2018.11.26

借地返却と原状回復費用


コンテンツ番号:290

祖父の代 (50年以上前)からの借地甲があります。

甲土地の上に乙建物(木造2階、建延27坪、築40年、地代は年7万円)を建てて暮らしていましたが、父親は亡くなり、我々子供たちも自立し、今では高齢の母が一人で暮らしています。

今は母が住んでいますが、高齢のため引き取って一緒に住むか、施設に入れようかと思っています。

借地を大家さんに返却するにあたっては、建物撤去費用が発生すると思いますが、そこでの出費を少しでも抑える方法を考えたいと思っていますが、何か良い方法はありますでしょうか。


【詳細解説】

1、民法の原則と借地借家法(建物買取請求権)

まず、賃貸借契約が終了した場合、賃借人は、賃借物を原状に回復させる義務を負っています。

民法598条:「借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。」

※使用貸借の条文を賃貸借でも準用


そのため、借主の借地人が原状回復、つまり更地に回復して返還すべきですので、解体費を負担するのは当然、借地人となってしまいます。


ただ、これはあくまで、民法上の原則です。

借地や借家の場合には、特別法である借地借家法の規定が適用されます。

借地借家法には以下のような規定があります。

(建物買取請求権)

借地借家法13条:「借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。」

いわゆる、建物買取請求権と呼ばれる権利です。

 
この権利は地主の承諾の有無を問わず、主張できる権利です。

時価で買い取ってもらうことができるので、家屋を解体して更地にする費用は浮くだけでなく、地主への売却代金を得ることができます。


本件ですと、母親を施設に入れたいということですので、その費用の足しになるかもしれません。

ただ、注意が必要なのは、「借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないとき」という要件を満たす必要がある点です。

 
本件の状況を見ると、契約内容の詳細は分かりませんが、まだ契約期間内のようです。

そうすると、契約期間が満了するまではこの建物買取請求権を行使することができません。

 

【詳細解説】

2、解体費用と契約期間満了までの期間

上記のように、建物買取請求権は、「借地権の存続期間が満了した場合」でなければ、行使することができません。


本件の場合、
①解体にかかる費用と、
②借地権の期間が満了するまで地代を払い続けて、建物買取請求をする
この①②のどちらが得かを考えると良いでしょう。

①解体費用は建物の大きさなどにより変わっては来ますが50万円~100万円程度が多いようです。

②地代は7万/年

とのことですので、契約期間の残りの期間と解体費用を支払う場合とで、期間満了まで契約を続け地代を支払った方が安いようであれば、期間満了を待って、建物買取請求権を行使する方が良いと言えます。

3、地主に相談

原則的には借地人側が解体費用を負担するのが原則ですが、場合によっては地主側が負担してくれることもあります。

例えば、都心部などの地価が高い場合において、売却が十分に見込まれる場合は、地主が解体費用を全額負担するような場合もしばしばあります。

「解体費用だけ払って土地が返ってきた!」と喜ぶ地主も中にはいます。


一度土地を貸してしまうとなかなか返ってこないと思っているのが地主です。

相談の仕方や交渉次第では、地主に解体工事の費用を出させることが出来るかもしれません。


交渉が失敗するとそうはいきませんので、弁護士などの専門家の力を借りたいところです。

4、解体業者の選定は慎重に

解体工事を借地人側で負担しなければならなくなった場合、業者に解体工事を依頼することになるかと思います。

解体工事の業者はさまざまであり、業者によっては更地にする時、思った以上に綺麗に整地を行わない業者もいます。

中には、解体工事を行って廃材を処分して終わり。というような業者も。

そのため、見積などは3社くらいからとり、内訳や詳細を比較すると良いでしょう。

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