作成日:2018.04.16

賃貸借と転貸借


コンテンツ番号:226

 ABはAを貸主Bを借主として甲土地に借地権設定契約を締結しました。

その後Bはビルを建ててCらに居住目的として賃貸借契約を結んでいました。

いわゆるサブリース契約です。

その後更新のタイミングでBが更新をしなかったため、AからCは退去を迫られてしまいました。

Aの主張としては、「転貸借は主たる賃貸借契約あってのもの、AB間の契約が終了する以上、Cには住む権利はない」ということでした。

やはりCは退去をしなければならないのでしょうか。

1、賃貸借と転貸借

<民法と借地借家法の規定> 

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

民法612条1項:「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」

(転貸の効果)

民法613条:「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。」

(建物賃貸借終了の場合における転借人の保護)

借地借家法34条:「建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。」

 

とあるように、転借人も賃貸人に対して直接義務を負う一方、借地借家法では一定の保護を転借人に与えています。

転貸借は主たる賃貸借契約があっての契約なため、主たる契約が終了すれば、転貸借契約も終了してしまうのが原則とも言えます。

2、判例理論

しかし、常にそれでは転借人に酷です。

一方、賃貸人からしても、常に転借人が保護されるとなると、賃貸人としてはたまったものではありません。


そこで、最高裁は本件と同様のケースで以下のように判示しています。

【詳細解説】

♦参考判例:最高裁平成14年3月28日判決

判旨:「ビルの賃貸,管理を業とする会社を賃借人とする事業用ビル1棟の賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了した場合において,賃貸人が,賃借人にその知識,経験等を活用してビルを第三者に転貸し収益を上げさせることによって,自ら各室を個別に賃貸することに伴う煩わしさを免れるとともに,賃借人から安定的に賃料収入を得ることを目的として賃貸借契約を締結し,賃借人が第三者に転貸することを賃貸借契約締結の当初から承諾していたものであること当該ビルの貸室の転借人及び再転借人が,上記のような目的の下に賃貸借契約が締結され転貸及び再転貸の承諾がされることを前提として,転貸借契約及び再転貸借契約を締結し,再転借人が現にその貸室を占有していることなど判示の事実関係があるときは,賃貸人は,信義則上,賃貸借契約の終了をもって再転借人に対抗することができない

①賃借人が第三者に転貸することを賃貸借契約締結の当初から承諾していたものであること

②当該ビルの貸室の転借人及び再転借人が,上記のような目的の下に賃貸借契約が締結され転貸及び再転貸の承諾がされることを前提として,転貸借契約及び再転貸借契約を締結し,再転借人が現にその貸室を占有している

 

このような場合には賃貸人は、信義則上賃貸借契約の終了をもって再転借人に対抗することができない。

としました。

※信義則とは?

民法1条2項:「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」

この条文が使われる場合は、具体的な根拠条文や先例がない場合に、最終手段として使われる一般条項と呼ばれる条文です。

裁判所も転借人を保護するべきという判断にはなったものの具体的な条文や判例がないため、一般条項を使って、転借人を一定の要件の下では保護するようにしています。
※信義則とは?

要は、賃貸人(A)はBが又貸し(転貸)することを知っていて貸した上に、転貸借についても同意しているような場合、転借人に出て行け!なんて言うことは信義誠実に反するから認められないということになります。

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