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借地からの立ち退き拒否は可能?拒否できないケースや対処法を解説

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借地からの立ち退き拒否は可能?拒否できないケースや対処法を解説

借地からの立ち退き拒否は可能?拒否できないケースや対処法を解説

借地の上に建つ家に暮らしていて、突然地主から立ち退きを要求されたら、誰もが不安を感じるものです。

もしそのような事態に直面したら、長年住み慣れた場所を離れることへの抵抗感や、引っ越しの手間と費用の負担など、さまざまな心配が頭をよぎるのではないでしょうか。

ですが、安心してください。

借地人の権利は法律で保護されており、正当な理由がない限り立ち退きに応じる必要はありません。

それでは具体的に、どのような状況なら立ち退きを拒否できるのでしょうか?

この記事では、地主による借地からの立ち退き要求に直面した際の対処法や、拒否できる状況について詳しく解説します。

借地からの立ち退きは拒否できる?

借地からの立ち退きは、原則として拒否することができます。

借地借家法では、借地人の権利が強く保護されており、地主側の一方的な都合で簡単に立ち退きを迫ることはできません。
たとえ地主が立ち退き料を提示しても、その主張が必ずしも認められるわけではないのです。

地主が立ち退きを要求する場合、妥当であると判断できる理由(正当事由)が必要となります。
この正当事由の有無は、裁判所が総合的に判断することになります。
つまり、借地人は単に「立ち退きたくない」という意思表示だけでなく、法的根拠に基づいて立ち退きを拒否する権利を持っているのです。

ただし、立ち退き拒否が必ず認められるわけではありません。
正当事由が認められる場合や、借地人側に契約違反がある場合など、状況によっては立ち退きせざるを得ないこともあります。

立ち退きの拒否が難しいケース

前述の通り、地主による立ち退き要求が認められるのは、「正当事由」があると判断された場合です。
ただし、正当事由に該当するかどうかはケースバイケースで判断されるため、一概に言い切ることはできません。
借地人と地主の事情、土地や建物の状況など、さまざまな要素を総合的に考慮して判断されます。

立ち退きの拒否が難しいケースとしては、以下の4つが代表的です。

  • 地主側に賃貸借契約の更新を終了する正当な事由がある場合
  • 建物が老朽化している場合
  • 地主に土地を利用する合理的な事情がある場合
  • 借地人側に契約不履行があった場合

地主側に賃貸借契約の更新を終了する正当な事由がある場合

借地借家法(民法第26条民法第28条)では、正当な事由があると認められる場合に限り、建物賃貸借契約を終了させることが認められています。

例えば、地主側が自ら居住するために建物を必要としており、なおかつ借地人への生活保障として相当額の立ち退き料を提示した場合は、借地人側による立ち退きの拒否が難しくなる可能性が高くなります。

正当な事由の有無は、複数の要素を総合的に考慮して判断されます。特定の事由一つだけで判断されるわけではありません。
具体的には、建物の使用を必要とする事情や建物の利用状況、借地人の生活状況など、さまざまな要素が考慮されます。

裁判所は、双方の利害関係を慎重に比較検討し、総合的に判断します。

建物が老朽化している場合

建物が著しく老朽化し、倒壊のおそれがあるなど危険な状態にある場合、地主による立ち退き要求が認められることがあります。

これは、借地人や周辺住民の安全を確保するためでもあり、また地主の土地管理責任の観点からも重要です。

ただし、単に古いというだけでなく、実際に危険な状態であることが客観的に証明されたときに、正当事由として認められます。

地主に土地を利用する合理的な事情がある場合

地主が自ら建物に住みたい、あるいは建物を取り壊して別の建物を建てたいという合理的かつ切迫した事情がある場合、立ち退きが認められる可能性があります。

特に、借地人が別の場所に住居や建物を所有している場合に、この主張が認められやすくなります。

これは、もし仮に借地人が立ち退いても生活基盤を失わないと判断されるためです。

借地人側に契約不履行があった場合

地代の未払いが続いている場合や、無断での増改築、契約内容に反した利用があった場合など、借地人側に契約不履行がある場合は、立ち退きを拒否することが難しくなります。

例えば、借地の上に建てている建物は、地主の事前承諾を得ず増改築することはできません。

こうした規則違反が借地人側にあると、裁判で契約解除の正当性が地主側に認められるリスクが高くなります。

ちなみに、定期借地権は契約期間満了後の更新が認められていません。
定期借地権契約では、あらかじめ退去に関する事項が契約で決められているため、契約終了時の交渉余地は限られます。

ただし、定期借地権でも、契約終了後の建物買取請求権など、借地人を保護する規定は設けられています。

借地からの立ち退きの流れ

地主から借地人への立ち退き要求は、以下の流れで進行します。

  1. 地主から通知書が送付される
  2. 地主と交渉する
  3. 立ち退きの裁判が行われる

1.地主から通知書が送付される

まずは地主から借地人へ通知書が送られてきます。

この通知書には、立ち退きを求める理由や期限が記載されています。

多くの場合、内容証明郵便で送付されますが、それは、後の交渉や裁判の際に、通知の事実を証明するためです。

借地人は通知書を受け取った後、その内容をよく確認します。

立ち退きを求める理由が正当なものかどうか、期限は適切かどうかを判断しましょう。

通知書が来た段階で専門家に相談し、アドバイスを受けることのがおすすめです。

2.地主と交渉する

借地人が通知書を受け取った後、地主との間で交渉が行われます。

原則として、この交渉は契約期間満了の1年前から6カ月前の間に行われます。

借地人は、立ち退きを求める理由の正当性を確認し、必要に応じて異議を申し立てることができます。

交渉では立ち退き料についても話し合われます。

立ち退き料の金額は、借地権の価値や移転に伴う損失などを考慮して決定されます。

借地人は、この交渉過程で弁護士や不動産の家のサポートを受けることで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。

