作成日:2017.08.24
民法413条:「債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないときは、その債権者は、履行の提供があった時から遅滞の責任を負う。」
とあります。
受領遅滞とは、本来、債権者が債権を行使するか否かは債権者の自由であり、債務者のなした弁済の提供を受領する義務は負わないはずですが、法が公平の観点から特別に認めた法定の責任であると考えられています。
※要件
①債務者によって債務の本旨にそった弁済の提供があること
②債権者が弁済の提供の受領を拒絶し、あるいは受領不能の状態に陥ること
が必要です。
なお、債権者の故意・過失は不要と考えられています。
※受領遅滞の効果
①債務者は債務不履行の責任を負わない。
民法492条:「債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる。」
②債務者は供託して債務を免れることができる(第494条)。
民法494条:「債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。」
③債権者は同時履行の抗弁権を失う(第533条本文)。
民法533条:「双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」
債務の履行をするまではとあり、反対に債務を履行すれば、自己の債務を拒むことができなくなります。
④特定物の引渡しの債務を負う者の注意義務が軽減される。
民法400条:「債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。」
債権者が拒んでいる場合には自己の所有物と同様の注意で足りるようになります。
⑤危険が債権者に移転する
⑥受領遅滞中の保管費用は債権者負担となる(第485条ただし書)。
民法485条:「弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。」
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