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2022年の借地借家法改正による影響は?主な改正点やメリット・注意事項

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2022年の借地借家法改正による影響は?主な改正点やメリット・注意事項

これまで借地権に関する手続きは、複雑で手間のかかるものでした。しかし、2022年の借地借家法改正により、電磁的記録の利用が拡大され、契約手続きのオンライン化が認められるようになりました。

今回は、2022年に実施された法改正が借地権にどのような影響を与えたのかを、具体的な事例を交えながら詳しく解説します。

借地借家法の基礎知識

借地借家法は、土地や建物の賃貸借に関する基本的なルールを定める法律です。ここでは、まず借地借家法とは何かを解説し、次に借地権の種類について詳しく説明します。

借地借家法とは

借地借家法とは、土地や建物の賃貸借に関する権利義務や手続きを定めた法律です。1992年に借地法と借家法が統合されて施行されました。

賃貸借契約に関することは民法でも定められているものの、借地借家法は特別法のため民法よりも優先して適用されるという特徴があります。誰もが対等に契約を結べる民法では、どうしても賃借人(借りる側)よりも賃貸人(貸す側)のほうが有利な立場になってしまいます。こうした背景から、民法では立場が弱くなりやすい貸借人の権利を守るために、借地借家法は定められました。

建物の所有を目的として土地を借りることができる権利の「借地権」は、この借地借家法によって規定されています。借地借家法によって賃借人と地主(貸す側)との間の公平な関係が維持され、双方が不利にならない契約を結べるというわけです。

ちなみに、1992年に借家法と借地法が統合される以前に交わされた借地契約については、借地借家法ではなく旧法が適用されています。

借地借家法をわかりやすく解説!歴史や借地権の種類も紹介

借地権の種類

借地権には、大きく分けて普通借地権と定期借地権の2種類があります。それぞれ違いがありますが、主に権利が認められる期間(存続期間)が異なっています。

建物が存在する限り、土地を利用する権利が認められる借地権を「普通借地権」と呼びます。一方、権利が認められる期間があらかじめ定められているのが「定期借地権」です。定期借地権は存続期間が満了すると契約は更新されず、土地が地主に返還される決まりになっています。

普通借地権と定期借地権の違いは?借地権の種類別に詳しく解説

【2022年施行】借地借家法の改正点とは

2022年5月に改正された借地借家法について、電磁的記録の利用の容認や事前説明書面のオンライン交付の導入など、主な改正点とその背景について説明します。

電磁的記録の利用が可能になった

2022年に行われた借地借家法の改正を機に、電磁的記録の利用が可能になりました。これまでは、一部の契約でしか電子契約が認められておらず、書面での契約が主流でした。しかし、改正後は電子契約が可能な範囲が広がったため、契約手続きがより効率的になりました。

ちなみに電磁的記録とは、コンピュータやインターネットを利用して記録されたデータのことです。電子メールやPDFファイル、クラウドストレージのデータなどが含まれます。

こうした電子データをメールやシステムなどを通してやりとりすることが認められたのが、2022年の改正に伴う変更点です。

事前説明書面の交付と契約の手続きがオンライン上で可能になった

借地借家法の改正により、一部の事前説明書面の交付と契約の手続きがオンライン上で可能になりました。この改正は、従来は紙媒体で行われていた契約手続きが、インターネットを活用してデジタル形式で行えるようにしたものです。
これにより、紙で作成した事前説明書面を対面または郵送する手間が省けるようになりました。

加えて、契約手続きそのものもオンライン上で完結することが可能になりました。具体的には、電子署名を用いた契約締結が認められるようになり、対面での署名や押印が不要となっています。

今回の改正によってオンライン上での契約が認められるようになったのは以下の2つです。

  • 定期借地権契約
  • 定期建物賃貸借契約

なお、普通借地権契約や普通建物賃貸借契約は2022年の改正前から電子データによる契約締結が認められています。一方、事業用定期借地契約は電子データの利用が認められておらず、現在も公正証書を用いて契約を締結します。

今回の改正に伴う変更点の詳細は法務省の資料にまとめられていますので、こちらもチェックしてみてください。

【出典】「借地借家法等の改正の概要」(法務省)

借地借家法の改正による地主や借地人への影響は?

ここからは、借地借家法の改正による地主や借地人への影響について説明します。改正には契約手続きの効率化や管理のしやすさなどのメリットがありますが、オンライン上で契約を行う際の注意点も押さえておく必要があります。

借地借家法の改正によるメリット

まずは今回の改正に伴うメリットを見ていきましょう。

契約手続きを効率化できる

従来の紙ベースの契約手続きと比較して、オンラインでの契約手続きは手間を省けます。例えば、契約書の紙への印刷や郵送の作業が不要になるため、その分の時間やコストを削減できるのが大きな利点です。

また、電子契約を活用すれば、一度に複数の文書を迅速に処理することも可能です。多くの事務処理が発生する場面でも、より効率的に対応できるようになりました。

管理がしやすい

電子契約の利点の1つとして、契約内容や関連書類を電子データとして保存できる点が挙げられます。電子データは、紙の書類に比べて管理や検索がしやすいのが特徴です。フォルダを階層ごとに分けて管理したり、特定の語句や日付が名前に含まれるファイルを検索して探し出したりすることができます。データの参照が容易なので、契約内容を確認する際もスムーズです。

オンライン契約を行う際の注意点

オンライン契約を行う際には、法的適用範囲をしっかりと把握することが重要です。2022年の改正で電子契約が可能になった契約の範囲が増えたことで、多くの手続きを効率化できるようになりました。

しかし、すべての契約に電子契約が認められているわけではありません。一部の契約については従来通り書面による契約が求められるので注意しましょう。

オンライン契約を活用するためには、事前にしっかりと法的要件を確認し、必要な手続きを理解しておくことが不可欠です。契約の際には、最新の法律情報を参考にすることや、専門家への相談もおすすめします。こうした準備を怠ることなく、適切に契約を進めることで、オンライン契約の利便性を最大限に活用できるでしょう。

借地借家法の改正によりオンライン上で契約締結が可能に

2022年の借地借家法改正により、借地借家契約に関する手続きの一部が簡素化できるようになり、より現代のニーズに合ったものに変わりました。特に、電磁的記録の利用拡大により、契約手続きがオンライン化され、手続きにかかっていた時間や手間が削減できるようになりました。

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この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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