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底地の評価額はどう決まる?売却前に知るべき不動産鑑定方法を解説

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底地の評価額はどう決まる?相続や売却時に役立つ底地の評価方法を解説

底地の評価額はどう決まる?売却前に知るべき不動産鑑定方法を解説

底地は、借地権が設定された土地の所有権であり、評価方法が複雑です。評価額に影響を与える要素や売却時の注意点について知っておくことが大切です。

この記事では、底地の評価額を決定する様々な方法(相続税路線価、固定資産税評価額、不動産鑑定士による鑑定評価など)を不動産鑑定士が分かりやすく解説します。

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そもそも底地の評価とは?

底地の評価とは、借地権が設定された土地の所有権の価値を金銭的に算定することです。

土地に借地権という第三者の権利が付着しているため、更地とは異なり評価は複雑になります。底地の評価額は、売却、相続、担保設定など、様々な場面で必要となります。

底地の売買においては、評価額を参考に適正な価格を決定し、相続時には相続税算出の基礎となります。
また、金融機関からの融資で底地を担保にする際も、評価額が融資額に影響します。

底地の評価方法には大きく分けて3種類ある

底地の評価方法としては、大きく分けて以下の3種類があります。

  • 底地の評価方法①:相続税評価額(路線価)による評価
  • 底地の評価方法②:不動産鑑定による評価
  • 底地の評価方法③:金融機関による評価

底地の評価方法①:相続税評価額(路線価)による評価

底地の評価方法として、相続税や贈与税算出の基準となる相続税評価額(路線価)による評価があります。

国税庁が毎年公表する路線価に土地の面積を乗じて算出しますが、底地は借地権の存在を考慮しなければなりません。そのため、底地の評価額算出には、まず借地権割合を正確に把握することが肝心です。

次は、底地の相続税評価額の計算方法と、その計算に不可欠な借地権割合の調べ方について解説します。

底地の相続税評価額の計算方法

底地の相続税評価額は、土地の自用地としての評価額(更地価格)から借地権の価額を差し引いて算出します。

まず、国税庁ウェブサイトの路線価図で、対象地が面する路線価を確認し、土地の面積を乗じて自用地としての評価額を計算。
次に、借地権割合(借地権の価額÷土地の評価額)を適用して借地権の価額を求めます。
最後に、自用地としての評価額から借地権の価額を控除したものが、底地の相続税評価額となります。

路線価と土地面積、借地権割合の3つの要素が、底地の評価額を決定づける重要な要素です。

借地権割合の調べ方

借地権割合を調べる方法は、以下の2つです。

  • 不動産鑑定士に依頼し、専門知識に基づく正確な評価を得る方法
  • 国税庁の「路線価図」を参照する方法
借地権割合の調べ方

(注)画像は令和6年度、東京都台東区上野1の路線価図の一部から抜粋

路線価図には、地域や借地の種類ごとに定められた借地権割合がアルファベット記号(A~G)で記載されており、例えば「A」は90%を示します。

この割合は更地価格に対する借地権価格の割合を示すもので、これにより底地の借地権価値を把握できます。

ただし、国税庁の公表する割合は目安であり、不動産鑑定士による鑑定結果とは異なる場合があることに留意しましょう。

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底地の評価方法②:不動産鑑定による評価

不動産鑑定士による底地の評価は、相続税申告や売却価格決定など、様々な場面で活用される専門的な評価方法です。「不動産鑑定評価基準」に基づき、現地調査や資料調査を徹底的に行い、複数の評価方式を組み合わせて適正価格を算出します。

相続税路線価や固定資産税評価額による画一的な評価とは異なり、不動産鑑定士は、借地契約の内容、借地人の属性、周辺環境といった底地の個別要因を詳細に分析します。多角的な視点から評価額を算出するため、市場の実態を反映した、精度の高い評価額の把握につながります。

売買や担保評価など、より正確な底地の価値を知りたい場合に、不動産鑑定士による評価は有効な手段と言えるでしょう。

不動産鑑定による底地評価では、3つの評価方式を組み合わせる

不動産鑑定士による底地評価は、以下の3つの評価方式を総合的に組み合わせて行われます。

  1. 原価法
  2. 取引事例比較法
  3. 収益還元法

これらの手法は異なる視点から土地の価値を捉えるもので、単独ではなく複合的に適用することで、客観性と信頼性の高い評価額を算出します。

次は、3つの評価方式それぞれの特徴について詳しく解説します。

不動産鑑定で用いる底地の評価方式①原価法

原価法は、土地の取得費用や開発費用、減価償却費を基に不動産価値を評価する手法です。
対象となる土地を現時点で再取得すると仮定した場合の費用を算出し、そこから経年劣化による価値の減少分を差し引いて評価額を求めます。

底地評価においては、通常の土地評価に加え、借地権設定費用や将来の地代収入見込みも考慮されます。更地の再調達原価から借地権相当額を控除することで底地の評価額を算出します。

