確認し、審問したうえで、借地人は地主の代わりに裁判所から承諾を得ることです。

しかし借地非訟には時間とコストを費やしてしまうデメリットが挙げられます。借地人は申立書を提出し、審問期間を得て鑑定委員会からの意見を聴取して承諾の可否を決定します。その期間はおおよそ半年から1年ほどかかるといわれています。

加えて以下の3つの費用が発生します。

  1. 申立手数料・・・12,000円~128,000円
  2. 郵便切手費用・・・地主1名につき4,500円
  3. 弁護士費用・・・更地価格の5%~10%前後

上記の他に地主から承諾を得た場合の「増改築承諾料」を支払う必要があります。また、特に借地非訟の申し立て費用は弁護士費用の金額が大きくなるうえ、不得意としている弁護士もいらっしゃいます。そのため、借地非訟の申し立てを行う場合、借地非訟に強い弁護士がいる不動産会社への依頼が重要となります。

また地主の立場としては裁判所の関与を嫌がる人も多いため、地主との関係が悪化する可能性も高いです。そもそも契約書がない借地権や増改築禁止特約がない場合は、非訟の申し立て自体が不要です。しかし不要だからという理由で地主に伝えないまま工事着手すると、トラブルの原因にもなりかねず、今後の関係も悪化する可能性も考えられます。借地権の家に住んでいる以上、地主との関係性は非常に重要となることから、交渉経験が豊富で借地権に強い不動産会社を見つけるようにしましょう。

借地非訟についてより詳しく知りたい方は「借地非訟とは?手続きや費用、メリット・デメリットについて解説」をご確認ください。

まとめ

借地権付きの家をリフォームする際は、地主の承諾は不要となりますが、増改築する場合は承諾を得るために、増改築承諾料を支払う必要があります。増改築承諾料は更地価格の3%〜5%前後が相場と言われているものの、地主との交渉によって金額が確定します。しかし交渉経験がない方が行ってしまうと、地主の言いなりとなってしまったり、交渉が決裂して承諾してくれない可能性も高まるでしょう。そのため借地権に強い不動産会社に相談することが大切です。万が一承諾が得られなくても、借地権に強い不動産会社であれば、「借地非訟」の制度についての知識や経験も豊富な弁護士を紹介してもらうことも可能でしょう。当社は借地権を専門に取り扱う不動産会社として、これまで多くのトラブル解決やサポートを行ってきた実績がございます。さらに相談料無料でご対応させて頂いているため、借地権に関して悩んでいる方はぜひ中央プロパティーへご相談くださいませ。

 

この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

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