作成日:2016.12.09

借地権の相続について


【借地権者】妻と2人の子供がいる借地人Bが死亡した場合

①借地契約は終了するか。
②もし終了しないのであれば、地代の支払い義務は誰にあるのか。
③借地人が生前未払いであった地代は、誰が支払う義務が発生するか。

【借地権者】妻と2人の子供がいる借地人Bが死亡した場合

①契約は終了しません
②③支払い義務は相続人が義務を負うことになります

【詳細解説】

1、借地権の相続

(1)そもそも借地権を相続できるのか

   一般の相続財産と同じように相続人に継承されます。

(2)誰が相続するのか

民法887条:「被相続人の子は、相続人となる。」

民法890条:「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。…」

 とあるので、妻と子供が相続人になります。

(3)相続により終了するのか

借地権は、借地人の相続財産として妻と2人の子供が相続します。

遺産分割により借地上の建物及び借地権の帰属が決まるまでは、借地権は、全ての相続人に帰属することになります。したがって、借地人が死亡したとしても、それだけでは借地契約は終了しません。

1、地代の支払い義務は誰にあるのか。

(1)民法896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

 と規定されています。

 一身専属権以外のものは原則すべて相続人に相続されます。

 ※一身専属権:権利又は義務が特定人に専属し他の者に移転しない性質をいいます。

簡単にいえば、被相続人「その人」でなければ成立しない又は認められるべきではないような権利や義務のことです。

具体例:使用貸借契約における借主の地位、代理における本人・代理人の地位、雇用契約における使用者・被用者の地位、委任契約における委任者・受任者の地位、組合契約における組合員の地位、代替性のない債務(有名画家が絵を描く債務など)、親権者の地位、扶養請求権者の地位、生活保護給付の受給権者の地位、公営住宅の使用権

 「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」とあるので、地代を支払う義務も当然に相続人がその義務も承継します。

 (2)民法898条:「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」

民法899条:「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」

遺産分割が終了するまでは、相続人が相続分に応じて均等に地代の支払い義務を負うことになります。

 設問の場合、例えば、借地人の生前の未払い地代が100万円となっていたとすると、妻が2分の1、2人の子供がそれぞれ4分の1の法定相続分を有しているので、地主は妻に50万円、子供にそれぞれ25万円を請求できることになります。

※妻と子の相続分の割合について

民法900条(法定相続分)

「同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。」

 ※相続分については下記図参照

2、遺産分割後の地代請求

 遺産分割が確定した場合には、借地権及び借地上の建物を相続した者を新たな借地人として取り扱えばよいことになります。

遺産分割協議書や遺産分割の調停調書、審判書等を確認して、借地権及び借地上の建物を相続した相続人であるかどうかを確認したうえで、その者に対して、地代の請求等を行うことになります。

定相続分一覧表

相続人の構成 相続人 法定相続分 備考
配偶者と子 配偶者 1/2 配偶者は常に相続人です。
この構成では1/2が相続
1/2 さらに子の数で分割
(例:2人の場合 1/2÷2=1/4づつ)
※非嫡出子は嫡出子の半分
※この場合は卑属や兄弟姉妹は相続分なし
配偶者と
直系卑属
配偶者 2/3 配偶者は常に相続人です。
この構成では2/3が相続
直系尊属 1/3 両親ともに健在であれば
それぞれ1/3÷2=1/6づつ
配偶者と
兄弟姉妹
配偶者 3/4 配偶者は常に相続人です。
この構成では3/4が相続
兄弟姉妹 1/4 さらに子の数で分割
(例:2人の場合 1/4÷2=1/8づつ)
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