作成日:2018.02.07

借地の無断転貸と特段の事情(※特段の事情部分を厚く)


コンテンツ番号:20180119

 借地を無断で転貸したところ、地主から解除すると通知を受けてしまいました。

やはり、どんな事情があっても契約は解除されてしまうのでしょうか。

1、賃貸借契約の解除原因の原則

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

民法612条1項:「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

同条2項:「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

とあります。

賃貸借契約は継続的契約なため、当事者間の信頼関係が基礎になっています。

それを裏切るような行為は原則として解除原因になってしまいます。

しかし、判例は信頼関係の理論を用い、解除を制限しています。

♦参考判例:最判昭和28年9月25日

 判旨:「賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用収益を為さしめた場合においても,賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合においては,同条の解除権は発生しないものと解するを相当とする」

 としています。

無断転貸があった場合でも、賃貸人に対して背信的な行為に当たらないと判断できる特段の事情(特別な事情)がある場合には、解除原因はないということになります。

つまり、単に法律で定められている要件を満たしただけは解除ができず、当事者間の信頼関係を破壊したと言えるほどの重大な契約違反がなければ解除ができない、ということになります。

それでは、具体的にどのようなケースが信頼関係を破綻していないと言えるのでしょうか。

2、信頼関係が破綻されたかの判断基準について

信頼関係が破綻されたか否かは、まずは賃貸人に対して経済的な不利益があるかが重要なポイントなるでしょう。

例えば、無断転貸により資力の無い(賃料を支払えそうもない)者や反社会的勢力が転借人となり、賃料の回収ができそうもない等です。


もちろんそれだけでは判断できず、人的信頼関係も含めて具体的な事情を総合的に考慮して判断されることになります。


考えられる要素をまとめると…


賃貸借の目的物が何か

借地よりも借家の方が居住に直結する事柄であるため、賃借人側が保護される可能性が高いと言えます。

賃貸借の使用目的が何か

事業用よりも居住用の方が解除原因になりにくくなると考えられます。

※住むところが無くなってしまうため。

当事者(賃貸人・賃借人・転借人)等利害関係人の人間関係

転貸や譲渡した先の人間が家族か、また、赤の他人かで異なってくると考えられます。

当然、夫が息子に無断で転貸するよりも、他人に賃借権を譲渡・転貸する方が解除原因の大きな一要因になると考えられます。

賃借物の利用状況

賃借物がそのまま利用されているようであれば、解除原因とは判断されにくくなると考えられます。

逆に転借人の用法が乱暴で、家屋が滅茶苦茶等の場合は、解除原因になると考えられます。

※なお、転借人が家の障子や建具を破壊等で信頼関係が破綻したと判断された判例もあります。

賃貸人の被る不利益の有無・程度

無断転貸により賃貸人が大きな損害を被るようであれば、これもやはり解除原因となることが考えられます。

無断転貸に至った経緯

無断転貸をすることが仕方のないような理由があった否か

無断転貸の経緯に致し方ない理由があれば、解除原因とはならない方向に働きます。

 

上記のような様々なことを考慮して、信頼関係が破綻されたかが決まっていきます。

人が暮らしていくうえで、「家(住むところ)」は非常に大事です。

家を新しく探すというのは簡単なことでもないので、判例は賃貸人と賃借人・転借人との調整を上手く図るために「信頼関係理論」という方法によって均衡を図っていると言えます。

ここでは、無断転貸で検証しましたが、それが、用法遵守義務違反なのか、また、賃料不払いなの債務不履行に基づくものなのかによっても、その結果は異なります。

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