底地を買取してほしい!借地人への交渉術とは?【地主様必見】
底地を買取してほしい!借地人への交渉術とは?【地主様必見】

目次
底地を借地人に買取してもらうためには、適切な交渉術が必要です。
この記事では、借地人に底地の買取を依頼する際の効果的な交渉方法、借地人との交渉が決裂した際の代替案まで、プロの視点でわかりやすく解説します。

底地の売却を検討すべきケース
底地の売却を検討すべきケースとしては、以下のものが一般的です。
- 底地にかかる税金の負担が大きい
- 借地人とのトラブルがある
- 底地の収益性が低い
底地にかかる税金の負担が大きい
地主(底地所有者)にとって、税金の負担は大きな問題です。
固定資産税や都市計画税は、借地人ではなく地主が負担することになっています。
これらの税金は、土地の評価額に基づいて算出されるため、評価額が高い都市部や広大な土地ほど、税負担が大きくなります。
加えて、底地は相続財産に含まれますので、引き継ぐときには相続税が課せられます。
このような税金の支払いを回避したいために、底地の売却を検討する地主も少なくありません。
借地人とのトラブルがある
地主と借地人の関係が良好でないケースも珍しくありません。
借地人による地代の滞納や支払い遅延、お互いの権利の主張による言い争いなど、底地や借地権はさまざまなトラブルが起きる可能性を秘めています。
このようなトラブルの解決を煩わしく感じ、底地を手放したいと考える地主もいます。
また、不動産業者や弁護士に相談し、トラブルの解決方法を探りつつも、最終的には底地を売却してしまうことで、長期的な問題から解放されたいという考えを持つ地主も珍しくありません。
底地の収益性が低い
地主は、借地権が設定されている土地(底地)の使用料として、借地人から地代を受け取れるものの、地主自身が自由に使用することはできません。
したがって、収益の最大化が難しくなります。
また、管理の手間に対して収益性が低いケースが多く、労力と見合わないことがあります。
加えて、借地人に長期間貸している場合、地代が今の時代にそぐわない価格となっているケースも少なくありません。
このような状況下では、底地を売却してその資金を別の投資に充てたいと考える地主もいます。
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借地人に底地の買取交渉をするには?
ここからは、底地買取交渉の基本と流れについて解説します。どのように交渉を進めていくかを見ていきましょう。
底地の買取交渉とは
そもそも底地買取交渉とは、地主が借地人に対して底地の所有権を売却するために行う、価格や条件の交渉を指します。
この交渉を通じて双方が合意すれば底地の売買契約が成立します。
借地人に底地を買取してもらうと、地主は資産の整理や収益化が可能になるというメリットがあります。
一方、借地人にとっては、借地の完全な所有権を得ることで、自由な土地利用が可能となるメリットがあります。
また、地主に対する地代の定期的な支払いもなくなります。
底地買取交渉では、更地価格や借地権割合などを考慮して適正な買取価格を算出することが重要です。
また、底地の契約内容や権利関係についても十分に確認し、明確にしておく必要があります。
底地買取交渉の流れ
底地の買取交渉の流れは、以下の通りです。
- 借地人に底地を買取してほしい意向を伝える
- 売買条件の交渉
- 売買契約の締結
- 引き渡し・決済
まず、地主は借地人に対して底地を売却したい意向を伝えます。
借地人が底地の買取に対して前向きであれば交渉はスムーズに進みますが、借地人側に底地を買い取るほどの経済的な余裕がないケースも珍しくありません。
借地人に買取してもらうのが難しそうな場合は、不動産の買取や仲介を専門にしている会社、つまり第三者に売却する選択肢もあります。
詳しくはこの後説明します。
続いて、底地の評価額や借地権割合を考慮して、適正な売却価格を設定します。
底地の適正価格は専門家の協力を得て算出するのが一般的です。
更地価格から借地権割合を差し引いた金額が、一般的な底地の売却価格の目安となります。
