作成日:2017.07.04

会社所有不動産を取締役が媒介する行為


会社所有不動産を取締役が媒介する行為

自分(甲)が取締役になっているA会社の社有物件の売却にあたり、甲自らが代表取締役となっているB会社がその媒介をすることはできるのでしょうか。

会社所有不動産を取締役が媒介する行為

株主総会(取締役会設置会社では取締役会)で承認を得れば媒介は可能です。

詳細解説

会社法355条:「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。」

とあり、取締役は会社に対して忠実義務を負います。

また…

会社法356条1項:「取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない

一  取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。

二  取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。

三  株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。

同条2項:「民法第百八条 の規定は、前項の承認を受けた同項第二号の取引については、適用しない。」

会社法第365条:「取締役会設置会社における第356条の規定の適用については、同条第1項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。

とあります。

取締役がその地位を利用し、会社利益を犠牲にして、自己または第三者の利益を図ることを防止するため、利益相反取引を行う場合には、株主総会(取締役会設置会社においては取締役会)において、その取引について重要な事実を開示して、その承認を受けなければなりません。

※取締役会設置会社では事前の承認事後の報告がいります。

会社法365条2項:「取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。」

類型としては、

①取締役が自己または第三者のために株式会社と取引をしようとする場合

(会社法第356条第1項第2号)

②株式会社が取締役の債務を保証すること、その他取締役以外の者との間において株式会社とその取締役との利益が相反する取引をしようとする場合

(会社法第356条第1項第2号)

①のような場合を直接取引、②のような場合を間接取引といいます。

具体例としては,以下のものがあります。


※直接取引の具体例

・取締役・会社間で行われる売買契約

・会社から取締役への贈与

・取締役から会社への金銭貸付

・会社が取締役の債務を免除

・取締役が受取人となる会社からの約束手形の振り出し


※間接取引の具体例

・会社が取締役の債務を保証する行為

・会社と第三者がする取締役の債務引受契約

・取締役の債務を担保するため、会社の不動産に抵当権を設定する行為


本件では、「取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。」(直接取引)にあたるので、株主総会または取締役会の承認が無ければ媒介はできません。

会社法369条2項:「(決議について」…特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。)

とあり、承認決議について「特別の利害関係」を有するので、本件甲はその決議に参加できません。

※なお、一般向けに価格が決定された分譲マンションを取締役が他の購入者と同様の条件で購入するような場合は、裁量によって会社の利益を害するおそれがないので「利益相反取引」に当たらないと考えられています。

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