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【弁護士Q&A】借地の更地返還について相談です

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コンテンツ番号:13907

【弁護士Q&A】借地の返還と解体費用について相談です

借地権の無償返還に関する届出をするには?届出と課税の関係・有償返還の方法も解説

借地を手放したい場合について相談です。
私の実家は借地です。この度借地人である父親が介護施設に入ることになり、借地を地主に返還したいと考えています。それで色々調べていたところなのですが、借地を返還する場合、更地にして返さなければならないのでしょうか?建物を取り壊すとなると200万円以上かかると聞いて、悩んでいます…。

民法のルールでは、賃貸借が終了したときは、借主は、借用物を受け取った後に附属させた物を収去した上で、貸主に借用物を返還する義務を負います(民法622条、599条1項)。これを借地契約に当てはめると、借主である借地人は、借地契約が終了したときは、借地に附属させた借地上の建物を、自らの費用をもって収去して、更地に復した上で、貸主である地主に借地に返還する義務を負う、ということになります。


しかし、この民法のルールが常に適用されるとすると、借地人は、建物を築造するために投下した資本を、売却という形で回収する途を閉ざされてしまうことになってしまいます。また、借地契約が終了するたびに毎回借地上の建物が解体されてしまうという事態は、社会経済的に見ても望ましいことではありません。


そこで、借地借家法では、上記の民法のルールの例外として、一定の要件のもとで、借地人に、地主に対する建物買取請求権を認めています(借地借家法13条1項)。借地人が建物買取請求権を行使すると、その時点で、借地人を売主、地主を買主として、借地上の建物を時価で売買する内容の売買契約が成立するものとされています。
この買取請求権が認められるには、借地上の建物の存在の他、借地権の存続期間が満了し、かつ更新がないことが要件とされています。


更新の可能性を前提としているので、例えば借地権が定期借地権の場合には、建物買取請求権は認められません。
かつ、この建物買取請求権は、誠実な借地人を保護する趣旨で設けられたという制度経緯から、例えば、期間満了を待たずに債務不履行解除で借地契約が終了した場合には、建物買取請求権は認められません。


他方、存続期間満了前に借地人と地主との合意により契約を終了させる合意解除の場合は、借地上の建物の扱いについて当事者間で合意がされていれば、その取り決めに従いますが、当事者間の合意が明確ではない場合も、借地人の建物買取請求を肯定した裁判例があります。これは、誠実な借地人の保護という趣旨は、合意解除における借地人にも妥当しうると判断されたものと解されます。

まとめ

  • 民法の原則からは、借地人が自らの費用で建物を解体し、更地で返還する義務を負います。
  • 借地借家法は、一定の要件のもと、借地人に、地主に対する建物買取請求権を認めています。

関連記事:借地の家の解体費用が払えない場合の対応策と解体費用を抑える方法を解説

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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