底地 売却
底地の売却は簡単!?売却相場や注意点をわかりすく解説
目次
底地は、地主が自由に使える土地ではないため売却が難しいと言われていますが、売却方法次第ではスムーズに買い手を見つけられます。
この記事では、底地の売却を検討している方に向けて、底地売却の流れや具体的な売却方法、売却に伴い発生する税金などについて解説しています。
また、売却時の注意点やオススメの売却方法についても取り上げているため、底地の売却に興味のある方、底地の取り扱いに困っている方などは、ぜひ参考にしてください。
<この記事でわかること>
- 底地の売却方法と売却価格の相場
- 底地売却は借地権の種類で異なる点
- 底地を売却するときの注意点
1.底地を売却する時の流れ
底地を売却する際の大まかな流れは以下の通りです。
- 不動産業者に相談し、土地を査定してもらう
- 販売活動の実施
- 売却条件の交渉
- 売買契約の締結
- 代金決済・引渡し
底地を売却する場合、まずは不動産業者に相談し、どのくらいで売れるのか査定してもらいましょう。この時ポイントとなるのが、底地を専門に扱う業者を選ぶことです。底地を専門に扱う不動産会社には、買取業者と仲介業者の2種類があります。
不動産買取業者の場合は、自社で買い取りを行うため、査定金額がそのまま売却金額となります。買い取った底地を高く売却することで転売益を得るため、買取業者の売却相場は低くなります。
不動産仲介業者の場合は、投資家などの第三者に売却するため、2週間ほど時間をかけて販売活動を行います。底地の売買価格は、買取業者よりも仲介業者のほうが、高額になる傾向があります。高く売りたい方は、仲介業者へ依頼することをおすすめします。
仲介業者へ依頼後、買い手が見つかったら売買条件を交渉し、合意できれば売買契約を締結しましょう。交渉する際は、仲介業者を経由して行うことでトラブルも発生しにくくなります。契約締結後は、契約書の内容に沿って決済と引渡しを行い売却が完了します。なお、売り手は所有権移転登記などの書類を準備する必要があるため忘れないように早めに準備を進めましょう。
2.底地の売却方法と相場
底地の売却方法にはいくつかの種類があります。また、売却方法によって相場が異なるため注意しなければなりません。ここでは具体的な売却方法とその相場について解説します。
底地の売却方法 | 特徴 | 更地と比較した売却相場 |
---|---|---|
借地人に売却 | 借地人の購入意思が必要 | 50%程度 |
等価交換し売却 | 借地人との手続きが煩雑 | 30~40%程度 |
底地・借地の同時売却 | 借地と同時に売却が必要 | 30~40%程度 |
投資家への売却 | 早く高額で売却できる | 30~50%程度 |
買取業者へ売却 | 早く売却ができる | 10%程度 |
2-1.借地人に売却する方法
底地の売却方法の1つが、土地を借りている人、つまり借地人に売却するというものです。例えば、自分が所有している底地を貸し出し、そこに家を建てて住んでいる借地人に対して底地を売却するといったケースが考えられるでしょう。
底地の所有者にとっては売却ができ、借地人にとっては、土地と建物が自己所有の完全所有権になったことで地代を支払う必要がなくなり、土地を自由に使えるようになるため、双方にとってメリットがあります。地主からの提案で、底地を借地人に売却する場合の相場は、市場価格の50%程度とされています。
2-2.底地と借地を等価交換して売却する方法
借地人と相談して底地と借地権を等価交換し、土地を分割して売却する方法もあります。
例えば、Aさんが底地100坪を、Bさんが借地権(借地面積100坪)を所有している場合、Bさんは50坪の借地をAさんい返還し、残った50坪の土地所有権をAさんからもらう方法で、お互いの権利をそれぞれ等価交換します。等価交換する際には、土地の形や大きさ、既存物件がある場合は取り壊し費用の負担などの条件を調整し、合意が得られれば分筆が成立します。
等価交換によって借地権が付いた土地ではなく完全所有権になるため、底地のみで売却するよりも高値で売却できます。相場は、分筆の結果どのくらいの大きさの土地となるかで決まるため、詳しくは査定を依頼して確認してください。
2-3.底地と借地を同時に売却する方法
自分が所有している底地と貸している借地を双方の同意があれば同時に売却することも可能です。この場合、底地と借地権がセットとなった通常の不動産(完全所有権の不動産)として取り扱うため、需要も高く、市場価格で売却できます。
ただし、底地と借地を同時に売却するには、当然ながら借地人からの同意が得られなければなりません。借地人が借地上の建物に引き続き住み続けたい場合、同時売却は難しいでしょう。
また、同時売却の場合、売却金額は市場価格となりますが、底地の所有者(地主)と借地人の間で売却金額を分配することになります。分配比率の目安は借地権割合が目安の基準になるため、基本的には借地人の取り分の方が多くなります。
2-4.投資家に売却する方法
