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底地の管理代行業者の選び方とポイント

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底地の管理代行業者の選び方とポイント

1. 底地の管理の代行とは

底地の管理の代行とは、地主が借地人に貸している土地(底地)に関して必要となる管理業務を、地主に代わって専門の不動産業者が行なうことです。

底地の管理は、本来、その所有者である地主が行なうべきものであるとはいえ、複数の底地を有している場合など、底地に関して生じる全ての管理業務を行なうということは、非常に手間がかかりますし、また、ときには、専門的な法律知識や不動産業界の知識が必要とされる場面もあります。

個人での管理業務が行き届かなくなると、底地の収益性が悪化してしまうリスクもあります。

そのような事態を避けるには、専門の不動産業者に管理業務の代行を依頼することが有益です。

2. 管理代行業者に依頼することのメリット

底地の管理業務を業者に依頼することで、管理にかかっていた時間・手間がカットされ、借地人との関係から生じる精神的な負担も軽減されます。また、管理業者の専門性を活用することで、底地の適正な管理が実現できます。

このように、管理代行業者の利用には、地主の立場からみたときに様々なメリットがあります。

2-1 管理にかかる時間・手間の削減

管理業務の代行を依頼した場合、管理にかかる時間や手間を取られなくなります。

その分、底地の管理とは別なことに、ご自身の時間や労力を充てることが可能となります。

例えば、会社にお勤めであったり、地主業とは別に個人で事業をされているような場合は、そちらに注力する余裕が生まれます。

2-2 精神的な負担からの解放

底地の管理においては、地代の値上げや、借地人が契約の更新、借地権譲渡や建物の増改築の承諾を求めてきた際の更新料・承諾料の問題など、多くの場面で借地人との交渉事が発生します。

しかし、中には、そもそも性格的に人との交渉事が苦手だという方もいれば、お金がらみの問題で借地人と揉めて関係が悪化してしまうことが怖いという方も多いかと思います。

特に、長い付き合いがある借地人であればまだ話ができるが、相続を機にたまたま地主・借地人の間柄になったような場合は、お互いの顔すら知らないということも珍しくないでしょう。

そんな時に、管理代行業者が交渉を代行してくれれば、地主は精神的な負担を解消することができます。

2-3 専門性に基づく適正な管理の実現

底地の管理においては、民法や借地借家法(旧借地法・旧借家法含む)をはじめとした法律の知識が必要不可欠です。

さらに、地代や更新料、承諾料の相場や適正価格の算定方法など、不動産特有の知識が問われる場面が多々あります。

しかし、地主自身が必要な専門的知識を全て身に着けて管理に臨むということは非常に困難です。

特に、相続で底地を取得された場合、不動産に関する知識を全く持っていないということも珍しくありません。

管理代行業者に代行を依頼すれば、業者の専門的な知識・ノウハウを活用した、適正な底地の管理が実現できます。

3.管理代行業者に依頼することのデメリット

管理代行業者を利用することのデメリットとは、端的に言えば、管理業者に支払う費用・手数料が発生するということです。

但し、費用・手数料の金額は、業者によってそれぞれ設定が異なりますし、業務内容も様々ですので、最終的には、地主ご自身で、どの業者に依頼するかを判断をする必要があります。

3-1 費用・手数料がかかる

当然のことではありますが、不動産業者に底地の管理代行を依頼すれば、不動産業者に支払うべき費用・手数料がかかることになります。

地主の立場からすると、底地の収益性を考慮した場合、敢えて代行の費用・手数料を支払ってまで底地を管理してもらうことが、割に合わないと感じられるというケースはあり得ます。

特に、代行の費用・手数料が高額であるほど、こうした割高感は強くなるかと思われます。

3-2 業者の選択はご自身で判断する必要がある

底地の管理代行を依頼する業者は、きちんと見極める必要があります。

単純な金額の高い・低いだけで判断するのではなく、その業者の具体的な管理業務の内容も勘案して、経済的な合理性を判断するべきです。

管理業務の費用・手数料の金額は、各不動産業者の判断で設定しているものですが、その業者の具体的な管理業務を見たときに、提示されている費用・手数料が適正な金額と判断できるかが重要です。

金額が高い場合も低い場合も、そこには理由がある筈で、単純に安ければ良いというものでもありません。金額だけを見ていると、安い費用で利益を上げるために肝心の管理をいい加減にしているような業者に依頼してしまう危険もありますので、気を付けましょう。

4. 管理代行業者の依頼を検討するべきケース

底地の管理代行を依頼した方が良いケースは、いくつかあります。

仕事等の都合で底地管理に充てる時間の確保が難しい方、底地の管理に関する知識が乏しい方、借地人との交渉事に強い精神的な負担を感じている方、複数の底地の管理を同時に行なわなければならない方などは、業者に管理業務の代行を依頼することを積極的に検討するべきです。

4-1 管理をしている時間が無い

地主が、専ら地主業のみを営んでおり、底地の管理にだけ専念できる環境にあるというケースは、実際には少ないのではないでしょうか。

多くの場合、、会社に勤めるなど、地主業とは別に仕事をしているのが一般的です。そうなると、おのずと底地の管理に充てられる時間は限られてきます。

特に、管理すべき底地が遠方にあるような場合には、現地を確認するだけでも、多くの時間・費用がかかってしまいます。

かといって、無理に底地の管理に時間を回そうとすると、そのことで今度は別の仕事等に支障が出るリスクもあります。

このような場合は、業者に管理を任せることのメリットが大きいと言えます。

4-2 管理に関する知識が無い

底地の管理においては、前提として必要となる法律の知識や不動産業界の知識が膨大にあり、これらの理解が不十分な状態のまま管理を行なうと、例えば、客観的に適正な地代が現行の地代より高額であるのに、その事実に気づかずに低廉な地代を維持してしまう等、地主の判断1つで、底地の収益性の悪化を招きかねません。

