2026/03/11
定期借地権付き建物を相続するとどうなる?気をつけたいこと
目次
定期借地権は一般的な普通借地権とは少し異なった特性があり、相続を検討する際にはその特性を理解することが求められます。
今回は、定期借地権付き建物が相続の対象に含まれている人向けに、定期借地権について解説します。
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定期借地権の基礎知識
相続のことを説明する前に、まずは定期借地権について解説します。定期借地権は、一般的な普通借地権とは異なった特徴があります。
定期借地権とは
定期借地権の特徴は、土地を利用できる期間が定められている点です。
契約で決めた利用期間が終了すると、土地は地主に返還される仕組みになっています。
定期借地権は、契約期間が終了しても契約の延長、つまり更新はできません。契約満了を迎えた時点で、土地は必ず地主のもとに返還されることになります。
なお、普通借地権は契約が終了しても再度契約を結ぶことができます。建物が存在する限り所有を続けられるのが、普通借地権の特徴です。
定期借地権の種類
定期借地権にはいくつかの種類があり、代表的なものとして、一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3つがあります。
| 種類 | 特徴・内容 | 存続期間 |
| ①一般定期借地権 | 住宅用など、用途に制限なく設定される一般的な定期借地権。 | 50年以上 |
| ②事業用定期借地権 | 店舗やオフィスなど、専ら事業目的の建物として土地を利用する場合に適用される借地権。 | 10年以上 50年未満 |
| ③建物譲渡特約付借地権 | 契約終了時に、地主が建物を受け取る(買い取る)ことをあらかじめ特約で定めた借地権。 | 30年以上 |
①一般定期借地権
一般定期借地権とは、特定の期間だけ土地を借りて使用する権利で、期間が満了すると自動的に契約は更新されません。
そして、一般定期借地権の権利が持続する期間(存続期間)は50年以上と定められています。
したがって契約で定めた50年以上の期間が満了した時点で、借地人は借りていた土地を更地に戻し、地主に返還します。
存続期間の決まりは借地借家法で定められているため、50年より短い期間の契約は無効です。
②事業用定期借地権
事業用定期借地権は、事業を行う目的で土地の権利を得る場合に適用される借地権です。
主に商業施設や工場などを建てる目的で利用されます。
存続期間は10年以上50年未満で定められ、期間が満了を迎えたら土地は地主に返還されます。
なお、事業用定期借地権は必ず公正証書を作成して契約を締結しなければならない決まりです。
③建物譲渡特約付借地権
建物譲渡特約付借地権は、期間満了を迎えたら建物を地主が買い取るという決まりが定められた定期借地権です。
したがって借地人は建物を取り壊して土地を更地にする必要がありません。解体する手間が省ける点は、借地人から見たメリットです。
期間満了になると地主は建物を譲り受けるので、土地と建物の所有者が同じになります。したがって、混同により結果的に借地権は消滅します。
建物譲渡特約付借地権の存続期間は30年以上です。
定期借地権付き建物を相続することになった場合の注意点
定期借地権付き建物の相続は、通常の不動産相続と異なる点が多く、注意が必要です。
ここでは、定期借地権付き建物を相続する際に知っておきたいポイントを解説します。
具体的には以下のような注意点があります。
- 途中解約ができない
- 売却が難しい
- 建物の利用状況にかかわらず管理責任を負う
- 返還時に解体費用を負担する必要がある
注意点①:途中解約ができない
一度契約を結んだ定期借地権は、存続期間中に解約することができません。
たとえ相続で権利を引き継いだとしても、この原則は変わりません。
相続で引き継いだ後も、契約で定められた存続期間が終了するまで地代を支払うことになります。
注意点②:売却が難しい
定期借地権付き建物は、売却が難しいとされています。
その理由は、定期借地権には存続期間が設定されているからです。
一般定期借地権と事業用定期借地権は存続期間が終了すると建物を取り壊し、土地を元の地主に返還しなければなりません。
建物譲渡特約付借地権は更地にする必要はありませんが、建物は地主のものになります。
