作成日:2019.06.10

借地人に契約違反


コンテンツ番号:342

地主のAは、木造住宅の宅地として、Bに甲土地を賃貸していました。Bは地代の延滞などもなかったため、しばらくこの甲土地周辺を訪れる機会もありませんでした。

ところが、Aが甲土地の様子を見に行った際、Bが木造建物をなんと鉄筋コンクリートの立派な建物になっていることを発見しました。

①地主Aとしては、無断で改築されたことに対して怒り・不信感を持っており、土地賃貸借契約を解除及び損害賠償請求したいと考えています。

解除することは可能でしょうか。

また
②一時使用で貸していたにも関わらず、借主が勝手に建物を建ててしまった場合はどうでしょうか。

こちらも、あわせてご相談に乗ってもらえるとありがたいです。

【詳細解説】

土地賃貸借契約を解除及び損害賠償請求について

木造の建物からコンクリートという頑丈な建物に変更されてしまった場合、地主としては「約束が違う!」と怒り心頭なのは理解できます。

しかしながら、借地借家法の以下の規定を見てみると…

(借地条件の変更及び増改築の許可)

借地借家法17条1項:「建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。」

同条2項:「増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。」

とあります。

いずれも、「借地条件がある場合」を想定、すなわち、増改築禁止特約があることが前提とされています。


そのため、増改築禁止特約を結んでいるなどの事情がない限りは、丈夫な建物に改築したとしても解除や損害賠償請求するというのは難しいといえます。


本件においては、具体的事情は明らかではありませんが、増改築禁止特約の有無により結論は大きく変わってくると予想できます。


このような事態を防止するためにも、借地権設定契約時に増改築禁止特約をしっかりと書面において締結しておく。
これが非常に重要といえるでしょう。

借主が勝手に建物を建ててしまった場合について

一時使用目的で土地を貸す場合について、借地借家法に以下のような規定があります。

(一時使用目的の借地権)

借地借家法25条:「第三条から第八条まで、第十三条、第十七条、第十八条及び第二十二条から前条までの規定は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、適用しない。」

一時使用目的の借地権の場合に適用がないのは…

存続期間、建物買取請求権、増改再築の規定、定期借地権の規定になります。

一時使用目的のため、当然存続期間の規定の適用はなく、また、建物買取請求権等の権利行使もすることはできません。


そのため、地主のAは借地人Bに対して原則として契約期間の終了とともに建物を建てていようと関係なしに、借地人B対して土地の明け渡しを請求することができます。

※契約書に「一時使用目的」と必ず記載が重要

一時使用目的で土地を貸す場合においても、書面で契約書を結び、必ず「一時使用目的」の旨を記載しておくことが重要と言えます。

※放置していると認めていると判断される可能性?

「原則」としてとしたのは、放置していると明け渡し請求が認められない可能性もあるということです。

すなわち、建物を建築し始めている場合や、長きにわたり状況を放置し、特に阻止していない場合には、土地利用を黙認(了承)していると認定され、借地借家法の保護対象となってしまう可能性がということです。

 

土地を貸していて、地代が入ってくるから安心するのではなく、定期的に現地に行ったり、借地人と連絡を取り合ったりすることで、予想外の行動を未然防止・察知できる可能性が高まりますので、借地人の行動を注視することも非常に大切です。
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