2018.11.12

なりすまし・本人確認(不動産売買の注意点)


コンテンツ番号:286

不動産取引の際、取引の相手がなりすましだった場合で、登記もちゃんとあって、私自身が悪くないのに、落ち度があるとされてしまう場合があると聞きました。

本当にそんな理不尽なことがあるのでしょうか。

1、登記に「公信力」はない

日本の登記制度には、公信力はありません。


登記の公信力とは、「登記上の表示を信頼して不動産の取引をした者は、たとえ登記名義人が真実の権利者でない場合でも、一定の要件の下で、その権利を取得することが認められること」を言います。

すなわち、公信力とは、登記上の表示を信頼して不動産取引をした者は、登記の内容がたとえ異なっていても保護されるということです


例えば、「登記にAの住所と氏名が書いてあるのだから、登記を信じたBさんは救われるべき」と思う人も多いと思います。

しかし、Bが登記事項証明書の名義人であるAを「真の所有者」だと信じて取引をしても、保護されないこともあるのです。


日本の登記制度は公信力はありません。

つまり、いくら登記名義を信じても真の権利者とは言えない場合があるということになります。

もちろん、不法行為を理由とする損害賠償などは請求できますが、日本の登記制度上では登記名義人=真の所有者とは限りません。

そのため、登記を全面的に信頼することも危険だということを認識しておく必要があります。

2、過失となってしまうケースも

上記のように登記に公信力はないため、登記名義人だから仕方なかったという主張は許されず、過失責任を問われる可能性があります。


過失とは、簡単に言うと、「落ち度」です。

落ち度が認められる場合には、過失が認定されてしまい、損害賠償請求の時に過失相殺等をされてしまいます。

過失(落ち度)を判断する基準は、2つです。
①予見することができたか
②結果を回避することができたか。


例えば、贈与後すぐの不動産売却の形跡がある場合には、疑うべきです。そもそも、不動産をそんな短時間に売却することは、何か理由があるからです。


また、相手方の本人確認の際も、複数の本人確認方法を実施しないと過失が認められるケースがあります。


裁判例でも次のように述べています。

判旨(要約):「契約当事者は、自らの責任において、契約の相手方と名乗る者が真実の相手方であるかどうかの本人確認をすべきであり、契約の相手方と名乗る者から契約の立会人となること及び本人確認情報の作成を依頼された者がおり、それが弁護士であったとしても、原告(買主)自らが被告(弁護士)に本人確認を依頼したものではないから、原告本人(買主)においても本人確認をすべきであることについて何ら変わることはない。」

本人確認については、自らの責任において、本人確認をするべきとしています。

どんなに信用できる人であっても、本人自ら、自身の責任において確認をしなければならないのです。

売買契約したはいいが、なりすましだった・・・

損害賠償請求をできるとは言ってもトラブルには巻き込まれたくはないでしょう。

自分に落ち度がないと思っていても落ち度が認定されてしまうケースもあります。

専門家に任せたから安心ではなく、自らも調査などする必要があります。

借地売却

底地売却