3.立ち退きの裁判が行われる

交渉でお互いが合意に至らなかった場合、裁判所の判断をもって解決を図ることになります。

裁判では、地主側の立ち退き要求に正当事由があるかどうかが主な争点となります。

裁判に発展した場合、判決が出るまでにはかなりの時間を要することがあります。
その間、借地人は通常通り土地を使用し続けることが可能です。

裁判所は正当事由の有無やその内容の妥当性を基準に判断を下しますので、必ずしも立退きの判決が出るとは限りません。

立ち退き料の相場

立ち退き料に関しては、一定の金額に該当する明確な相場は存在しません。

これは、各ケースの状況が大きく異なるためです。

しかし、過去の判例を見ると、借地権価格をもとに算出されることが多い傾向にあります。

借地権価格とは、借地権の価値を金額で示したものです。

具体的には、土地の評価額に借地権割合を乗じることで算出できます。

例えば、土地の評価額が1億円で、借地権割合が60%の場合、借地権価格は6000万円となります。

ただし繰り返しになりますが、この金額はあくまで目安の一つに過ぎません。

実際の立ち退き料は、地主の正当事由の強さに応じて増減されます。

例えば、地主側の正当事由が弱い場合は、借地権価格を上回る金額が提示されることもあります。

逆に、借地人側に契約違反があるなど、地主側の立場が強い場合は、借地権価格を下回る可能性もあります。

また、立ち退き料には、移転費用や営業補償なども含まれることがあります。
特に事業用の借地の場合、営業損失や顧客の喪失など、立ち退きに伴うさまざまな損失を考慮する必要があります。

したがって、立ち退き料の交渉を行う際は、単に借地権価格だけでなく、立ち退きに伴う全ての損失や費用を総合的に考慮することが重要です。

また、専門家のアドバイスを受けながら、適切な金額を見積もるのが賢明でしょう。

借地からの立ち退きを拒否したい場合の対処法

地主からの立ち退き要求を拒否したい場合の対処法としては、以下の手段が一般的です。

  • 借地人にとって、借地が必要な理由を説明する
  • 地主側の正当事由の欠如を主張する
  • 専門家に相談する

借地人にとって、借地が必要な理由を説明する

借地人が立ち退きを拒否したい場合、借地を利用する必要性を明確に説明しましょう。

借地上にある現在の住居が生活基盤であり、移転が著しく困難であることは、立ち退きを拒否する妥当な根拠になり得ます。

例えば子どもの通学事情、高齢者の介護など、移転が日常生活に与える影響を詳細に示すのが有効です。

また、長年その場所で生活や事業を営んできたことによる地域との結びつきや、移転によって失われる人間関係なども、重要な要素として挙げることができます。

これらの説明は、単なる感情的な主張ではなく、具体的な事実や数字を交えて行うことが重要です。

説得の結果、地主からの理解を得られれば、立ち退きを回避できる可能性があります。

地主側の正当事由の欠如を主張する

地主側の立ち退き要求に正当事由がない場合、それを根拠に立ち退きを拒否することができます。

正当事由に該当するかどうかは、ある程度過去の判例から判断することが可能です。
インターネットで「借地 立ち退き 判例」などのキーワードで検索すれば、類似のケースを探せます。

とはいえ、過去の判例が今回の状況と類似するかを判断するのは難しいかもしれません。

そのため、法律相談窓口や無料相談会を利用して、専門家に過去の事例を調べてもらうのがおすすめです。
これらの情報をもとに、地主側の主張する正当事由が不十分であることを論理的に説明できれば、立ち退き拒否の根拠となります。

専門家に相談する

立ち退き問題は法律的に複雑な側面があるため、弁護士や不動産の専門家に相談して法的アドバイスを受けることをおすすめします。

専門家は、あなたの状況を客観的に分析し、具体的な対応策を提案してくれます。

また、法律の専門知識を活用することで、地主との交渉をより有利に進められます。

交渉が難航した場合に備えて、早い段階から専門家と相談しておくことで、スムーズな対応が可能となるでしょう。

ちなみに、中央プロパティーではお客様のご状況を正確に把握し、適切なトラブル対処方法をご提案するために、初回相談から弁護士が同席いたします。

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地主による借地からの立ち退き要求は、借地人にとって大きな不安と負担を伴う問題です。

しかし、借地人の権利は法律によって保護されており、正当な理由なく立ち退きを強制されることはありません。地主から立ち退き要求を受けた場合、まずは冷静に状況を分析し、適切な対応を取るようにしましょう。

とはいえ、適切な対応には専門的な知識と経験が必要となるため、借地権のトラブル解決に長けた不動産会社や、弁護士への相談がおすすめです。

立ち退き問題の解決には時間がかかることも多いため、早めの対応と専門家への相談が、円滑な解決への近道となるはずです。

この記事の監修者

塩谷 昌則シオタニ マサノリ

弁護士

弁護士。兵庫県出身。東京大学法学部卒業。東京弁護士会所属。弁護士資格のほかマンション管理士、宅地建物取引士の資格を有する。借地非訟、建物明渡、賃料増額請求など借地権や底地権をはじめとした不動産案件や相続案件を多数請け負っている。

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