つまり、契約期間の満了を迎えるまでの限られた間しか土地や建物を利用できないため、買い手が集まりにくいのです。
したがって、定期借地権付き建物はあまり市場に出回っていません。
そして、売却する際にはもう1つ大きな障壁があります。それは地主の承諾を得なければならないという点です。
定期借地権付き建物を売却する際には、まず地主に対して売却の意向を報告し、承諾を取る必要があります。
地主が承諾しない場合、売却はできません。加えて、売却の際は地主から必ず承諾料を求められます。
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当社センチュリー21中央プロパティーは、専門仲介業者として長年に渡って多くの借地権売却の仲介を成功させてきましたが、定期借地権も例外ではありません。
現在では都市部を中心に定期借地権のマンションの需要も高まっているため、契約の残存期間などによっては高額・好条件で買い手がつく可能性もあります。
ご相談が早いほど売却活動も有利になるため、相続した定期借地権のご売却をお考えの方は一度ご相談ください。
注意点③:建物の利用状況にかかわらず管理責任を負う
相続で借地権付き建物を引き継ぐことになった場合、建物の管理責任を引き継ぐのも相続人です。
相続した借地に建っている建物を実際には使用しない場合でも、その建物の管理責任が発生します。
したがって、建物のメンテナンスや修繕、必要に応じた改修などを行う責任を持つことになります。
税金の負担義務もあり放置することはできませんので、その点もしっかりと理解しておきましょう。
注意点④:返還時に解体費用を負担する必要がある
定期借地権は原則として契約更新がないため、期間が満了したら建物を解体し、更地にした上で土地を地主に返還する義務があります。
都心部では建物の解体費用は100万円単位になることも少なくありませんし、マンション等であれば月々の家賃や管理費に解体費用が上乗せされることもあります。
この点を踏まえ、「契約が終わったら別のところに住めばいい」というわけではなく、解体費という相応の金銭的負担があることには事前に注意が必要です。
定期借地権付き建物を相続する流れ
定期借地権付き建物を相続する際には、以下のようなステップを踏む必要があります。
- 遺産分割協議
- 地主への報告
- 建物の名義変更
スムーズな相続手続きを進めるためには、それぞれの手順を理解しておくことが大切です。
Step1.遺産分割協議
定期借地権付き建物を相続する際、まずは遺産分割協議を行います。
複数の相続人がいる場合に、対象となる遺産をどのように分けるか決める必要があるからです。
相続人全員の同意を得て、遺産の分割方法や財産の配分を決定しましょう。
遺産分割協議は、相続人全員が参加し、全員の合意をもって成立します。
したがって、1人でも同意が得られなかった場合、その協議は認められません。
遺産分割協議が成立した後は、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には、協議の内容や各相続人が受け取る遺産の詳細を記載します。
定期借地権だけを相続放棄することはできない
前章でご紹介した定期借地権のリスクを鑑み、「相続放棄」という手段を検討する方もいらっしゃるかと思います。
しかし、定期借地権など「財産の一部だけを放棄」することはできず、現金等のプラスの財産も借金等のマイナスの財産も全てを放棄することになります。
そのため、定期借地権が不要だからと安易に相続放棄を選ぶと、本来受け継げたはずのお金などもすべて手放すことになるため注意してください。
Step2.地主への報告
続いて、地主への報告を行います。
借地権の相続は法律上地主の承諾を必要としないものの、地主との良好な関係を維持するために、相続したことを報告するのが慣習です。
報告の際は、借地権を相続した旨を示す書面を送付し、直接面談を行って契約期間や地代の支払いについて再確認を行います。事務的な要項の確認が主な目的ですが、お互いの信頼関係を深める目的もあります。
ちなみに、法定相続人以外の第三者に借地権を遺贈する場合には、地主の承諾が必要です。
この場合には、承諾料の支払いや契約内容の変更が発生することがあります。
「名義書換料」などの一時金の要求に注意!
