土地を一時的に賃貸する方法|弁護士Q&A
土地を一時的に賃貸する方法
材木を一時的に置く場合のように土地を短期間に限って一時的に賃貸する方法はありますか?
一時使用目的の借地権の設定があります
詳細解説
事業用定期借地権
まず、借地契約の期間について短い期間、土地を賃貸する方法としては、「事業用定期借地権」を設定することが考えられます。
しかしながら、「もっぱら」事業に供する必要があり、また、「事業用定期借地権」を利用する場合にも、期間は10年以上とする必要があります。したがって、数か月間や1年程度だけ土地を賃貸したい場合などには「事業用定期借地権」は適さないことになります。
一時使用目的の借地権
そこで考えられるのが、一時使用目的の借地権です。借地借家法には次の規定があります。
「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」
民法369条
とあります。
簡単に言うと、一時使用目的の借地権は借地契約の期間についてのルールが適用されず、数か月程度の短期間の借地契約を締結することも可能になるということです。
ただ、仮に契約書の記載で簡単に適用を排除できるとすると,適用排除とする契約が流行ってしまう可能性があります。借地借家法は借地の保護を主な目的としており、適用廃除がまかり通ると、弱い立場の借地人は地主の言いなりにならざるをえません。
それでは借地借家法の存在意味がないので,借地借家法は契約で排除できないのが原則とされています。一時使用目的という目的がハッキリ、明確になっている場合だけに限られるということです。
参考判例を見てみましょう。
♦参考判例:最高裁昭和45年7月21日
判旨:「土地の賃貸借が…一時使用の賃貸借に該当し、同法一一条の適用が排除されるものというためには、その対象とされた土地の利用目的、地上建物の種類、設備、構造、賃貸期間等諸般の事情を考慮し、賃貸借当事者間に、短期間にかぎり賃貸借を存続させる合意が成立したと認められる客観的合理的理由が存することを要するものである。…」
と基準を設けています。
つまり、単に期間を短く設定するだけで「一時使用目的の借地権」となるわけではなく、短い期間を設定する目的や契約の経緯等の事情を総合的に考慮して、契約期間を短期間に限ることの客観的かつ合理的な理由が必要になるということです。
例えば、短期間の契約が何度も更新されているとか、借地人が長期間使用可能な建物を建てることを地主が認めているとか、借地契約の際に高額の権利金を受領しているといった事情があると、「一時使用目的」とは認められにくくなります。
この記事の監修者
弁護士
弁護士。東京弁護士会所属。常に悩みに寄り添いながら話を聞く弁護方針で借地非訟手続きや建物買取請求権の行使など今社会問題化しつつある借地権トラブル案件を多数の解決し、当社の顧客からも絶大な信頼を得ている。