作成日:2016.11.09
土地を地主さんから借りる場合、地代を支払うことになります。地代がかからず無償で土地を借りる場合は、使用貸借となり借地借家法の適用がなくなるので、ご注意ください。
さて、ここからは借地人が地主さんへ支払う金銭について見ていきましょう。
権利金とは、借地契約の締結時に、一時金として借主から貸主へ支払うお金で、いわゆる礼金的な性質です。土地を貸してくれてありがとうというような意味合いもあります。
無事に土地を借りられたら、地代を地主に支払う必要があります。借主はこの土地を利用するにあたり、底地の部分に対応する地代を貸主に支払います。これは「通常の地代」にあたります。
一方、権利金のやりとりをしないケースもあります。例えば、親族に土地を貸す場合などがその代表例です。
その場合、借主は権利金を支払っていないため、権利金に対応する部分を含んだ、通常の地代より高い地代を支払わなくてはならず、この場合、相当の地代という形になります。
借地契約を締結する場合、地代の計算をしなければならず、適切な地代を設定する必要があります。そのタイミングは大きくは2つです。
借地契約を結ぶ前提として適切な地代を設定するために地代の計算は必須です。
周辺地域の地価の上昇や下降ににより、地代を改定する必要が出てくる場合もあります。その際にも、地代を計算する必要が出てきます。
それでは、実際に地代はどのように計算するのでしょうか。
以下、いくつかご紹介いたしますが、どの方法が正しいという形はありませんので、当事者が納得のいく形で進めていくとよいでしょう。
一番簡単に計算できる方法ではないでしょうか、土地を持っていると固定資産税や都市計画税がかかってきます。その税金を元に、算出する方法です。
おおよその目安としては、下記になります。
住宅地の場合→3~5倍程度
商業地の場合→5~8倍程度
もちろんあくまで目安であり、当事者が合意すれば、これよりはるかに高い金額でも、安い金額でも問題はありません。
「公示価格」や「基準地価」を基準に地代を計算する方法です。
「公示価格」とは、全国の「標準地」に定められている土地の価格のことを言い、国土交通省が実際に調査を行って決定しています。
一方の「基準地価」は都道府県内の「基準地」に定められている価額のことを言います。各都道府県が毎年土地の鑑定評価をして決定しています。
調査の主体が国か地方公共団体かという違いはあるにせよ、行政機関が示す基準になります。
「公示価格」や「基準地価」をもとに地代を算定する際には、近隣に標準地があることが必須となるなど、必ずしも利用できない点には注意が必要です。
参考URL(国土交通省HP):https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=0&TYP=0
次に、相続税算定のために設定されている路線価から算出する方法があります。
参考URL(国税庁HP):https://www.rosenka.nta.go.jp/
相続税路線価は毎年改定されるので、どの時点の路線価を基準にするのか、また、どの程度の期間を基準にするのかなど、注意が必要です。
以上は地代を計算する代表的な計算方法でしたが、ここからは、賃料を改定する際に使う計算方法を解説していきます。
差額配分法、利回り法、スライド法などがあります。
差額分配法は、現在の賃料と新規の賃料の差額に注目して決める方法です。
利回り法は、不動産が得られるであろう収益に経費を乗じて計算する方法です。
スライド法は、物価に変動があったとき、現状に応じて賃料を変動させる方法で、物価が上がっていれば賃料は上がり、下がっていれば賃料は下がることになります。
地代は時期や周辺環境の変化により変動します。地方は人口減少等の影響により、土地の価値が下がる一方で、都市部では開発により土地の価値が上がるケースも少なくありません。
例えば、最近ですと、高輪ゲートウェイ駅が山手線に新設されましたが、周辺地域の地価が上がることは想像に難くないでしょう。
また、東京オリンピックに伴い勝どき周辺の地価が高騰している現象もあります。
参考:https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/SearchServlet?MOD=0&SKC=13102
適切な地代設定のためにも、定期的に地代を見直しすることが非常に重要です。あまりに高く地代を設定しすぎると借り手はいなくなるでしょう。
すでに借主がいる場合には、地代を改定するには借主の同意を得なければなりません。事情を説明できるだけの資料を用意することがポイントです。
場合によっては、専門家のアドバイスをもらうことも重要です。
(地代等増減請求権)
借地借家法第十一条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
という規定が借地借家法にあるように、相場に合わない場合には当事者(地主・借地人)は地代の増減の請求をできる権利が法律上認められています。
さて、実際どのような場合に地代の増減ができるのか上記借地借家法11条を元に見ていきましょう。
①「土地に対する租税その他の公課の増減により」、
②「経済事情の変動により」、または、「近傍類似の土地の地代等に比較して」、契約内容となっている地代が「不相当」な金額となったときに、
当事者が地代の増減を請求できるということになります。
また、但し書きにあるように「一定の期間、地代を増額しない旨の特約がある」ときは、行使することができません(借地借家法11条1項但書)。
※増額しない旨の特約のみが内証で、逆に地代を「減額」しない旨の特約があったとしても、それには効力はありません。
なお、増減額請求権の行使は、その内容の意思表示が相手方に到達したときから、発生します。
詳細は「3記事タイトル」をご覧ください。
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