作成日:2019.02.20
借地権とは、「建物所有目的の地上権又は土地賃借権」のことをいいます。
(定義)
借地借家法第二条一号 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
ここでのポイントは「建物の所有を目的とする」という点です。建物所有目的でなければ借地権とは言わず、借地借家法の適用もないので注意が必要です。
借地権を用いて土地を借りる人のことを「借地権者」や「借地人」、土地を貸す人を「借地権設定者」、「底地人」、「地主」といいます。
借地権のメリットデメリット等は借地契約の契約違反についてをご覧ください。
借地権単体で売却することは可能です。ただし、地主さんの許可を得る必要があります。
地主さんに内緒にして売却してしまうと後々取り返しのつかないトラブルに発展しかねません。
権利関係の売買は手続きがややこしいことも多く、売却時に専門的な知識を要することもあります。また、借地権は長期間の契約であるため、地主との関係性が濃密になっていることも多く、話がこじれてトラブルになるケースも少なくありません。それに加え、借地権は通常の不動産を売却するよりも“コツ”が必要です。例えば、借地権単体で売却するよりも、借地権と底地権を合わせて売却した方が売却できる可能性が高まり、売却価格も高額になる可能性があります。
地主さんとの交渉をスムーズに進め取引を有利に進めるためにも、専門業者に相談するのがよいでしょう。
1. 不動産業者に相談する
不動産業者に相談することは必須ではありませんが、土地の売買には専門的な手続きが必要になるので、不動産業者を介して進めていく方がよいでしょう。
もちろん、不動産業者を介さずに直接地主さんへ売却交渉する方法でも問題はありません。
2. 条件交渉
売却価格等の条件面の交渉を地主さんと行います。
3. 契約の締結
お互いが条件に同意すれば、いよいよ契約の締結です。
口頭で済ませるのではなく、売買契約書を作成し、両当事者が内容を確認し、その上で締結するようにしましょう。契約書の内容には専門的なポイントが必要なことが多く、やはり専門家に依頼する方が安心と言えます。
4. 移転、代金の支払い
現実に地主さん引き渡し、代金を受領をすれば、地主さんへの借地権売却は完了です。
1.不動産業者に相談
地主に売却する以上に、第三者に売却する場合は、不動産業者に相談する方がよいでしょう。
2. 地主の承諾を得る
借地権を第三者に売却する場合には、地主の承諾がなければなりません。賃借権の譲渡には法律で賃貸人(地主)の許可が必要と明記されています。
地主の許可がなかなか得られない、または得られそうもない場合には、高度な交渉術が必要になります。
また、どうしても交渉が得られない場合には、裁判所に地主に代わる承諾をもらって第三者への売却を進めていきます。
借地借家法19条:「借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。」
3. 売却先を見つける
地主または裁判所からの承諾が得られたら、次は買い取ってくれる人を探していきます。
4. 購入希望者と売買契約を締結
購入希望者が見つかり、条件面で同意できれば売買契約を交わします。
5. 決済や引き渡しを行う
これで、無事借地権を第三者への売却は完了です。
地主に売却する場合と第三者へ売却する場合とで大きく異なるのは、地主の承諾の有無です。
借地権のみを売却する場合、通常土地を売却するよりもその価格は安くなります。ただ、特に都市部では借地権割合は高めで、底地よりもはるかに価値が高い傾向にあります。
借地権の売却価格については、その土地がある場所により価値は大きく異なります。
借地権を売却した場合にかかる税金には、「印紙税」「譲渡所得税」の2つがあります。ここでは譲渡取得税について解説していきます。
譲渡所得税は、借地権付き建物を売却したときの利益に対してかかる所得税と住民税のことです。
譲渡所得税の税率は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間によって5年以下の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得として、その税率が異なります。
利益が出なければ、基本的には譲渡所得税はかかりません。
その他、場合によっては下記費用が掛かる場合があります。
・取り壊し費用(更地にする場合)
・地主の承諾料
・専門業者(不動産業者)を利用した場合は、手数料
場合によって変わってくるので注意が必要です。
借地権売却のトラブルで多いのは、地主からなかなか承諾が得られないということですが、他にも地主が求める承諾料の金額が高すぎて困っているという場合もあります。
また借地権付き建物を売却した際、瑕疵があったとして売主と買主間でトラブルになるケースもあります。
建物に瑕疵がある場合には、売主(元の借地人)に対して、土地自体に瑕疵がある場合には、地主に対して、それぞれ、買い手は瑕疵担保責任を追及する可能性があります。
※瑕疵とは、簡単に言えば欠陥のことです。建物の根幹的部分に欠陥があったり、地盤そのものに問題があったりする場合がその例になります。
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借地権は相続できる? |
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借地権も相続財産の一つなので、相続人は借地権を相続することができます。 相続の際は、地主の許可なく当然に借地人としての地位を引き継ぎます。 |
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旧借地法の借地契約を新法適用借地契約に切り替えることはできますか? |
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現在の借地契約は旧法時代に結ばれたものが多くなっていますが、勝手に新法の契約内容に変更されるわけではありません。 地主側、借地側両社間での同意が必要になります。 |
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借地権者と借地上の建物の名義人が異なる場合の借地権の対抗力はどうなりますか? |
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例えば、借地権者は父親ですが、建物の名義人がその息子というような場合です。 原則論を言えば、借地権者と建物の名義人(登記名義人)は一致している必要がありますが、親子関係ということからも対抗力を認めていいようにも思えます。 しかし、判例などを見ていくと、原則的にはそれは認められないと考えてください。やはり、借地人と建物の名義人一致していないと対抗力は認められません。 |
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借地権を売るとき地主が承諾してくれなかったらどうしたらよいでしょうか? |
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借地権の売却には地主の許可が必要になり、地主の承諾なく売却することはできません。地主の承諾が得られない場合、最終的には裁判所の許可を得て売却することになります。 原則論を言えば、借地権者と建物の名義人(登記名義人)は一致している必要がありますが、親子関係ということからも対抗力を認めていいようにも思えます。 ※この裁判所の許可は基本的には認められるケースが多いです。 |
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借地権単体で売れますか? |
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借地権は単体で売却することが可能です。借地権の価格は路線価を基準に算出され、基本的には底地価格よりも借地権の方が高く売却できることの方が追いです。 ただし、売却するには地主の許可が必要になる点は、注意が必要です。 |
借地権を相続すると、被相続人の借地人としての地位もそのまま引き継ぎます。地代や契約残存期間など、被相続人の契約をそのまま引き継ぐことになります。
加えて税金のことも視野に入れなければなりません。「相続税」「登録免許税」の2つがかかってくるので注意が必要です。
「借地権を相続しても使わないし…不要だ…」そんな場合は借地権の売却を検討するとよいでしょう。
~借地権を共同相続するのは回避しよう~
遺産分割協議により、法定相続人の誰かが、単独で相続する場合であればよいのですが、複数人が借地権を共同相続してしまうとその法律関係はややこしくなってしまいます。
借地人が複数になってしまうだけではなく、2次3次相続が起き借地権が細分化されてしまっていたら、いざ整理しようと思ってもなかなか難しいのが現実です。
そのため遺産分割をする際には共同所有にはならないようにしましょう。仕方なく、借地権を共同名義で所有することになったとしても、可能な限り早く共有状態を解消することを推奨いたします。
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