仮差押登記がある底地の売買|底地の売却・相続
仮差押登記がある底地の売買
ご相談内容
購入を検討しているA所有の甲不動産(底地)の登記の甲区(権利部)欄に、「仮差押」という記載があります。 また、「債権者」としてB銀行の名前があります。 この登記記録の記載にはどのような意味がありますか。 また、このような不動産を購入することはできるのでしょうか。
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仮差押えとは
(仮差押命令の必要性)
民事保全法第20条:「仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。」
仮差押えは、「差押え」への移行を前提とする手続きで、債務者が財産を動かせないようにする効果があります。すなわち、民事訴訟(本案訴訟)での判決よりも前に、相手方の財産を仮に差し押さえて、相手方の財産の処分を制限しようとするものです。裁判中に財産を処分されてしまっては、原告(債権者)からしたら、たまったものではありません。
そこで、民事訴訟を起こす前に、将来、被告の財産からも債権を回収できるようにしたいと考え、行うのが、仮差押えです。
差し押さえの効果と本件の場合
仮差押登記がされているにも関わらず、Aが、仮登記の差し押さえ後に甲不動産を売却するなどの処分行為をしたとします。その後、B銀行が甲不動産について強制執行したとすると、
仮差押えの効果により、その処分B銀行に対抗することができません。仮差押えがある以上、Bが優先してしまうということです。
そうです。仮差押えがあると、せっかく購入したのに失ってしまう可能性があります。
このような事態を避けるためには、AとB銀行との間の紛争が解決し、本件不動産の仮差押登記が抹消「後」に買うことを考えるべきです。仮差押えがある不動産を買うということは、よほどのことがない限り、やめた方がよいと言えるでしょう。
この記事の監修者
司法書士
司法書士。福岡県出身。東京司法書士会所属。司法書士ALBA総合事務所代表。借地権や底地の名義変更、遺産分割協議、不動産登記など借地権を始めとした不動産相続に関する手続き・対策の専門家。親切・安全・丁寧がモットー。