作成日:2018.02.19

地代や賃料を減額しないとの特約の効力


コンテンツ番号:20180219

 地代を減額しないとの特約は有効なのでしょうか。

というのも、各借地人から「地代を下げてくれ」、との要望がすごく多いのですが、最初に契約した際に、「賃料は契約終了まで一切変更しません」との特約を結んでいます。

1、原則

まず、地代について、借地借家法では以下のような定めを置いています。

(地代等増減請求権)

借地借家法第11条:「地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」

 不動産はその周辺に駅ができたり、商業施設ができたりすると、おのずと価値が上がり、地代や家賃も高騰します。

 また、逆も然りで、昔は人気の場所だったのにもかかわらず、だんだん平均地代・家賃が減少傾向になる場合もあります。

 いずれにしても周辺の地代や賃料と比較し不均衡という事態は発生してしまいます。

 そこで、法律は、当初の契約の条件にかかわらず、当事者は地代の増減の請求をすることができるとしたのです。

 
ただし…

一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」とあるように、特約が存在する場合、家賃の増減請求はできないとしてしまっています。

♦参考判例①:最判平16年6月29日判決

判旨:「本件各賃貸借契約は,建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約であるから,本件各賃貸借契約には,借地借家法11条1項の規定が適用されるべきものである。…

本件各賃貸借契約には,3年ごとに賃料を消費者物価指数の変動等に従って改定するが,消費者物価指数が下降したとしても賃料を減額しない旨の本件特約が存する。

しかし,借地借家法11条1項の規定は,強行法規であって,本件特約によってその適用を排除することができないものである。

したがって,本件各賃貸借契約の当事者は,本件特約が存することにより上記規定に基づく賃料増減額請求権の行使を妨げられるものではないと解すべきである。」

「賃料は契約終了まで一切変更しません」

この「契約終了まで」という部分が、「一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」という規定に反し、無効ということです。

一定期間の地代を増減しない特約は有効ですが、期間が不特定な特約は無効になる可能性があるので注意が必要です。

2、※参考 借家の場合

上記では借「地」の場合でしたが、借「家」のケースはどうでしょうか。 

借家にも借地借家法で同様の規定が存在します。

(借賃増減請求権)

借地借家法第32条:「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」


♦参考判例②:最判平15年10月21日

判旨:「その請求の当否(賃料増減請求の当否)及び相当賃料額を判断するに当たっては,当事者が賃料額決定の要素とした事情その他諸般の事情を総合的に考慮すべきであり,同契約において賃料額が決定されるに至った経緯や賃料自動増額特約等が付されるに至った事情,とりわけ約定賃料額と当時の近傍同種の建物の賃料相場との関係,甲の転貸事業における収支予測にかかわる事情,乙の敷金及び融資を受けた建築資金の返済の予定にかかわる事情等をも考慮すべきである。」

借家の場合も当時の周辺家賃と現在の周辺家賃とを比較し、不相当な場合は、賃料増減請求を認めているようです。

ただ、近隣の家賃相場だけで賃料の増減の基準が決まるわけではありません。

例えば、家賃の額に借金の返済分等が組み込まれているような場合は、周辺家賃より高かったとしても、家賃は相当な額として判断されます。
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