作成日:2017.02.28
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借地上の地盤が地震で損壊した場合、借地人は地主に対して地盤の修繕を請求できますか? |
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できます。 |
【詳細解説】
まず、地主(賃貸人)が借地人(賃借人)に対して負っている義務について整理してみましょう。
①使用収益させる義務
民法601条:「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」
②修繕義務
民法606条1項:「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。」
③費用償還義務
民法608条1項:「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。」
民法608条2項:「賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。」
となります。
今回の場合
今回の場合は、②の修繕義務に当たると考えられます。
地主には、借地として貸している土地の使用収益に必要な修繕をする義務があります。
本件のような場合、借地人の土地の利用に支障が生じておりますので、地主には、修繕して安全に使えるようにする義務があります。
修繕の程度については、修繕前と全く同じ状態にまでしなくても、借地人がその土地をその用法に従って使用収益できる程度まで修繕すればよいとされています。
借地人が修繕した場合
地主の修繕を待っていたのでは、土地利用が出来ないばかりか建物などにも影響が出るため、借地人側で修繕した場合はどうでしょうか。
借地人が行った工事は土地利用のための必要な工事のため「必要費」に該当すると考えられます。
※必要費とは、家屋であれば雨漏りの修繕など賃貸借の目的物を使用するのに「必要」な場合にかかる費用です。
今回の工事は、土地を利用する際に必要不可欠な工事であった場合には地主は借地人からの請求を拒むことは出来ず、しかも直ちにその費用を支払う必要があります。
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