こうして設定された底地の売却価格をベースに、借地人と底地買取交渉を行います。
このときも専門家のアドバイスを受けながら、交渉にあたれるのが理想的です。
無事合意に達したら、弁護士などの立ち会いのもと、売買契約を締結します。
最後に、売買契約書に基づいて代金の受け渡しと所有権移転の手続きを行います。
この際、税金や各種費用の負担についても、事前に合意した内容に従って処理します。
借地人への底地買取交渉を成功させるコツ
借地人への底地買取交渉を成功させるために、地主側が押さえておきたいコツは以下の通りです。
- 価格交渉は慎重に行う
- 借地人側の意向を確認する
- 専門家の手を借りる
価格交渉は慎重に行う
底地買取交渉において、価格交渉は重要な要素の一つです。
あまりにも高すぎる値段を提示してしまうと、借地人の不信感を招き、交渉そのものが破談になってしまうかもしれません。
底地の適切な価格を把握するにはまず、周辺の相場を調査することが重要です。
不動産業者や専門家に相談して、類似の底地取引の事例を集め、適正な価格帯を知る必要があります。
借地人と交渉する際は、提示する価格の根拠となるデータを用意しましょう。
公示地価や路線価、近隣の取引事例などを示すことで、借地人も納得しやすくなります。
また、地主は借地人に対して、ある程度の価格交渉には応じる、という柔軟な姿勢を示すことも大切です。
最初から譲歩の余地がない硬直した態度では、借地人からの信頼を得るどころか交渉が難航してしまいます。
これ以上は譲れないというラインをあらかじめ決めておくことで、より円滑に交渉を進められるでしょう。
借地人側の意向を確認する
底地買取交渉を成功させるためには、借地人の意向を十分に理解することが欠かせません。
買取価格以外にも、支払い条件や引き渡し時期など、さまざまな要素について検討する必要があります。
地主側は、譲歩できる点とできない点を事前に整理しておきたいところです。
交渉にあたっては、借地人の意向を随時確認しつつ、お互いにとってベストな着地点を見つけることが大切です。
くれぐれも一方的な交渉にならないように気をつけましょう。
専門家の手を借りる
底地買取交渉には複雑な法律知識や不動産の専門知識が必要となるため、地主個人で全てを対応するのは困難です。
1人で無理に交渉を進めると、感情的になったり、重要な点を見落としたりする可能性があります。
専門家の介入により、客観的な視点を保ちながらスムーズに交渉を進められます。
もしも交渉が難航する場合や、複雑な権利関係がある場合は、借地権に詳しい弁護士や不動産会社に早めに相談することをおすすめします。
借地人以外の売却先
借地人と地主は利益相反の関係にあるため、底地買取交渉が難航することもあります。ですが、底地を買い取ってくれるのは借地人だけではありません。
借地人以外の底地の売却依頼先としては、以下の2種類があります。
- 底地専門の買取業者
- 底地専門の仲介業者
底地専門の買取業者
底地の売却先として、底地専門の買取業者を利用するという選択肢があります。
買取業者に底地を売却するメリットとして挙げられるのは、まず買取スピードが速いことです。
買取業者は自社で底地を購入するため、後述する仲介業者よりも比較的迅速に一連の手続きを進めてくれます(早いケースでは3日程度で売却できることもあります)。
また、買取業者が自ら買取してくれるため、仲介手数料も不要です(事務手数料などの名目で費用を支払う場合もあります)。
一方デメリットですが、仲介業者を通じた売却と比べると、買取価格は安くなる傾向があります。
これは、買取業者が転売利益を見込んで買取価格を設定するためです。
つまり、少しでも高い価格で売却したいという売主の考えとは相反して、買取業者は、「可能な限り底地を安く仕入れて(買い叩いて)、高額で転売する」ことで多くの利益を得られるビジネスモデルなのです。
また、買取業者と直接取引する場合、売買契約書などは買主である買取業者が作成するのが一般的です。そのため、契約条件が売主にとって不利な内容になっている可能性があります。
買取業者を選ぶ際は、複数の業者から査定を受け、条件を比較することが重要です。
