作成日:2020.09.10

2020年民法大改正の影響は?~地主さんへの注意事項~|基礎知識|CENTURY21中央プロパティー


alt2020年民法大改正の売却について

コンテンツ番号:414

2020年民法大改正によって底地権者(地主)に大きく関係するであろう
①法定利息
②時効
③配偶者居住権、改正
についてピックアップして解説していきます。

alt2020年民法大改正の売却について

民法が120年ぶりに大きく改正され、2020年4月1日から施行されます。
そもそも120年も大きな改正がなかったの?と思う方もいるかもしれません。

近年社会情勢が変わり、現行法が実態に合わない状況になってしまったため、今回、大きな改正が実施される運びとなりました。

1、法定利率について

<現行法>

(法定利率)

現行法404条:「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。」


<改正法>

(法定利率)
改正法:404条1項:「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。」

2項:「法定利率は、年三パーセントとする。」

3項:「前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。」


上記のように法定利率が現行法では5%に対し、改正法では3%へと変更されます。

バブル崩壊以降、預金をした場合の利率の下落は止まらず、今では年利1%はおろか、0.1%も下回っており、手数料で消えてしまいます。

このような状況では、法定利率が5%は高すぎるため、3%に引き下げられます。(もちろん、当事者間で特約がある場合は除きます。)また、3年ごとにこの利率を見直す旨の規定も新設されます(改正404条3項参照)。
定期的に見直すことで、実態に合わない利率を見直していこうという趣旨です。

地主に関係することとしては、借地人からの地代が遅れた際の遅延損害金や、借地人への損害賠償請求の際の請求できる金額が変わる可能性があります。

地主としては、契約締結の際や更新の際に見直し、当事者間で書面で特約を締結しておくとよいでしょう。

 

2、時効制度について

<現行法>

(消滅時効の進行等)

166条1項:「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。

2項:前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

(債権等の消滅時効)

民法167条1項:「債権は、十年間行使しないときは、消滅する。

2項:「債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。

 

 

<改正法>

(債権等の消滅時効)

改正法166条1項:「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。  

一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。  

二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

2項: 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。」

改正前民法においては「債権」(地代なども債権の一種)についての消滅時効期間は、原則として10年とされていました。


この条文は残りますが、「債権者が権利を行使できることを知った時から五年間」という文言が追記され、より短い時効期間も加えられました。

知ったときというのがいつなのか、解釈の余地はありますが、現行法よりも改正法の方が消滅時効成立までの期間は短くなる恐れがあります。


底地人(地主)が注意しないといけないのが、地代の未払いが長期続いている場合など、消滅時効により請求ができなくなってしまう可能性があるので、注意が必要です。


特に、地主側で相続があった場合に、借地権者が誰かわからず地代の請求を放置していたなどのケースが考えられます。

3、配偶者居住権について

地主にとって大きな改正となるのが、配偶者居住権になるでしょう。

まず、配偶者居住権とは、「被相続人の配偶者が被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合に、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をすることのできる権利」のことです。

<参考条文>

(配偶者居住権)

民法(改正)第1028条:被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。

一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。

二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。

2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。

3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

(※配偶者居住権詳細はこちら(https://century21-sell.jp/faq/276.html))


借地人が亡くなり、相続が起き、別の者が所有者となったとします。

その際、元の借地人の配偶者が住んでいる場合には配偶者居住権という権利が配偶者に与えられ、住み続けられてしまいます。




3、配偶者居住権について

借地人側に相続が起きる=底地・借地関係を整理する絶好のチャンスというのはこれまで何度も解説してきましたが、配偶者居住権という制度が新設されることにより、処分しにくくなる可能性があります。


すなわち、配偶者居住権を設定すると、不動産の価値が著しく下落する可能性があるということです(不動産は権利が制約させると価値が落ちる、配偶者居住権が不動産の権利の制約に当たる可能性がある)。


配偶者居住権については、施行前から専門家による問題の指摘が多く、実際に運用されたら、実務や裁判の動向を見守る必要がありそうです。

■参考:法務省ホームページ:http://www.moj.go.jp/content/001242839.pdf

独自の入札システムで借地権・底地を売却