作成日:2019.03.25
コンテンツ番号:320
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現在、母親A、兄弟(BC)3人の共有している借地権の相談です。 弟Cは過去に精神病で入院歴があります。 本件借地権を売却すると言い出し、母親Aの後見人に勝手になり、暴走しています。 私(兄B)には、「借地権売却に同意しろ!しないならどうなるかわからないぞ!」と半ば強迫まがいに言ってきます。 何をするのかわからない弟ですので、ものすごく不安です。 色々不安で仕方ありません。どうしたらよいのでしょうか。 何か良いアドバイスはありますか。 |
(後見開始の審判)
民法7条:「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。」
とあります。
要は、判断能力が低下してしまった方の財産を保護するための制度です。
本件では、Cが勝手に後見人になったとのことですが、後見人になるには後見開始の審判をし、家庭裁判所からの許可を得なければなりません。
裁判所からの許可がない場合、後見人としての地位はないことになります。
仮に、Cが後見人として家庭裁判所から認められている場合、Bとしては手立てはないのでしょうか。
Cが家庭裁判所から後見人として認められたとしていても、①後見開始の審判を取り消す、②後見人の解任のいずれかにより、後見人としての地位をはく奪することができます。
①後見開始の審判を取り消す
(後見開始の審判の取消し)
民法10条:「第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。」
第七条に規定する原因が消滅とは事理を弁識する能力を欠く常況が消滅した状態を言います。母親が事理を弁識する能力があるにもかかわらず、被後見人となっていることを主張する方法です。
診断書さえあれば、認められる可能性は高いです。
②後見人を解任してしまう
仮に母親に事理弁識能力がない場合、①の方法により、Cの後見人の地位を奪いことは難しくなります。
そこで、後見人Cを解任する方法があります。
(後見人の解任)
民法846条:「後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。」
とあります。
本件CはBに対して脅迫まがいなことをしているような状態です。
そのため、「後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由」があり、後見人としてふさわしくないと言えます。
そして、解任の請求は、「親族」からの請求もできます。
「親族」とは、法的には、六親等内の血族のことを言うため、息子であるBからの請求も当然可能になります。
Cの後見人としての地位がなくなればAの持分の借地権を売却することはできなくなります。
※検察官が請求できるのはなぜ?
検察官は裁判で訴追するイメージがありますが、実は公益の代表という役割もあります。
そのため、後見開始の審判や解任の請求などもできるようになっています。
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