仲介業者を介して底地を、投資家などの第三者に売却する方法があります。底地を第三者に売却する際、借地人の承諾は不要です。
借地人が家を建てて住んでいる場合でも、将来的に収益を上げる見込みがあると判断すれば、投資家は底地を購入します。
ただし、投資家が底地を購入しても借地権はそのまま存続し、底地所有者が土地を自由に扱えるわけではないため、底地価格は更地価格の15~20%程度が目安となります。
2-5.買取業者に売却する方法
買取業者への底地売却も選択肢の1つです。買取業者の中でも、底地の買い取りを専門としている業者もあります。
底地は自由度が低いため、一般的に売却が難しいとされていますが、底地を専門としている買取業者であれば、比較的買い取ってもらいやすいでしょう。ただし、買取価格は投資家に売却する場合よりもずっと低くなります。価格の目安は市場価格の10%程度です。
3.底地の売却は借地権の3つの種類で難易度が変わる
底地を売却するうえで大切なのが、借地権の種類を理解することです。借地権には以下のような種類があり、それぞれ特徴や買取相場が異なります。
借地権の種類 | 概要 | 買取相場 |
---|---|---|
普通借地権 | 契約期間の満了時に契約更新ができる | 更地価格の15%〜20%程度 |
定期借地権 | 契約期間が満了すれば契約が解消される継続には再契約が必要 | 契約の満了時期が近いほど高額 |
使用貸借 | 無償で土地を貸している状態 | 更地価格の10%減(使用借減価) |
ここでは、これらの借地権の種類について解説します。
a.普通借地権
普通借地権とは、契約期間が満了した時に契約更新ができる借地権です。借地人は一定期間土地を借りて、自由に使用でき、必要であれば契約を更新できます。普通借地権の場合、借地人側の権利が強く、借地人が契約の更新を希望すれば、底地所有者はそれに応じなければいけません。そのため、底地を売却しても自由度が低いことから売却価格は安くなります。
b.定期借地権
定期借地権とは、契約更新ができない借地権です。定期借地権の場合、契約期間が満了となれば地主は土地の完全な所有権を手に入れられます。所有権が完全であれば、その土地を自由に使えるため底地の買取価格も高くなります。定期借地権の場合、契約の満了が近いほど高額になります。
なお、定期借地権には、以下の3種類があり、それぞれ存続期間が異なるため注意してください。
- 一般定期借地権:50年以上
- 事業用定期借地権:10年以上50年未満
- 建物譲渡特約付き借地権:30年以上
c.使用貸借
使用賃借とは、契約を締結せずに無償で他人に土地を貸し出すことです。例えば、口約束で家族や親戚などに土地を貸すケースが考えられます。
使用貸借で借地人が底地に建物を建てた場合、借地人は土地の所有者から土地の返還請求があった場合には原則として土地を明け渡さなくてはなりません。借地人は「この土地にずっと住み続けられる」と考えている可能性もありますが、契約書もないため、簡単に建物の収去を請求でき、土地を売却することができます。
そのため、売却は市場価格と同等となります。
4.底地を売却するときに売主(地主)発生する税金
底地を売却する際には、さまざまな税金が発生します。ここでは具体的にどのような税金があるのか解説します。納税漏れを防ぐためにも、ぜひチェックしてみてください。
4-1.登録免許税
底地に抵当権が設定されている場合、売主は売却前に抵当権の抹消登記を行う必要があります。その際に、登録免許税がかかります。納税方法は、金融機関などで現金納付し、その領収証書を登記申請書に貼り付ける形となります。課税額は不動産1個につき1,000円で、金額分の収入印紙を申請書に貼り付けて対応してください。
なお、抵当権の抹消などがない場合は、売主は登録免許税の負担はありません。
4-2.印紙税
印紙税とは、契約書や証書、受領書などの各種書類を作成する際に発生する税金です。底地を売却する際には、売買契約書に貼り付ける印紙が必要です。印紙税の納税は、収入印紙で行い、契約書に収入印紙を貼り付け、消印を押せば完了です。なお、収入印紙はコンビニや郵便局、法務局などで購入できます。
4-3.譲渡所得税
譲渡所得税とは、不動産売却に伴い発生する所得税と住民税の総称です。譲渡所得税が発生するのは、不動産売却に伴い利益を得た場合のみで、利益がない場合は課税されません。つまり買い値より売り値が上回っていなければ納税義務は生じません。また、譲渡所得が3,000万円以下の場合は免除申請(3000万特別控除)ができます。
4-4.仲介手数料
底地を売却する場合、測量や契約書の作成、登記手続きなどが発生しますが不動産仲介業者を介して契約を締結した場合、その手数料となるのが、仲介手数料です。
不動産仲介手数料は、以下のように上限が定められています。
売買代金 | 仲介手数料(税抜) |
---|---|
200万円以下 | 売買代金×5%以内 |
200万超え、400万円以下 | 売買代金×4%+2万以内 |
400万超え | 売買代金×3%+6万以内 |
5.読者の疑問:底地を売却するときに借地人の承諾は必要?
