作成日:2019.08.26
コンテンツ番号:354
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現在、私は底地を多数保有しておりますが、①妻や子等相続の対象になる人がおりません。その際、私が死亡してしまったら、底地はどのようになってしまうのでしょうか。 |
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とあるように、相続が発生すると被相続人に属した一切の権利義務を相続します。債権者としての地位も、債務者としての地位も基本的には「全て」の権利義務を相続人が相続します。
※妻や子、や親が代表的な相続人の例になります。
※但し書きの「被相続人の一身専属権利又は義務」とは、例えば、扶養請求権のような特定人に専属し他の者に移転しない性質の権利を言います。
本件では、相続人になる人は存在しないようですが、そのような場合にはどのようになるのでしょうか。
次の項目で詳細解説して行きます。
相続人がいない場合、その財産はどうなるのか…結論からすると最終的には国庫に帰属(国の所有物)になります。
ただ、そうなるのは最終的な話で、段階を踏むことにはなります。
相続財産の帰属先の順序ですが、①相続人→②特別縁故者→③国という順序になります。
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特別縁故者については、上記のような規定があります。
相続人がいないからすぐに国庫へ帰属させます!とするよりも、被相続人の生前中に貢献してくれた人がいるのであればそちらに財産を渡すべきですよね。
ただ、当然、無制限に認めるわけにはいきませんので、一定の条件のもとに制限をしています。
<条件>
①被相続人と生計を同じくしていた者
②被相続人の療養看護に努めた者
③その他被相続人と特別の縁故があった者
いずれかの者からの請求で
④家庭裁判所が相当と認めるときは
としています。
被相続人の介護を献身的にしていた内縁の妻等が典型例です。
このように被相続人に相続人がいない場合でも直ちに国庫へ帰属するようなことにはならず、相続させてしかるべき人へ財産を分配するような仕組みになっています。
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特別縁故者もいないような場合、相続財産は国庫に帰属(国の所有物)になります。
※なお、遺産の相続人が不在で国庫に納められた財産の総額が、2017年度は約525億円を超えたとも(毎日新聞2019年1月8日)
それでは、上記のように特別縁故者もおらず、相続財産が国庫へ帰属した場合には従前の借地権設定契約はどのようになってしまうのでしょうか。
こちらに関しては、従前のままの契約条件が引き継がれます。契約の残存期間も地代の条件も基本的にはすべてそのまま引き継がれます。
※都道府県・市区町村に物納された場合も、同様になります。
次は国等が底地人の借地権の売却についてです。
国が底地人というケースであっても、借地人が借地権を売却したいという場合が出てくると思いますが、その場合はどうなるのでしょうか。
個人(法人も)が地主さんの場合には、条件が合えば、借地権の買い取りの申し出により地主さんが借地権を買取る可能性はあります。
ただ、底地を国(財務省等)が所有している場合は、残念ながら借地権の買取りは一切行っておりません。そのため、国等が地主の場合に借地権を売却したいとなると、第三者に売却する方法しかないのです。
※なお、借地人への払い下げ(国が底地を借地人に売ること)には基本的には応じてくれます。
ただ、国との手続きは複雑なことが多く、やり取りする書類も多くなり非常に煩雑になります(その分時間も要してしまいます)。
当社では国や地方公共団体との交渉についても経験豊富なスタッフが多く在籍しておりますので、まずは一度ご相談してみて下さい。
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