また、業者の信頼性や実績も十分に確認するようにしましょう。
メリット | デメリット |
・買取スピードが早い ・仲介手数料が不要 | ・買取価格が安い ・契約条件によっては後々トラブルになるリスクがある |
底地専門の仲介業者
底地専門の仲介業者に協力してもらい、買取してくれる相手を探す方法もあります。
仲介業者を通じた売却には、買取業者とは異なるメリットがあります。
仲介業者を通じた売却の最大のメリットは、市場の相場に近い、より有利な価格での売却が期待できる点です。
これは、仲介業者のビジネスモデルに理由があります。
仲介業者は売主と買主を繋ぎ、売買契約が成立した際に仲介手数料を得ます。
そして、その仲介手数料は売却価格に連動して高くなる仕組みです。
つまり、売却価格が高くなるほど仲介業者の利益も増えるため、売主と仲介業者は「より高く売る」という共通の目的を持つことになります。
この利益の一致こそが、買取業者よりも高値で売却できる可能性を高めるのです。
加えて、不動産取引の専門知識を持った仲介業者が間に入ることで、物件の特性や市場動向を踏まえた適切な価格設定や、効果的な販売戦略の立案が可能になります。
また、煩雑な契約手続きや契約締結に必要な書類作成なども仲介業者が全面的にサポートしてくれるため、不動産や法律の知識に自信がない方でも安心して売却を進められます。
ただし、売却に成功した場合、仲介業者に仲介手数料を支払う必要がある点はデメリットと言えます。
また、仲介業者はあくまで売買を仲介する立場であり、買主が見つかるまで2週間程度、時間を要する可能性もあります。
仲介業者を選ぶ際は、底地取引の経験が豊富かどうかを重視しましょう。豊富な経験と専門知識は、複雑な権利関係の調整や借地人との交渉を円滑にします。
また、営業力。の高さも重要なポイントです。幅広いネットワークと効果的な販売戦略を持つ仲介業者であれば、早期かつ高額での売却を目指せます。
さらに、地域密着度の高さも見逃せないポイントです。地域の相場や特性を熟知した業者は、適正価格での底地売却をサポートしてくれます。
メリット | デメリット |
・市場価格に近い価格で売却できる ・販売戦略や契約内容の確認などサポートが充実 | ・仲介手数料がかかる ・売却までに2週間程度時間がかかる |
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底地買取交渉の成功には専門家のサポートが不可欠
借地人に対する底地買取交渉を成功させるためには、地主側の柔軟な考え方と、慎重な判断が求められます。
まずは、底地売却の目的を明確にしましょう。
税金負担、借地人とのトラブル、収益性の低下など、底地の売却を検討している理由を再度確認します。
次に、借地人との交渉に臨む際は、適切な価格設定と、借地人の主張を聞き入れる柔軟な姿勢を心がけることが大切です。
また、底地売却の成功には土地や法律に関する専門知識が不可欠です。
地主が1人で全てに対応するのは困難かつ現実的ではないため、弁護士や底地売買のノウハウがある不動産業者など、信頼できる専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。
最後に、底地の売却は、長年の借地関係に一つの区切りをつける重要な決断です。
慎重に、しかし前向きに取り組むことで、新たな資産運用の機会を見出せるでしょう。
本記事が、地主様の底地売却を成功させる一助となれば幸いです。
センチュリー21中央プロパティーは、底地売買を専門に取り扱う不動産仲介会社です。
底地や借地権に関する豊富な知識を持つ弁護士が所属しておりますので、「借地人とのトラブルを解消したい」「底地をできるだけ高く売りたい」といったお悩みを抱えていらっしゃる地主様は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
弁護士
弁護士。早稲田大学法学部卒業。東京弁護士会所属。地代滞納、建物明け渡しなど借地権・底地権の案件へ積極的に取り組む。主な著書に「一番安心できる遺言書の書き方・遺し方・相続の仕方」「遺言書作成遺言執行実務マニュアル」など。