\ 売却のご相談はこちら /

借地権相続時の名義変更手続きとは?登記の流れや必要書類・注意点を解説

更新日:
作成日:
コンテンツ番号:1372

借地権相続時の名義変更手続きとは?登記の流れや必要書類・注意点を解説

借地権相続時の名義変更手続きとは?登記の流れや必要書類・注意点を解説

借地権は相続や贈与の対象です。では、借地権付き建物を相続した際、建物の名義変更が必要なのでしょうか。

この記事では借地権を相続した後の、建物の名義変更手続きの流れや必要書類、起こり得るトラブルと対処法などについて詳しく解説します。

相続時に行う借地権の名義変更手続きとは?

相続を原因とする借地権の名義変更手続きとは、厳密には「相続登記手続き」といいます。この相続登記は、2024年4月1日から義務化され、相続開始を知った日から3年以内に手続きを完了させる必要があります。

ただし、非常に稀なケースではありますが、土地に賃借権登記が設定されている場合は、建物と合わせて、土地に登記された賃借権者の名義変更(相続を原因とする賃借権移転の登記)も行う必要があります。

また、借地権を第三者に譲渡・売却する場合には地主の許可が必要ですが、借地権を相続する際は地主の承諾は不要です。これまでの契約内容がそのまま引き継がれます。

ただし、後々のトラブルを避けるためにも、相続が発生した際は以下の対応をおすすめします。

  • 契約内容を改めて確認する
  • 地主に相続があった旨を報告する

関連記事:相続登記が義務化!借地権の相続登記の流れ・費用・必要書類を解説

相続を原因とする借地権の名義変更(建物)の流れ

こちらでは、借地権を相続したときの名義変更の流れを、以下の順番で解説します。

  1. 必要書類を準備する
  2. 借地権を相続する人を決める
  3. 地主に相続することを通知する
  4. 法務局で建物の名義変更の手続きを行う

Step1.必要書類を準備する

相続を原因とする借地権の名義変更(実質的には建物の名義変更)には、複数の書類が必要です。主な必要書類には被相続人の戸籍謄本、相続人の住民票、遺産分割協議書などがありますが、詳しくは後ほど解説します。

こうした書類は、相続の事実と権利関係を証明するものです。書類の不備や不足があると手続きが遅れる可能性があります。

Step2.借地権を相続する人を決める

続いて、相続人を決めます。被相続人の遺言書がある場合はその内容に沿って遺産分割を行います。

遺言書がないときに行うのが遺産分割協議です。相続人全員で話し合い、誰が借地権付き建物を引き継ぐかを決めます。話し合いが難航する場合や、なるべく円滑に相続を終えたい場合は弁護士に相談することも検討しましょう。

遺産分割協議が終わったら、遺産分割協議書を作成します。

Step3.地主に相続することを通知する

借地権の相続を進めるにあたって、地主の承諾は不要です。しかし、地主との良好な関係を維持するためにも、相続の事実を通知することが望ましいでしょう。借地契約の継続性を確認しつつ、地主とのトラブルを防ぐ効果があります。

このとき、地主によっては承諾料を請求されることがありますが、契約書に記載されていない限り、相続のタイミングで承諾料を支払う義務はありません。

Step4.法務局で相続を原因とする建物の名義変更手続きを行う

最後に、法務局で建物の名義変更手続きを行います。手続きを行えるは、借地権が設定されている土地がある場所を管轄する法務局です。必要な書類を法務局に提出し、審査を経て正式に名義変更が完了します。

手続きの複雑さや重要性を考慮すると、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、手続きの遅延やミスを防ぎ、スムーズに名義変更できます。

相続を原因とする借地権の名義変更手続きの必要書類

借地権の名義変更に必要な書類について解説していきます。名義変更をする際は以下のような書類が必要になります。それぞれどのようなものなのか見ていきましょう。

  • 戸籍謄本(被相続人と相続人全員分)
  • 被相続人の戸籍の附票
  • 相続人の住民票
  • 遺産分割協議書または遺言書
  • 印鑑証明書(相続人全員の印鑑証明書)
  • 固定資産税証明書
  • 委任状(司法書士等に登記手続きを依頼する場合)

名義変更は書類の用意だけでなく、手続きにも専門的な知見が必要になるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめいたします。

借地権の名義変更料の相場

借地権の名義変更が生じる場面としては、

  1. 相続が起きた場合
  2. 借地権を第三者に譲渡した場合

名義変更料は他にも、「譲渡承諾料」や「名義書換料」等と呼ばれることもありますが、すべて同じ意味になります。

関連記事:借地権の名義変更料とは?支払うタイミングと借地相続の流れを解説

借地権の名義変更に地主の承諾が必要となるケース

相続した借地権の名義変更(相続登記)に、地主の承諾は不要ですが、一部のケースでは、地主の承諾が必要となります。以下のような目的で名義変更を行う場合は、地主の承諾が必要です。

