借地権の売却相場や費用はいくら?2つの売却方法を徹底解説|借地権の売却・買取
借地権の売却相場や費用はいくら?2つの売却方法を徹底解説
目次
関連記事:借地権は売却可能!売却を成功に導く地主への交渉術・流れを徹底解説
借地権とは
借地権とは、「建物所有目的の地上権又は土地賃借権」のことをいいます。
(定義)借地借家法第二条一号 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
ここでのポイントは「建物の所有を目的とする」という点です。建物所有目的でなければ借地権とは言わず、借地借家法の適用もないので注意が必要です。
借地権を用いて土地を借りる人のことを「借地権者」や「借地人」、土地を貸す人を「借地権設定者」、「底地人」、「地主」といいます。
関連記事:【借地権とは?】図解でわかりやすく解説
借地権は売却できる?
借地権を売却することは可能です。ただし、地主さんの許可を得る必要があります。
地主さんに内緒で売却してしまうと、後々取り返しのつかないトラブルに発展しかねません。借地権は権利関係が複雑なことから、通常の不動産と比べて売却時の手続きに専門的な知識が必要になります。
例えば、借地権単体で売却するよりも、借地権と底地権を合わせて売却した方が売却できる可能性が高まり、売却価格も高額になる可能性があります。
地主さんとの交渉をスムーズに進め取引を有利に進めるためにも、借地権の専門業者に相談するのがよいでしょう。
借地権の売却方法2選
借地権を売却する方法は、大きく以下の2つです。
- 地主に売却する(借地権を地主に買い取って貰う)
- 第三者に売却する
1. 借地権を地主に売却する
一つ目の地主へ売却する方法ですが、こちらはやや難易度が高い傾向にあります。
なぜなら、地主に借地権を買い取る義務はないためです。借地人側からお願いして、地主に借地権を買い取ってもらう場合は、借地人自身が自ら交渉するよりも、専門の不動産会社に交渉を代行して貰う方が、スムーズに話が進みます。
借地権を地主に買い取って貰う場合の流れは、以下の通りです。
(1) 不動産業者に相談する
不動産業者に相談することは必須ではありませんが、借地権の売買には専門的な手続きが必要になるので、不動産業者を介して進めていく方がよいでしょう。もちろん、不動産業者を介さずに直接地主さんへ売却交渉する方法でも問題はありません。
(2)条件を交渉する
売却価格等の条件面の交渉を地主さんと行います。
借地人と地主間で、借地権を売買する場合、どちらから売却の話を持ち掛けるかで、若干売買相場が変わります。借地人から、地主に買取を依頼する場合は、相場よりも低い金額を提示されるケースも珍しくありません。
少しでも良い条件で、借地権を売却したい場合は、売買価格の交渉も不動産会社へ代行してもらうのが良いでしょう。
(3)売買契約を締結する
お互いが条件に同意すれば、いよいよ契約の締結です。
口頭で済ませるのではなく、売買契約書を作成し、両当事者が内容を確認し、その上で締結するようにしましょう。借地権の売買契約書の内容には、専門的なポイントが必要なことが多く、やはり専門家に依頼する方が安心と言えます。
(4)所有権移転・売買代金の支払い
現実に地主さん引き渡し、代金を受領をすれば、地主さんへの借地権売却は完了です。
2. 借地権を第三者に売却する
借地権は、第三者に売却することも可能です。ただし、第三者に売却する場合は、地主の承諾が必要です。
第三者への売却を検討するケースとしては、主に以下のようなものがあります。
- 地主が借地権を買い取ってくれない
- 地主との借地権売買の条件で交渉が決裂している
- 地主と関係性が悪く、話し合いができない状態
借地権を第三者に売却する流れは、以下の通りです。
(1)不動産業者に相談
借地権を第三者に売却する場合も、借地権売買の取引に詳しい不動産会社へ相談するのが賢明です。
特に、地主とトラブルになっているケースや地主との関係性が悪いケースでは、下手に自分で交渉を進めない方が、後々のトラブルを回避することができるでしょう。
(2)地主の承諾を得る
借地権を第三者に売却する場合には、地主の承諾がなければなりません。
賃借権の譲渡には法律で賃貸人(地主)の許可が必要と明記されています。地主の許可がなかなか得られない、または得られそうもない場合には、高度な交渉術が必要になります。
また、どうしても交渉が得られない場合には、裁判所に地主に代わる承諾をもらって第三者への売却を進めていきます。(借地非訟手続き)
借地借家法19条:
「借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。」
(3)売却先を見つける
地主の承諾が得られたら、次は買い取ってくれる人を探していきます。
借地権は、権利関係が複雑なことから、所有権の不動産と比較して、一般市場で買い手が少ない傾向があります。借地権を第三者にの売却する場合の相場は、更地価格の60~70%程度になります。この相場は、一般的には地主に売却するよりも高い相場になります。