底地と借地の売却に関しては、民法上の規定がないため、ルール上は借地人の同意なしで売却できます。底地のみを第三者や買取業者に売却する場合は、借地人には特に影響はありません。
ちなみに、借地人が借地権を売却する際は地主の同意を得なければなりません。これは、借地は、借地人が地代を支払うことで契約が成り立っているものであり、土地の所有者である地主は借地人に支払い能力があると判断して貸しているためです。
6.底地を売却するときの注意点
底地の売却にあたっては、いくつかの点に注意しなければなりません。ここでは具体的にどういった注意点があるのか解説します。トラブルを回避するためにも、ぜひ参考にしてください。
a.購入希望者が少ない
底地は、土地の所有者であっても自由に活用できないため、一般的な土地と比べると購入希望者が少なく売却を希望してもすぐに買い手が見つからない可能性もあるでしょう。そのため、売却を検討している場合、底地専門の業者を活用しましょう。専門業者であれば、借地人との間にトラブルが発生しているなど、一般的に買い手を見つけにくい底地でも取り扱ってもらえる可能性があります。
b.共有名義だと売却が非常に困難
底地が共有名義の場合、名義人全員の同意を得られなければ底地全体を売却できないため、売却が困難になる恐れがあります。共有名義とは、複数の名義人で所有している状態のことです。
底地の場合、相続によって兄弟・姉妹が複数人で所有するといったケースが考えられます。例えば、長男が売却を希望しても次男と長女が反対していれば売却はできません。
共有名義は、売却以外にも、税金の負担割合などトラブルにつながりやすいため、早い段階で共有状態を整理する必要があります。具体的な対策としては、他の名義人から持分を買い取り、単独名義にする方法が考えられます。単独名義であれば、自分の意思のみで売却可能です。
c.相続税が高くなる可能性がある
底地を相続で取得した場合、相続税が高くなる可能性があるため注意してください。
底地をはじめとした土地の相続税は、道路ごとに設定された標準価格である「相続税路線価」をベースに算出されます。土地の時価で相続税が決まるわけではないため、市場価格の10~20%程度でしか売却できないような底地でも、税金額が高くなる可能性があります。
そのため、底地を売却しても相続税を払えない相続人は負担が大きすぎて物納する場合も多くあります。底地を相続する可能性のある方は、この点を考慮しておかなければなりません。
7.底地の売却は底地専門の仲介業者がオススメ
底地は、自由度の低さから購入希望者が少ないため、個人で買い手を探していてもなかなか見つからない可能性があります。そのような時は、底地専門の不動産仲介業者の利用を検討してみてください。
底地を売却する際に一般的な不動産買取業者に相談すると、底地の価値の低さから高額で買い取ってもらえない可能性があります。また、買取業者の場合、自社で仕入れるため、利益を得られるように買取価格を安く抑えようとするでしょう。
一方で、底地を専門としている不動産仲介業者の場合、オークション形式で買主を決めるため、購入希望者が複数いる状態となり、より良い条件での売却が可能となります。また、買い手は投資目的などで買うため、借地人と同程度での買い取りが期待できるでしょう。
底地の売却は決して簡単にできるものではありませんが、売却を依頼する業者次第では、スムーズに進む可能性があります。底地を売りたいものの、なかなか買い手が見つからず困っているといった方は、底地専門の仲介業者を利用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、底地の売却に関して、売却までの流れや具体的な売却方法と相場、借地権の種類などについて解説しました。
底地は自由度の低い土地であるため、価値が低く売却が困難になる可能性があります。また、どのような借地権が付着しているかによって売却額が異なるため、注意しなければなりません。
底地の売却をスムーズに行いたい方は、専門業者の利用がオススメです。中央プロパティーは、弁護士と連携しており、底地の売却に伴う借地人とのトラブルにも対応できます。また、士業とも連携していることから手続きにかかる諸費用をかけずに書類の作成が可能です。売却時の仲介手数料もなく、底地の専門ネットワークを持っているため、底地の高額売却が期待できます。
底地の売却を検討している方は、中央プロパティーへご相談ください。
この記事の監修者
社内弁護士
当社の専属弁護士として、相談者の抱えるトラブル解決に向けたサポートをおこなう。
前職では、相続によって想定外に負債を継承し経済的に困窮する相続人への支援を担当。これまでの弁護士キャリアの中では常に相続人に寄り添ってきた相続のプロフェッショナル。