このタイミングでは、「名義書換料」などの名目で一時金の支払いを求められ、トラブルに発展する場合もあります。
このようなケースでは、感情的にならず「法律上そのようなお金を支払う義務はない」ことを伝え、それでも話が収まらない場合は弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。
Step3.建物の名義変更
相続によって不動産の所有者が変わったときは、登記上の所有者を変更する手続きを行う必要があります。
ここでいう不動産には、借地権も含まれます。
そのため、定期借地権付き建物を相続した場合には、速やかに名義変更の手続きを進めましょう。
相続登記の手続きは建物が建っている場所の所在地を管轄する法務局にて行います。
法務局では必要な書類を提出し、所有者の変更を正式に登録します。これにより、公的に相続による権利の移転が認められるのです。
相続登記による名義変更の手続きは、準備しなければならない書類が多く、手間がかかります。
そのため、自分で手続きをするのが難しい場合や時間がないときには、登記の専門家である司法書士に依頼することも多いです。
定期借地権の相続税はいくら?
定期借地権は通常の土地とは異なり、残存期間によって価値が大きく変動するため、その評価方法が重要になります。
定期借地権の場合は、土地の所有権がないため、通常の「土地」としての評価は行いません。
財産評価基本通達に基づき、土地の自用地評価額に「借地権割合」を適用して算出しますが、定期借地権は残存期間が短いほど評価額が下がります。
特に、契約期間が満了すると更地返還義務があるため、残りの期間に応じた「残存期間に応じた調整」が必要となり、評価が複雑です。
適切な評価額で相続税を申告するためにも、定期借地権の評価に詳しい税理士に相談することが不可欠となります。
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相続人が借地契約を引き継ぐ際の注意点
相続は建物という「資産」だけでなく、借地契約自体を引き継ぐことになります。
つまり、故人の地代支払い義務は相続人が引き継ぎます。相続発生月以降の地代は誰が支払うのか、相続人同士で明確に分担を決める必要があります。
もし、故人が地代を滞納していた場合、その滞納金債務も相続人が引き継ぎます。滞納額が大きい場合、その支払い義務を負うことを含めて相続するかどうかを検討する必要があります。
また、定期借地権付きマンションの場合、管理費や修繕積立金の支払い義務も継続し、故人の滞納分があればこれも承継されます。
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定期借地権付き建物の相続・売却はセンチュリー21中央プロパティーにご相談を!
今回は、相続の観点から定期借地権付き建物について解説しました。
定期借地権は、途中解約が不可能な点や売却が難しい点など、普通借地権とは異なる特性を持っています。
そして相続する場合は定期借地権の特徴や契約内容を十分に理解した上で、遺産分割協議や名義変更の手続きを進めましょう。
しかし、「今後の地代の支払いや解体費の負担が心配」といった懸念から、早めに売却したいという方はぜひ当社にご相談ください。
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CENTURY21中央プロパティー

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この記事の監修者
松原 昌洙マツバラ マサアキ
代表取締役 /
宅地建物取引士
CENTURY21 中央プロパティー 代表取締役/宅地建物取引士
都内金融機関、不動産会社での経験を経て、2011年に株式会社中央プロパティーを設立。長年にわたり不動産業界の最前線で活躍するプロフェッショナル。
借地権の売買に精通しており、これまでに1,000件以上の借地権取引や関連する不動産トラブル解決をサポート。底地や借地権付き建物の売却、名義変更料や更新料の交渉など、複雑な借地権問題に従事。
著書に「地主と借地人のための借地権トラブル入門書」など多数の書籍を出版。メディア出演やセミナー登壇実績も豊富で、難解な相続不動産問題も「わかりやすい」と説明力に定評がある。