また、建物がある場合は、建物の再調達原価と減価修正も評価に含めます。

原価法は、不動産の現状を費用面から把握し、客観的な評価額を算出する際に有効な手法と言えるでしょう。

不動産鑑定で用いる底地の評価方式②取引事例比較法

取引事例比較法は、底地の価値を推定する際に用いられる手法の一つであり、対象となる底地と条件が類似した土地の取引事例を参考にします。

ここでいう類似した土地とは、立地条件、地目、地積などが近いものを指します。

この方法では、まず多数の取引事例を収集し、それらの取引価格と対象となる底地を比較することで評価額を算出します。地域要因や立地、面積、形状といった個別要因の違いを考慮し、適切な補正を行うことが重要です。

取引事例比較法は、市場の動向を反映した信頼性の高い評価額を導き出すことが期待できる一方で、類似する取引事例が少ない場合には適用が難しくなる点に留意しましょう。

不動産鑑定で用いる底地の評価方式③収益還元法

収益還元法は、土地が将来生み出す収益に基づいてその価値を評価する手法です。

底地の評価に際しては、将来の地代収入を予測し、それを現在の価値に割り引くことで土地の価格を算出します。この際、適切な割引率を設定することが重要となります。

具体的には、年間純収益(地代収入から諸経費を差し引いた額)を還元利回り(投資家が期待する収益率)で割ることで評価額を求めます。

この方法は、賃貸経営が行われている底地の評価に適しており、将来の収益性やリスクを考慮できる点が特徴です。

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底地の評価方法③:金融機関による評価

銀行などの金融機関は、融資の安全性や返済能力を判断するため、担保となる底地の価値を評価します。

評価は、不動産鑑定士に依頼することもありますが、金融機関も独自のノウハウや内部規定に基づいて評価を行うケースが一般的です。

金融機関の評価方法は、不動産鑑定士による評価と同様に、相続税路線価や固定資産税評価額、取引事例比較法、収益還元法などを参考にします。
しかし、金融機関は貸し倒れリスクを考慮するため、評価額は不動産鑑定士の評価額よりも保守的な傾向があります。

また、金融機関の評価は、融資の条件や市場動向だけでなく、借地契約の内容や借地人の属性などにも影響を受けます。これは、底地の利用状況や将来的な収益性などを総合的に判断するためです。

金融機関による評価額は、あくまで融資の担保価値を判断するためのものであり、売却時の市場価格とは異なる場合があるので注意が必要です。

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底地の評価額に影響を与える要因は大きく分けて3種類

底地の評価額に影響を与える要因としては、大きく分けて以下の3種類があります。

  • 底地の評価額に影響を与える要因①:土地の基礎的な評価
  • 底地の評価額に影響を与える要因②:借地権に関する要素
  • 底地の評価額に影響を与える要因③:不動産市場の動向や経済状況

底地の評価額に影響を与える要因①:土地の基礎的な評価

底地の評価額は、土地の基礎的な評価によって変動します。
ここでは、土地の基礎的な評価に影響を与える以下の要素についてそれぞれ解説します。

  • 路線価
  • 土地の形状や面積
  • 土地の所在地や周囲の環境

路線価

路線価とは、相続税や贈与税を計算する基準として国税庁が毎年公表する土地の評価基準です。

主要な道路に面した土地1㎡あたりの価格が示され、土地の所在地や地目、地勢などの条件によって異なります。

路線価は、底地の評価額を算出する際の基礎となり、路線価が高い地域ほど底地の評価額も高くなる傾向があります。

ただし、路線価はあくまで基準であり、個別の土地の状況(形状、面積、周辺環境など)によって評価額は調整されます。

土地の形状や面積

土地の評価額は、その形状や面積によっても変わります。

一般的に、整形地と比べて不整形地は利用効率が低いため、評価額は低くなる傾向があります。
また、間口が狭く奥行きが長い土地も、同様に評価額が減額されることがあります。これは「減価修正」と呼ばれる調整です。

一方、土地の面積は広いほど評価額が高くなる傾向がありますが、広すぎる場合は需要が限定されるため、評価額が下がるケースも考えられます。つまり、土地の形状や面積は、その土地の利用価値に直接影響を与えるため、評価額を決定する上で重要な要素となります。

ただし、個々の土地の特性によって評価額は異なるため、専門家の意見を参考に判断することが大切です。

土地の所在地や周囲の環境

土地の評価額は、その所在地と周囲の環境によって大きく左右されます。

都市部や駅に近い土地は、交通の便が良く商業施設も充実しているため、郊外に比べて評価額が高くなる傾向があります。
また、学校や公園などの公共施設が近くにあることも、生活の利便性を高め、評価額を押し上げる要因となります。

一方で、騒音、振動、日当たり、眺望といった周辺環境も重要な要素です。静かで日当たりが良く、眺めの良い土地は、住環境として魅力的であり、評価額が高くなるのは必然と言えるでしょう。

つまり、土地の評価額は、利便性と住環境という2つの側面から判断されると言えます。

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底地の評価額に影響を与える要因②:借地権に関する要素

底地の評価額は、借地権に関する以下の要素によっても大きく影響されます。

  • 借地契約の条件
  • 借地権割合
  • 借地人の状況

借地契約の条件

借地契約の諸条件は、底地の評価額を大きく左右します。
地代や更新料、増改築の制限といった条件が借主に有利なほど、底地の価値は下落する傾向にあります。

例えば、低額な地代や安価な更新料が設定された借地権は、地主にとって収益性が低く、評価額の低下を招きます。
また、契約期間も重要な要素です。残存期間が長ければ長いほど、土地の自由な利用が制限され、評価額は低くなります。

