作成日:2017.12.07

借地権の遺産分割


借地権の遺産分割

父親Aが借地の上に建物を建てて生活していましたが、先日亡くなったため、妻Bや子Cらの遺産として借地権付建物が残されました。

この場合、借地権の遺産分割の注意点はありますか?

借地権の遺産分割

【詳細解説】

1、借地権も相続権の対象となります

(相続の一般的効力)

民法896条:「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」


とあります。

借地権は目に見えなく、現金や土地とは違い相続されないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、民法896条本文にあるように「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」 とあるため、有体物に限らず、権利も承継します。


そのため、権利である借地権も相続財産になるため、遺産分割することが必要です。



2、借地権の相続に地主の承諾は必要か

 
借地権も相続財産になり、無事相続をしたとします。

そうすると、借地人の名義が変わってしまいます。

民法にこんな規定があります…

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

民法612条1項:「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。」

同条2項:「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」

相続による名義変更も賃貸人(地主)の承諾がいるのではないか?と思うかもしれません。

しかし、地主の承諾は不要です。

借地権の相続の場合は借地人である被相続人の地位をそのまま承継することから、地主の承諾なくして当然に借地人の地位は相続人に承継されるとされています。

したがって、地主から、「借地人が変わったのだから借地権の無断譲渡だから借地契約を解除する」などといわれてもそのような主張に応じる必要はありませんので、ご安心ください。

※遺言者があり、借地権が遺贈された場合

この場合は、地主の承諾が必要になるので注意して下さい。

遺贈は、相続人以外の第三者に遺言書により相続財産を与える行為であるため、まさに民法620条にいう「譲渡」にあたることから、地主の承諾が必要とされているのです。



3、借地権の遺産分割の方法(代償分割か換価分割か)


借地権を遺産分割するとしてその分割方法はどのようにするのが良いのでしょうか。 


まず、できることなら、権利関係が複雑になってしまうため、共有にすることは避けた方が良いと言えるでしょう。


代償分割は、相続人の誰か一人の名義利その者が法定相続分相当額を他方の相続人に支払うことによる分割方法です。

換価分割は借地権を売却しその売却代金を相続人で相続分の割合に応じて分配する方法です。


このように借地権付建物を売却して代金を分ける換価分割する場合は、地主の承諾が必要な場合があるので注意が必要です。

換価分割の場合は真っ先に地主に買い取ってもらうことを交渉すると良いでしょう。

地主は借地を解消する滅多にないチャンスとして借地権を買い取ってくれることがあるからです。

実際、底地借地は相続の際に整理されることが多いです。



4、その他


その他の注意事項としては遺産分割終了まで更新料や地代などの支払関係には注意が必要です。

相続開始後遺産分割が難航しなかなか完了せず、借地権の処遇が決まらない期間であっても当然地代は発生することになります。

遺産分割が完了していないからといって、地代を支払わないことは許されず、地代未払い期間が長く続いてしまうと借地契約が解除原因となり、解除されてしまう場合もあるので、地代の支払を怠らないようにすることが必要です。

※遺産分割までの間に更新料の支払時期が到来してしまうことがあるため、この点にも注意が必要です。

独自の入札システムで借地権・底地を売却