底地の相続対策はこれ!相続人が喜ぶ底地相続の方法とは
底地の相続対策はこれ!相続人が喜ぶ底地相続の方法とは
目次
昨今では底地を相続するとトラブルになりやすいため、底地を相続したくない、底地を売却して現金で相続したいと親族から言われるケースも多いです。
本記事では、底地の相続についてメリットとデメリットついて詳しく解説します。
<この記事でわかること>
- 底地相続時の注意点
- 底地相続のメリットデメリット
- 底地の相続税の計算方法
- 底地の相続対策方法
1.底地とは
底地とは、所有者(地主)以外の第三者が土地を使用する目的で、借地権が設定されている土地です。
借地権は、借りた土地に建物を建てて自由に使用できる権利のことで、借地権を有する方を「借地人」や「借地権者」といいます。
底地の権利関係を整理すると下記のようになります。
- 底地の所有者:地主
- 建物の所有者:借地人 ※土地を使用できる権利(借地権)
一般的に底地を所有する地主は、借地人と土地賃貸借契約を結んでおり、借地人から地代を得ています。
地主は先祖代々からなる土地を受け継ぎ、その広い土地を区割りして複数の借地人に貸し出しているケースが多いです。
また、底地のことを「貸宅地」とも言います。
2.底地を相続するメリット
底地を相続するメリットは、主に以下の2点です。
- 継続して地代収入を得られる
- 草抜きや建物の設備管理は不要のまま土地を所有できる
最大のメリットは、何といっても賃料収入です。
借地権の契約期間は、30年以上と長く、借地人は建物を建てて生活しているため、長期にわたって賃料収入が得られる可能性が高いでしょう。
最近では、地主業1本ではなく、会社に勤めながら副業的に賃料収入を得ている地主も多いため、資産形成の一つになります。
また、空き地(更地)ではなく、借地人が住む目的で土地を貸しているため、草抜きや建物の設備管理は、基本的に住人である借地人が行います。土地の管理に大きな負担がかかることはないでしょう。
借地人が暮らす建物が建っていることで、人の出入りがあるため、防犯面や安全性も担保できます。
3.底地を相続するデメリット
底地を相続する以下5つのデメリットについて解説します。
- 借地人とのトラブル
- 相続人とのトラブル
- 相続税の対象となる
- 管理業務の負担が大きい
- 売却しにくい
3-1 借地人とのトラブル
土地の賃貸借契約では、しばしば借地人とのトラブルが発生します。強制的に、物事を進められれば良いですが、借地借家法では、借地人の権利が強く守られているため、対応には大きな労力が掛かります。
例えば、以下がよくあるトラブルです。
- 地代が滞納される
- 更新料が支払われない
- 契約違反の建て替えを行っている
- 土地賃貸借契約を解約したくてもできない
滞納された地代を受け取るためには、催告状の送付や訴訟の提起など行わなければならず非常に手間がかかります。
また借地人が地代を滞納していたとしても、簡単に賃貸借契約を解除することはできません。借地借家法では、地主よりも借地人の権利を強く保護しており、1〜2ヶ月程度の滞納では契約の解除は認められないでしょう。
一般的におよそ6ヶ月の滞納や何度も地代を滞納していなければ、債務不履行を理由とする地主側からの賃貸借契約解除は認められない可能性が高いです。
昨今では、借地人のトラブル対応が億劫で、「底地を相続したくない」という相続人も多いです。
3-2 相続人とのトラブル
底地の相続人が2人以上いる場合、相続人同士で以下のようなトラブルに発展する可能性があります。
- 賃料収入の分配割合で揉める
- 底地の売却や管理で揉める
底地の相続人が2人以上になると、賃料収入の分配割合が折り合わず、収益の取り合いになる可能性があります。賃料収入が多額で、底地の管理を1人の相続人が負担しているなどの状況だとより、分配割合で揉める可能性が高まるでしょう。
また相続した底地の扱いについても、方針が割れる可能性があります。相続人Aは売却してまとまった現金を手に入れたい、しかし相続人Bは現在のまま賃料収入を得続けたいといったケースが考えられます。
底地の売却は、相続人全員の同意がなければ行えません。そのため相続人が複数いると議論が平行線をたどり、いつまでたっても相続問題が解決しなくなってしまいます。
相続人同士のトラブルを避けるためには、底地の相続は1人の相続人が単独で行うことがおすすめです。底地の所有者が1人であれば、収益の分配割合や相続後の扱いに関してトラブルになることはありません。
3-3 相続税の対象となる
底地は相続財産の対象のため、相続すると相続税の支払い義務が課せられる可能性があります。
特に駅近や都心をはじめとした地価が高いエリアの底地を相続すると、多額の相続税支払い義務が課せられるため、事前に現金を準備するなどの対策が必要です。
相続税評価額の計算方法は、以下の通りです。
- 自用地評価額×(1-借地権割合)
仮に下記条件の底地を相続した場合の相続税評価額をシミュレーションしてみましょう。
- 1㎡あたりの路線価:70万円
- 借地金割合:70%
- 相続した土地の面積:200㎡
- ※小規模宅地等の特例は考慮しません
- 計算式は「(70万円×200㎡)×(100%-70%)」となり、相続税評価額は「4,200万円」です。
3-4 管理業務の負担が大きい
底地を相続すると、相続人が以下のような管理をしなければならず負担が大きいです。
- 地代の確認や契約の管理
- 地代滞納者への督促対応
- 借地人からの問い合わせ対応
借地人が地代の滞納をしていなくても、毎月の地代の入金確認や契約の管理などの手間がかかります。
