作成日:2017.04.12

借主の死亡と賃貸借契約の帰趨


借地契約期間中の解約

借主が死亡すると、賃貸借契約はどうなるか?

1、賃貸借契約は終了するのか?

借主が死亡しても、賃貸借契約は終了しません。

民法896条:「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」

とあります。

被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」とあり、借地権(借家権も)も法的には財産権の一つと見なされ、借主の相続人に相続されます。
1、賃貸借契約は終了するのか?

同居していない者も含めて、全相続人が各自の相続分に応じて承継することになるというのが原則です。相続人は賃貸人と賃借人の従前の賃貸借契約を引き継ぐことになるため、賃貸人は賃借人が死亡したからといって賃貸借契約を終了(解除等)することはできません。

従前の契約を引き継ぐということは賃貸人は相続人に対して賃料などの請求は従前の賃料価格を当然できます。

2、相続人に対する賃料の請求

上記のように賃借人が死亡したとしても賃貸借契約は終了しません。相続人が複数いる場合はどのようにしたら対応すべきでしょうか。

 

相続人が1人であれば、その者に請求すればよいのですが、例えば、賃借人の相続人が4人いる場合、賃貸人としては誰に対しても賃料請求することができ、しかも、全員それぞれに全額の賃料請求をすることができます。

※このような債権を不可分債権と言います。

賃料を複数いる相続人誰か一人が全額支払ったら、あとは相続人間で調整(全額支払ったものから、他の相続人への請求)する形になります。

ただし、賃料の全額請求を全員にできるとしても、賃貸人が賃料以上の金額を受け取ってしまった場合は不当利得として返還する義務が発生してしまう点は注意して下さい。

3、賃貸借契約を解除したい場合

賃料は相続人の一人にしかも全額請求することができました。

それでは、賃貸借契約の解除はどうでしょうか、例えば、相続後一度も賃料が支払われないので、賃貸人としては解除をしたい…相続人の誰に解除の通知を出せばよいのでしょうか。
 上記の賃料の場合と同様に考えると、一人に対して解除通知を出せば足りるように思えますが…

民法544条:「当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。」

とあります。

これを解除の不可分性と言い、法律関係が複雑になるのを防ぐために全員に対して解除通知をする必要があります。

解除通知が一部の者に対してしか行われなかった場合には解除は無効と解されています。

契約を終了する解除の通知に関しては一人の者にするだけでは足りず、相続人全員に対してしなければなりません。

4、賃借人に相続人がいない場合

それでは、賃借人に身寄りがなく、相続人がいない場合はどうでしょうか。

また、相続人が相続放棄(相続しませんという意思表示)をしていたらどのようになるのでしょうか。

賃借人が亡くなり、相続人がいない場合でも、賃貸借契約の効力はそれだけではなくなりません。

また、物件内に残されている賃借人の私物に対しては賃貸人の権利が及ばないので、これらを勝手に処分することもできません。

この場合家庭裁判所に請求し、相続財産管理人を選任する必要があります。

民法952条:「(相続人が不存在の場合)…家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。」

とあります。

相続財産管理人は簡単に言うと被相続人の代理人です。
処分行為(売却等)に関しては家庭裁判所の許可を得ることで、相続財産管理人が行うことになります。

相続財産管理人は遺産の内容を調査して、特別縁故者を探し、債権者や特別縁故者に対する支払いをすすめていきます。

このとき、賃貸人は債権者なので、相続財産管理人から必要な賃料の支払いを受けることができます。

そして、相続財産管理人との間で賃貸借契約解約の話し合いをすすめていくことになります。

 

 

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