また、借地非訟の手続きは、申し立ての時点で買受候補者がいる必要があります。借地非訟が前提でも買ってくれる買主を探すのは至難の技です。
借地権の売買取引に強い中央プロパティーでは、センチュリー21の広いネットワークを活かして、良い条件で借地権を購入してくれる買主を探すことが可能です。
(4)購入希望者と売買契約を締結
購入希望者が見つかり、条件面で同意できれば売買契約を交わします。
(5)決済や引き渡しを行う
これで、無事借地権を第三者への売却は完了です。地主に売却する場合と第三者へ売却する場合とで大きく異なるのは、地主の承諾の有無です。
借地権売却の相場と税金や諸費用
借地権の売却にかかる税金や諸費用についても、把握しておきましょう。
1. 借地権売却の相場について
借地権を売却する場合、所有権の建物を売却するよりも、売却価格は安くなります。
ただ、特に都市部では借地権割合は高めで、底地よりもはるかに価値が高い傾向にあります。借地権の売却価格については、その土地がある場所により価値は大きく異なります。
2. 税金について
借地権を売却した場合にかかる税金には、「印紙税」「譲渡所得税」の2つがあります。
譲渡所得税は、借地権付き建物を売却したときの利益に対してかかる所得税と住民税のことです。譲渡所得税の税率は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間によって5年以下の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得として、その税率が異なります。利益が出なければ、基本的には譲渡所得税はかかりません。
3. 諸費用
その他、場合によっては下記費用が掛かる場合があります。
- 建物の解体費用(更地にする場合)
- 地主への承諾料
- 仲介手数料
中央プロパティーでは、仲介手数料をはじめとした売却に掛かる費用は0円です。
借地権売却のポイント
借地権売却の最大のポイントは、「地主の許可が得られるか否か」になります。
先ほども述べましたが、借地権を地主以外の者に売却するには、地主の承諾が必要になります。この承諾が得られないと裁判所に代諾を求めることになり、手続き的に面倒になってしまいます。また、別の費用(弁護士費用など)も掛かってきてしまいますので、注意が必要です。
裁判所の代諾については認められないことはほとんどありませんが、地主との関係は悪化してしまうでしょう。今後気まずくなってしまうことも考えられますので、 可能な限り、当事者間で話し合い解決するよう努め、裁判所の力を借りるのは最終手段にすべきです。
借地権売却のトラブルに注意
借地権売却のトラブルで多いのは、地主からなかなか承諾が得られないということです。他にも、相場よりも著しく高い承諾料や更新料・地代を地主から請求されるケースなどがあります。
また、借地権付き建物を売却した際、瑕疵があったとして売主と買主間でトラブルになるケースもあります。建物に瑕疵がある場合には、売主(元の借地人)に対して、土地自体に瑕疵がある場合には、地主に対して、それぞれ、買い手は瑕疵担保責任を追及する可能性があります。
瑕疵とは、簡単に言えば欠陥のことです。建物の根幹的部分に欠陥があったり、地盤そのものに問題があったりする場合がその例になります。
このようなトラブルを防ぐためにも、借地権の取り扱いに精通した不動産会社に相談するのがおすすめです。
関連記事:借地権で起こりやすいトラブルとは?地代や立ち退きトラブルの対処法を解説
借地権を相続した場合
借地権を相続すると、被相続人の借地人としての地位もそのまま引き継ぎます。
地代や契約残存期間など、被相続人の契約をそのまま引き継ぐことになります。加えて税金のことも視野に入れなければなりません。「相続税」「登録免許税」の2つがかかってくるので注意が必要です。「借地権を相続しても使わないし、不要だ」そんな場合は借地権の売却を検討するとよいでしょう。
借地権を共同相続するのは回避しよう
遺産分割協議により、法定相続人の誰かが、単独で相続する場合であればよいのですが、複数人が借地権を共同相続してしまうとその法律関係はややこしくなってしまいます。借地人が複数になってしまうだけではなく、2次3次相続が起き借地権が細分化されてしまっていたら、いざ整理しようと思ってもなかなか難しいのが現実です。
そのため遺産分割をする際には共同所有にはならないようにしましょう。仕方なく、借地権を共同名義で所有することになったとしても、可能な限り早く共有状態を解消することを推奨いたします。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。地代滞納、建物明け渡しなど借地権・底地権の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。