  • 相続した借地権付き建物を第三者に譲渡する場合
  • 相続した借地権付き建物を相続人以外の人へ遺贈する場合

相続した借地権付き建物を第三者に譲渡する場合

借地権を相続した後、第三者に譲渡・売却する際は、地主の許可(もしくは裁判所の許可)が必要になります。また譲渡が認められれば名義変更に伴う名義変更料を地主に支払う必要があります。たとえその譲渡が裁判所による許可の場合であっても、借地人から地主に対しては財産上の給付(名義変更料に代わる性質の金銭)を命じられることが通常です。

一方で借地権を相続した場合、遺産分割協議が整わなかったり、法定相続分通りに共同所有にしたりすることで、借地権が共有状態になっているケースも少なくないでしょう。共有状態の借地権は持っていても仕方ないので処分したい、と思われる方も珍しくありません。

自己の持分のみを売却する場合、他の共有者の同意は不要で、自己の判断で行うことができます。しかし、借地権付き建物全体を売却する際には共有者全員の同意が必要になってしまうため、注意が必要です。

相続した借地権付き建物を相続人以外の人へ遺贈する場合

借地権を相続人以外の人に遺贈する場合も、地主の承諾が必要となります。この場合、受遺者(遺贈を受ける人)と遺贈義務者(遺贈を実行する相続人)が借地権を引き継ぐ旨を、地主に通知する必要があります。通常、受遺者が地主に譲渡承諾料を支払うことが一般的です。

受遺者とは、遺言によって財産を譲り受ける人のことを指します。借地権の場合、被相続人の遺言によって借地権を譲り受ける人がこれに当たります。

一方、遺贈義務者とは、遺言に基づいて遺贈を実行する義務を負う相続人のことです。通常、遺言執行者や相続人の中から選ばれます。

借地権の名義変更手続きのよくある質問

共有名義の借地権付き建物を処分したいです。共有者の一人と連絡が取れず、全員の同意が得られない場合、処分できないのでしょうか。

「行方不明だから仕方ない、勝手に不明者の分も処分してしまおう!」というわけにはいきません。一方で、行方不明者が現れない場合、共有者は永久に不動産を処分することができず困ってしまいます。そこで、以下の制度が用意されています。

(不在者の財産の管理) 民法25条:「従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。」

上記の通り、不在者の財産は裁判所という公正な機関の了承を得ることで処分することができます。ただし、このような事態にならないためにも、借地権の共有名義は可能な限り回避したほうがよいと言えるでしょう。

検察官は公益の代表という役割も担っているため、利害関係人の他に検察官も上記のような請求ができるとしています。

借地権付き建物を相続した場合、名義変更(相続登記)は必須ですか?

2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続開始後3年以内に手続きを行う必要があります。これを怠ると10万円以下の過料が課される可能性があります。

借地権自体の名義変更は必要ですか?

建物の名義変更を行うことで借地権も間接的に引き継がれます。ただし、非常に稀ですが土地に賃借権の設定がある場合は、賃借権者(借地権)の移転登記も必要です。

借地権付き建物の名義変更(相続登記)の費用はどのくらいかかりますか?

登録免許税として建物の固定資産評価額の0.4%が必要です。また、司法書士に依頼する場合は報酬が追加で発生します(一般的に5~10万円程度)。

相続登記前に借地権付き建物を売却できますか?

相続登記後に売却が可能です。当社では、相続登記未了の借地権付き建物の売却もサポート可能です。相続登記と売買契約を同時完了させる手続きをサポートします。

借地権付き建物の相続登記後、地主と契約を結び直す必要はありますか?

通常は契約を結び直す必要はありません。ただし、相続後に地代の金額や支払など、契約内容に変更がある場合は地主に確認しておくことをおすすめします。

借地権付き建物の名義変更(相続登記)が遅れた場合、罰則はありますか?

相続登記が義務化されたため、相続開始後3年以内に正当な理由なく手続きを行わなかった場合、10万円以下の過料が科されます。早めの手続きを心がけましょう。

中央プロパティーなら名義変更前の借地権でも売却可能

通常、相続した借地権付き建物を第三者に売却する場合は相続登記(名義変更)が必要であり、その後、地主の承諾も必要です。

しかし、センチュリー21中央プロパティーでは、相続登記が完了していない借地権付き建物や地主に譲渡承諾が得られない場合でもご売却のサポートが可能です。

当社は、借地権専門の不動産仲介会社です。借地権の権利関係に詳しいスタッフが弁護士や司法書士と連携しながら、地主との交渉や相続登記手続きを包括してサポートします。

  • 借地権付き建物を相続したが活用予定がない
  • 親が介護施設に入居するため、空き家になる
  • 相続登記から売却まで丸投げしたい
  • 借地権を売却したいため、地主への交渉を代行してほしい

このような方は、一度センチュリ-21中央プロパティーへご相談ください。

この記事の監修者

永田 泰伸ナガタ ヤスノブ

司法書士

司法書士。福岡県出身。東京司法書士会所属。司法書士ALBA総合事務所代表。借地権や底地の名義変更、遺産分割協議、不動産登記など借地権を始めとした不動産相続に関する手続き・対策の専門家。親切・安全・丁寧がモットー。

この記事のタグ

おすすめの記事はこちら