一方、残存期間が短い場合や、契約終了時に更地返還される定期借地権などは、評価額が高くなる可能性があります。

借地権割合

借地権割合は、土地の価値に対する借地権の価値の割合を示し、底地の評価額を算出する上で重要な指標です。
この割合が高いほど、借地権の価値が強く、底地の価値は相対的に低くなります。

国税庁が地域ごとに定めている借地権割合は、路線価図に記載されたアルファベットで確認できます。
例えば、借地権割合70%の地域では、更地価格の3割程度が底地の評価額の目安となります。

借地権割合は、借地契約の内容や土地の立地など、様々な要因によって変動することを覚えておきましょう。

借地人の状況

底地の価値は、借地人の状況によっても左右されます。

優良なテナントが入居している場合は底地の価値が上昇する一方、地代滞納や建物の管理状態が悪いなど、不良なテナントの場合は価値が低下します。

例えば複数のテナントが存在する場合は、テナント間の関係性やトラブルの有無も評価に影響を及ぼすでしょう。
さらに、借地人が反社会的勢力と関係があるようなケースでは、底地の評価額に大きくマイナスの影響が出ることが考えられます。

このように、借地人の属性や状況は、底地の評価額を判断する上で無視できない要素となります。

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底地の評価額に影響を与える要因③:不動産市場の動向や経済状況

底地の評価額は、不動産市場や経済状況、物価、税制改正といった外的要因にも大きく左右されます。

景気動向は土地需要に直結し、好景気時は評価額が上昇、不景気時は下落する傾向にあります。

また、金利上昇は不動産投資の収益性を低下させ、底地の需要減、評価額下落を招く可能性があります。
反対に、金利低下は投資を促し、評価額上昇に繋がります。

さらに、都市計画やインフラ整備等の公共事業も土地の利便性を変化させ、評価額に影響を与えます。

底地の評価や売却価格は売却先で異なるので注意!

底地の評価額は、あくまでも土地の理論的な価値であり、実際の売却価格とは異なる場合があります。売却価格は、売却先によって大きく変動します。

底地の売却先は、主に以下のように分類されます。

  • 借地人に売却する場合
  • 第三者に売却する場合
  • 買取業者に売却する場合

借地人に売却する場合

底地を最も高く買い取ってくれる相手は、借地人です。借地人は、底地を取得することで、土地の完全な所有権を得られるメリットがあるためです。

借地人による底地購入の売却価格は、地主との交渉によって決まります。交渉では、借地人の購入ニーズや資金力、地主側の事情が影響します。また、借地権の残存期間、地代水準なども価格交渉の重要な要素です。

借地人への売却は高値となる可能性を秘めていますが、価格以外にも契約条件や支払方法など、多岐にわたる協議が不可欠で、慎重な対応が求められます。

さらに、借地人に十分な資金力がない場合、売却自体が成立しないリスクも考慮すべきでしょう。

第三者に売却する場合

底地は借地人以外の第三者への売却も可能です。借地人への買取交渉が難航する場合は、第三者への売却を検討しましょう。

次で紹介する買取業者への売却よりも、高額での売却が実現できるため、おすすめな方法です。

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買取業者に売却する場合

早期の現金化や確実な売却を望む場合、底地の買取業者への売却がおすすめです。

ただし、買取業者は、底地を買取した後の借地人との交渉や再販リスク、コストを見込んでいるため、仲介での売却に比べると価格が低くなる傾向にあります。

まとめ

底地の評価額は、路線価や固定資産税評価額、不動産鑑定士による鑑定評価など、様々な方法で算出されます。
それぞれの評価方法には特徴があり、通常は土地の状況や目的に応じて算出方法を使い分けます。
また、借地契約の内容や周辺環境なども評価額に影響を与えるため、適正な評価額を算出するためには、専門的かつ多角的な視点から検討する必要があるでしょう。

「地代を滞納されて困っている」「相続前に底地を整理したい」「借地人との関係構築が面倒」など、底地に関する地主様・相続人様のお悩みは多岐にわたります。

センチュリー21中央プロパティーでは、底地専門の弁護士が地主様または相続人様の立場に立ってお悩みを解決し、スムーズな底地売却をサポートいたします。
専門知識を持つ弁護士がお客様の状況を丁寧にヒアリングし、最適な解決策をご提案します。底地の売却をお考えの際は、ぜひ一度当社の無料相談をご活用ください。

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この記事の監修者

大村 進オオムラ ススム

不動産鑑定士

不動産鑑定士。株式会社大村不動産鑑定事務所代表。不動産鑑定評価業務をはじめ、価格査定、意見書作成など不動産の価格に関するスペシャリスト。業者によって査定額に大きな差が生じやすい借地権や底地の不動産鑑定において市場動向を考慮した査定には定評がある。

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