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借地権の転貸に注意!地主に承諾をもらう必要はある?|底地の売却・相続

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コンテンツ番号:2268

借地権の転貸に注意!地主に承諾をもらう必要はある?

地主と借地人と転借人の関係のイメージ

借地権における転貸借契約とは?

転貸借契約とは、元々地主から土地を借りている借地人が土地や建物などの不動産を新たな契約者に一部または全部を転貸する契約のことです。

借地権の転貸借について

借地権の転貸借契約には、3人の登場人物がいます。

土地の持ち主である地主、地主から土地を借りている借地人(転借人)、借地人から土地を借りた転借人です。

借地権の転貸人は、元々土地を借り受けていた借地権者であり、その土地を他の者に転貸する立場にある人物や法人を指します。

地主・借地人・転借人の関係性

「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。…」

 民法613条

本来であれば転貸借契約は借地人(B)と転借人(C)の2当事者間のみのことではありますが、転借人も大元の地主(A)に対して直接義務を負うことになるということです。

借地人と転借人との間の転貸借契約は、地主と借地人との間の有効な借地契約の存在を基礎とし、その上に成り立っている契約であることから、直接義務を負うこととされているのです。

つまり、借地人(B)が、地主の承諾を得て転借人(C)に土地を転貸したものの、借地人に地代の不払いがある場合、地主(A)は転借人(C)に対して土地の明渡しを求めることができます。

土地の明け渡しについて

参考判例【最判平9年2月25日】

判旨:「…賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合、賃貸人の承諾のある転貸借は、原則として、賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了すると解するのが相当である。」

一方、債務不履行による契約解除ではなく、合意解除の場合には、転借人に対して賃貸土地の明渡を請求することはできないとされています。

【最昭62年3月24日】

判旨:「賃貸人が賃借人(転貸人)と賃貸借を合意解除しても、これが賃借人の賃料不払等の債務不履行があるため賃貸人において法定解除権の行使ができるときにされたものである等の事情のない限り、賃貸人は、転借人に対して右合意解除の効果を対抗することができず、したがつて、転借人に対して賃貸土地の明渡を請求することはできないものと解するのが相当である。」

借地権の転貸時に地主の承諾は必要

借地人が第三者に借地権を転貸する場合、地主の承諾が必要です。(民法612条)

また、地主に承諾を得るにあたって、借地人から地主に転貸承諾料を支払います。

承諾料の金額は、契約当事者間での交渉によって決まります。

一般的には、土地の規模や立地、市場価値、転貸によって生じる追加の管理や法的負担などに応じて金額が変動します。

承諾料に関する定めは、契約書に記載されるべき事項です。契約書には、承諾料の金額、支払い方法、支払い時期、および承諾料の支払いを条件に土地所有者が転貸に同意する旨が記載されているのが一般的です。

契約書に記載がない等の場合は、地主への交渉が難航する可能性があるため、借地権を専門に扱う不動産会社に相談するのが賢明です。

借地権を無断転貸したらどうなるの?

借地権を無断で転貸した場合、以下のようなリスクが発生します。

  • 契約解除の可能性
  • 損害賠償請求
  • その他の法的措置
  • 地主との関係性悪化

無断転貸が発覚した場合、借地権契約を解除される可能性があります。また、無断転貸によって、地主に損害を与えた場合、損害賠償を求められる場合もあります。

何よりも、無断転貸による契約違反は、地主からの信用の損失になり、将来的な不動産取引や契約の締結に影響を与える可能性があります。

無断転貸は、大きなリスクを伴いますので、絶対に避けましょう。

【弁護士Q&A】借地の転貸について相談です

借地で契約している更地の土地を使用して、駐車場を経営したいです。土地を貸してくれている地主さんに、事前に伝えておいた方がいいのでしょうか?また、法的に何か必要な手続きはありますか?

  • 建物所有が主たる目的でないと、借地借家法の保護の適用外となります。
  • 借地を駐車場として貸し出すことは、転貸に当たるため、地主の承諾が必要です。

まず、当初から駐車場の建設用地とすることを目的として地主と借地契約を結んでいる場合について説明します。借地借家法における保護の対象は、建物の所有を目的とした借地権です(借地借家法1条)。

したがって、駐車場目的の借地契約の場合には、借地借家法の保護が適用されません。なお、土地の一部に建物があったとしても、主たる目的が建物所有であると認められない場合は、やはり借地借家法の適用はありません。

次に、建物所有目的で借地契約を結び、借地上に建物を建てたが、余った借地の一部を駐車場として貸し出す場合について説明します。借地の一部を駐車場に貸し出す行為は、借地の転貸に該当します。借地権が賃借権である場合、転貸には貸主である地主の承諾が必要であり、地主に無断で転貸をすると、契約解除のリスクが生じます(民法612条1項・2項)。

また、もともと借地全体を住宅用地として借地契約を結んでいる場合は、借地の一部を駐車場として利用するに当たって、用途変更についての承諾を得ることが併せて必要になります。

そして、地主から承諾を得るに当たっては、地主から承諾料の支払いを求められることが通常です。用途変更のように条件変更を伴う場合の方が、承諾料は高額となります。
問題は、どれだけ話し合っても、地主から転貸の許可が得られない場合ですが、借地借家法上は、一定の要件のもと、転貸について地主の承諾に代わる許可を裁判所が出す制度が存在します(借地借家法19条1項)。このとき、地主に対する財産上の給付(承諾料に相当するもの)が許可の条件とされることが多いです。

但し、借地非訟という裁判所の手続を行うことになる関係上、時間・費用がかかることになりますし、代諾許可されることが必ず保証されているわけでもありませんので、法律上そういう制度があるからと安心して、地主との事前の協議をおろそかにしないよう注意が必要です。

借地の一部を駐車場として転貸(又貸し)した判例

借地の一部を又貸しする場合も、地主の承諾は必要になります。

詳しくは、判例をもとに以下の記事で詳しく解説しています。

この記事の監修者

都丸 翔五トマル ショウゴ

社内弁護士

当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。

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