作成日:2019.09.10

借地権と法定地上権の違い(建物共有の場合の法定地上権の成否)


コンテンツ番号:357

甲建物はA・Bで共有しています。Aが甲建物の敷地(乙土地)を全部所有している場合に、乙地の抵当権が実行されて、第三者Cが競り落としたら、その土地について、建物の共有者全員のために、法定地上権が成立するのでしょうか。

また、借地権と法定地上権の違いはあるのでしょうか。

【詳細解説】

借地権と法定地上権の違い

まず、それぞれの定義について根拠となる法律の条文を見てみましょう。

(定義)

借地借家法2条:「この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう」

(法定地上権)

民法388条:「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。」

※借地権とは「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」とありますが、「地上権」による借地権はほとんどありません。よく言われる「借地権」とは、「賃借権に基づく借地権」になりますので、こちらを想定して解説していきます。

借地権について

(賃貸借)

民法601条:「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」

土地を単に借りる場合には、民法上の賃貸借の規定によりますが、建物所有目的の場合には、借地借家法の規定が優先的に適用されます。

いずれの場合も、債権関係の契約になります(詳細はこの後解説します)。

法定地上権について

法定地上権は、民法388条にあるように抵当権が実行された場合にのみ出てくる概念です。その他では一切ありません。

この法定地上権は「地上権が設定されたものとみなす」とあるように、条件が整えば、有無を言わさず法定地上権が設定され、その地上権は民法第4章(265条以下)に規定されているものと同様とされています。

違いについて

今までのお話は少々難しいと思いますので、簡単に解説します。

通常の賃貸借契約は債権契約になり、土地を借りている人は貸主に対して権利を主張できるにすぎず、第三者に対しては原則として自己の賃借権を主張することができません。

※債権契約とは「当事者間でのみ権利義務などを主張できる関係」と思って頂くとわかりやすいかと思います。

一方の地上権は物権契約になります。

物権というのは物を排他的に支配できる強力な権利です。例えば、自己所有の土地は誰に対しても「この土地は自分のものだ」と主張することができます。

賃借権も地上権も外から見れば土地があり土地上の上に家があり、変わりはないように思えますが、実は債権か物権かの違い、すなわち、権利の内容の性質から大きな違いがあるのです。

借地権は地主の許可がないと売却できないのに対し、法定地上権は地上権の一種になるので、地主の許可なく売却ができます。

この点が最大の違いです。

本件事例について

民法388条の法定地上権の規定をみると、法定地上権の成立の要件は…

<要件>

①抵当権設定時に建物が存在していたこと

②抵当権設定当時、土地と建物が同一所有者に帰属していたこと

③土地と建物の一方または双方に抵当権が設定されていること

④競売が行われて別の者に帰属すること

となります。

②についてAを基準に考えると、法定地上権は成立しますが(抵当権設定時、土地と建物が同一所有者に帰属)、Bを基準に考えると、法定地上権は成立しません(抵当権設定時、土地と建物が同一所有者に帰属していない)。

このような場合に法定地上権が成立するか否かは条文上明確ではないため、裁判で問題となりました。

最高裁まで進み、判例は以下のように述べています。

♦最判昭46年12月21日判決

判旨:「 建物の共有者の一人がその敷地を所有する場合において、右土地に設定された抵当権が実行され、第三者がこれを競落したときは、右土地につき、建物共有者全員のために、法定地上権が成立するものと解すべきである


結論からすると本件のような場合の法定地上権はBのためにも成立します。

法定地上権についての詳しい解説は他のコンテンツにありますので、興味がある方は、是非ご参考下さい!


※参考URL

法定地上権について
共有と抵当権設定
共有不動産(共有持分)の抵当権設定について

独自の入札システムで借地権・底地を売却