また借地人が1度でも地代を滞納すると、管理の負担が大きくなります。地代を回収するためには、借地人への催促や裁判所への申し立てなどを行わなければなりません。
また近年の固定資産税や都市計画税の値上がりに合わせて、地代の増額請求をしても借地権者に断られてしまうと悩んでいる地主が多いです。
地代の値上げ交渉に借地人が応じない場合、賃料増額調停を経て場合にっては裁判所に申立てなければならず、底地を相続すると管理のいろんな負担が非常に大きくなります。
3-5 売却しにくい
底地は売却しにくいこともデメリットです。
先述したように借地人の権利は非常に強いため、借地人に問題がなければ地主から土地賃貸借契約を解除することはできません。
借地権の設定されている土地を購入しても自由に使用できず、購入するメリットが薄いため購入希望者を見つけにくい傾向にあります。
また、底地は担保評価が低くなるため、ローンの審査が通りにくい特徴があります。ローンが組めないとなると、現金一括で買ってくれる資金力のある買主を探すことになるため、尚更売却がしにくくなるのです。
売却しようとすると、相場の土地よりも大幅に値下げしなければならないケースが多く、売却価格によっては相続税額よりも売却金額の方が安くなってしまうこともあります。
4. 底地の評価額は、なぜ低くなるのか
相続税評価額の計算方法は、先述した通り以下になります。
- 底地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)
底地は、自用地と比較して、土地活用の自由度が低いです。
借地人の権利が強く守られているため、借地の購入者は、土地活用が自由にできません。
このような理由から、底地を売却しても高値にならず、相続税の負担の方が大きいという状況になってします。
5. 相続人が喜ぶ底地の相続対策
ここでは、相続税対策ではなく、相続対策について解説します。
「負担が大きい割に得られるメリットが少ない」「子どもに負動産を相続したくない」と考える方は、ぜひ参考にしてください。
底地の相続対策は、大きく2つあります。
- 底地を売却して現金化してから相続する
- 今のうちに管理代行業者に代行を依頼する
5-1.底地を売却して現金化してから相続する
この選択肢は、相続人の方から提案される場合も多いようです。
煩わしい管理や相続税の問題があり、相続人が底地を持つことに後ろ向きの場合、生前に売却して現金化しておくのがおすすめです。
底地の売却先は、6.底地を売却する方法で詳しく解説しています。
5-2.今のうちに管理代行業者に代行を依頼する
相続したくない理由の一つに、管理業務の負担があります。
地代や更新料、承諾料など、お金の交渉を借地人に行う訳ですから、慣れていない場合はかなり精神的な負担が大きいです。
「地代収入は得たいけれど、借地人との交渉は面倒」という場合は、底地の管理代行業者に相談するのが良いでしょう。
底地の管理代行業者では、主に以下のような業務を代行してくれます。
- 地代の集金・管理
- 滞納者への督促
- 契約手続きの代行
- 借地人との交渉(地代値上げ・更新料・承諾料など)
費用は、業者によって異なりますが、地代の3~5%程度のところが多いようです。
底地の管理代行については、こちらの記事で詳しく解説しています。
6.底地を売却する方法
底地の売却は難しいと説明しましたが、借地権のノウハウを十分に持った不動産会社に依頼すれば、決して売却できないわけではありません。
ここでは、底地を売却する下記3つの方法について解説します。
- 底地を借地人に売却する
- 底地の買取業者に売却する
- 投資家等の第三者に売却する
6-1 借地人に売却する
借地人に売却する方法があります。借地人が底地を購入するメリットは以下の2つです。
- 地代・更新料もなくなり、何よりも地主の承諾等が不要になる
- 土地と建物が同一名義の完全所有権の不動産になる
上記のメリットを提示すれば、借地人が底地を購入してくれる可能性は高まります。
ただし、借地人が底地を買い取る場合の買い取り価格は、更地価格の50%〜70%が相場です。
安く購入したい借地人と高く売りたい地主と考え方が真逆のため、納得する価格での売却は難しいです。
6-2 底地の買取業者に売却する
底地を専門にしている買取業者に売却する方法もあります。専門業者は自社で買い取るため、底地であっても速やかに売却ができます。
買取業者のビジネスモデルは、安く土地を仕入れ高い価格で転売することです。そのため買取業者の言い値でないと売却できない可能性が高いです。
速やかに底地を現金化したい場合は、買取業者への売却を検討しましょう。
6-3 投資家等の第三者に売却する
投資家をはじめとした第三者への売却は、不動産の仲介業者に相談するところからはじまります。仲介業者は買取業者とは異なり、売主の代わりに高値で買い取ってくれる買い手を探してくれます。
これまで解説した3つの選択肢の中では、最も高額で売却できる可能性が高いのが第三者である投資家への売却です。そのため売却先を検討する際は、必ず仲介業者を含めて比較しましょう。
まとめ
この記事では、底地の相続について詳しく解説しました。
底地の相続に関するお悩みを解消するためには、底地の専門業者に相談するのがおすすめです。
中央プロパティーは、借地権・底地に精通した不動産仲介業者です。
ご相談からご売却まで、売主様(地主)からは一切手数料を受け取っておらず、底地の管理代行も無料です。
底地の相続でお困りの方は、一度中央プロパティーまでお問い合わせください。お役に立てることがあるはずです。
この記事の監修者
社内弁護士
当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。