作成日:2017.04.18
1、条文
失火責任法:「民法第七百九条 ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」 |
※口語訳:民法第709条の規定は、失火の場合には、適用しない。ただし、失火者に重大な過失があったときは、この限りでない
※民法709条:「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
2、解説
他人の家から火が出て延焼し、自宅が燃えた(あるいは逆に相手の家を燃やした)場合に関係する法律が「失火責任法」です。
原則として故意(わざと)、過失(不注意)があり他人に損害を与えた場合には損害賠償する義務を負います。
不注意で失火し、周辺家屋を焼失させてしまった場合(タバコの消し忘れなど)も民法の原則によると近隣への損害賠償があることになります。
ですが、日本は狭い土地に木造家屋が密集しており、火災が発生すると広がりやすいという特徴があり、自宅を失った上に延焼させた人に損害賠償責任を負わせるのは賠償能力をはるかに超えるといった事情から、重過失(少しの不注意)ではない限り、賠償責任は負わせないこととしました。
3、過去の裁判例
過去の裁判で失火者の重大な過失と認められた主な失火原因は以下のような場合です。
・寝タバコをしていた
・わらが散乱している倉庫でタバコの吸殻を捨てた
・石油ストーブに給油する際、石油ストーブの火を消さずに給油した
・石油ストーブのそばに蓋の無い容器に入ったガソリンを置いた
・台所のコンロに、てんぷら油の入った鍋をかけたまま長時間台所を離れた
等です。
少しの不注意で防げた場合は、原則として「重過失」と認定され、損害賠償義務が免除されることはありませんので、ご注意ください。
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