底地の境界線が分からない場合どうする?|底地の売却・相続
底地の境界線が分からない場合どうする?
目次
相談事例
土地を宅地目的で貸そうとしましたが、どこまでが自己の土地か分かりません。 また隣人とも境界で争いになってしまっています。 敷地について何も資料が無く境界標も見当たらないのですが境界の確定はできますか。
回答
裁判を提起することで、境界線が決めることができます。
実は法律に規定はない訴訟形態
境界確定を裁判によって確定するには境界確定訴訟を提起することが考えられます。実は境界確定訴訟に関する法律的な規定がなく、先例の判例を積み重ねることで出来上がっている訴訟形式です。
以下簡単に特長を見ていきましょう。
境界確定訴訟の特徴まとめ
1. 訴訟当事者(原告・被告)は隣接土地所有者に限定され、訴訟物も隣接する土地同士の境界に限る
双方当事者が相隣地の所有者であるかどうかの判断は、口頭弁論終結時点で行われます。また、所有権以外の物件者は当事者となれないとされています。
土地が共有の場合は、全員が当事者になる必要があります。原告は共有者全員が訴え又は被告としては共有者全員を訴えなければなりません。
2. 必ず境界は確定される
裁判所は、証拠調べをして客観的な境界が発見できない場合でも請求を棄却することができず、必ず境界線を確定する判決を行い、境界線が形成されます。
3. 裁判所は独自に判断する
裁判所は当事者主張、資料に基づき境界を確定していきます。ただし、当事者の主張に拘束されることなく独自に判断します。
つまり、原告の主張どおりに判断される場合もあれば、被告の主張どおり判断される場合もあります。その他、全く異なった境界線を確定されることがあるということです。
4. 和解、調停ができない
境界確定訴訟は土地と土地との境界(公法上の境界)を扱うので、原告・被告など当事者が互譲しあって合意をしても和解又は調停により決着することはできません。
5. 判決の結果は他の隣接地所有者との境界につき影響を及ぼさない
訴訟の当事者につき境界が確定したことは、他の隣接土地所有者との関係では、その内容が及びません。以上のとおり、必ずしも訴えた側の主張通りに判決が下されるとは限りません。
また、当事者間の合意があってもその通りになるとは限らず、使い勝手の悪い訴訟ではないかと思うかもしれません。この点、所有権確認訴訟では常に当事者に立証責任があり、対象土地の境界を証明する資料がないなどその範囲を立証できない場合は請求が棄却されてしまいます。
所有権確認訴訟の場合だとの裁判によって紛争を解決することができないこともあります。一方、境界確定訴訟では、当事者が立証できなくとも必ず裁判所が境界を確定してくれるというメリットもあります。
この記事の監修者
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。