作成日:2017.04.24

時効


時効

意義:長い間続いた事実状態を尊重し、その状態が法律的に正当でなくとも、これを正当な法律状態と認めること(民法における時効)

時効

民法における時効とは、ある事実状態が一定の期間継続したことを法律要件として、その事実状態に合わせて権利ないし法律関係の得喪変更を生じさせる制度をいい、取得時効と消滅時効とに分かれます。


1、取得時効

 

民法162条1項:「二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。」

同条2項:「十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。」

とあります。

 1項が悪意の場合で2項が善意の場合です。

 他人の物とは知らずに占有を開始した場合(善意の場合)は悪意の場合よりも短く、10年で所有権を取得できることになります。

 ※要件

 ①占有:物を自己のためにする意思を持って所持する事実的支配状態

 ②所有の意思:所持による事実上の利益を自己に帰させようとする意思

  例賃貸借契約も占有している状態ですが、賃料を払っている等の事情は自己のものとして占有しているとは言えないため、10年20年と占有しても所有権を取得することはできません。

 ③平穏・公然:強暴や隠秘でないこと

 ④善意取得の場合は善意無過失が要件

 となります。

 ※AからBに占有が移ったが、Aは善意Bは悪意の場合はどうか。BはAの善意占有を主張することができるのでしょうか。

 Aは占有開始が善意だったのですが、Aから譲渡を受けたBはAの物ではないことを知っていました。

 162条2項によると「…その占有の開始の時、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。」

 とあり、Aの占有開始は善意でしたが、Bの占有開始は悪意です。

 ABどちらの占有を基準とするべきなのでしょうか。

 ♦参考判例:最判昭53年3月6日判決

 判旨:「一〇年の取得時効の要件としての占有者の善意・無過失の存否については占有開始の時点においてこれを判定すべきものとする民法一六二条二項の規定は、時効期間を通じて占有主体に変更がなく同一人により継続された占有が主張される場合について適用されるだけではなく、占有主体に変更があつて承継された二個以上の占有が併せて主張される場合についてもまた適用されるものであり、後の場合にはその主張にかかる最初の占有者につきその占有開始の時点においてこれを判定すれば足りるものと解するのが相当である。」

 としています。

 例でいうと、Aの占有開始が善意なため、Bは悪意であってもAの占有開始時を基準としてその主張ができるとしています。


 

2、消滅時効

 

消滅時効は、権利の不行使という事実状態の継続によって、権利自体を消滅させる制度です。

民法166条:「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。」

とあります。

例えば、100万円の債権がある場合、弁済期が到来しないと消滅時効は進行しません。

消滅時効の期間の種類まとめ

期間内容条文
20年 ・債権又は所有権以外の財産権 民法167条2項
10年 ・通常の債権 民法167条1項
3年 ・医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
・工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権
民法170条
2年

・弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権

・生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権

・自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権

・学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する権利

民法172条

民法173条

1年

・月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権

・自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権

・運送賃に係る債権

・旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権

・動産の損料に係る債権

民法174条
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