ご自身で専門的な知識・ノウハウを習得している、あるいは積極的に習得する意欲のある地主であれば問題ないですが、知識が無いことで不安を抱えている地主は、専門の業者に任せた方が安全です。

4-3 交渉事が精神的に負担

底地の収益性を高めるには、毎月の地代や契約更新時の更新料、借地権譲渡や増改築等の際の承諾料などの収入を、土地の価格からみて適正な水準にすることが必要であり、そのためには借地人との交渉が必要となります。

ですが、こうした交渉事(特にお金に絡んだシビアな交渉)に慣れていない、自分が矢面に立つことは避けたいと考える地主も多いかと存じます。

特に、地主側あるいは借地人側で相続が発生した場合には、もとの地主と借地人の間では付き合いがあったが、現在の地主と借地人は直接の面識すらないという状況も決して珍しくはありません。

このような地主の場合は、管理代行業者に借地人との交渉を委任することで、精神的な負担から解放されることに、大きなメリットを感じられるかと思います。

4-4 対応するべき底地や借地人が複数ある

管理すべき底地が1箇所のみで、交渉すべき借地人が1人しかいない、というケースであれば、地主ご自身で管理の負担を背負いきれるという可能性はあるかもしれません。

これに対し、管理すべき底地が複数箇所存在し、複数の借地人に同時並行で対応しなければならないケースであると、数が増えるほど、地主のご負担が増大し、手に負えなくなってしまう恐れが高まります。

このような場合は、管理代行業者に一括して委ねる方が適切・丁寧な対応が可能となり、地主の利益につながります。

5. 底地の管理代行業者を選ぶポイント

不動産取引の中でも特に底地案件についての取り扱い実績が豊富であるか、対象となる管理業務の内容・範囲や管理業務に対する費用の金額・算定方法が明確に示されているか等といった観点から、ご自身にとって最適な業者を選択することが大切です。

5-1 管理業務の実績・経験

実は、不動産業者であれば全員が全員、底地の管理業務に精通して長けているというわけではありません。

むしろ、全体としてみれば、底地管理というのは決してメジャーな分野ではなく、一般的な一戸建てやマンションの売買や賃貸の取り扱いはしていても、底地管理については全くあるいは殆ど経験が無いという不動産業者も珍しくはありません。

当然、不動産業の継続年数が長いほど、底地を含めて様々な案件を取り扱う機会があったと言えますが、他方で、単純な継続年数の長短だけでは、その業者が底地の管理に長けているのかどうかはわかりません。

また、トラブルの状況に応じて、あらゆる法律事務の代理等をすることができる社内弁護士がいる管理会社が強く求められている時代でもあります。

事業年数の他、底地管理に絞った取扱件数の多少や、取扱案件全体に占める底地管理案件の割合の大小なども併せて考慮して、業者の選定を行ないましょう。

5-2 管理業務の範囲・内容の明確性

管理代行業者に底地管理を依頼するに当たっては、地主が業者との間で業務委託契約を結ぶことになり、その契約の中で、委任する管理業務(業者が行なってくれる業務)の内容が確定することになります。

このとき、地主として依頼したい業務の一部しか受けてくれない、能力的に受けられない業者は問題ですし、逆に、地主の希望する範囲を超えて一切合切の業務を受けようとする(その分高額な管理報酬を得ようとする)業者も問題です。

特に、自身の対応能力を超えているにもかかわらず、報酬のために過大な業務を引き受けようとする業者に依頼してしまうと、地主が利益どころか損害を被りかねません。

したがって、依頼に当たっては、その業者の担当する業務の範囲・内容が明確にされているかをきちんと確認するべきです。

また、その前提として、ご自身で依頼したい業務の範囲・内容を予め整理しておくのが有用です。

5-3 費用・手数料の明確性

 いくら管理業務の内容が明確でも、それに要する費用の設定が不明確であったり、不適切であっては、最終的な収益性の観点からも望ましくありません。

勿論、管理業務の費用は、まずは各業者がそれぞれの自由な判断で設定・提示し、依頼者である地主から合意を得た上で確定するものでありますが、かといって、任された業務に比して不相当に高額な費用を業者が好き勝手に請求してよい訳ではありません。

業者の提示する費用の設定金額・算定方法が妥当なものか、管理業務の内容とつり合いが取れているかは、よくよく比較検討するべきでしょう。

6. 管理代行業務の内容

代行の対象となる管理業務には、様々な種類のものがあります。

まずは、地代の集金など、基本的な業務内容をご説明した上で、続いて、借地権買取りや底地売却といった、関連する発展的な業務についても解説いたします。

6-1  基本となる管理代行業務

基本となる管理業務としては、地代の集金、滞納者への督促、契約・交渉の代行等が挙げられます。これらは、殆どの管理代行業者において共通する業務の範囲となります。

6-1-1 地代の集金・管理

最も日常的に発生する管理業務としては、借地人からの地代の集金の代行が挙げられます。

また、単純な集金のみではなく、業者が借地人から回収した地代を、地主のご指定の口座に定期的に振り込みをする等、集金後の取り扱いを含めての管理を依頼する形が多いです。

6-1-2   滞納者への督促

借地人が地代を契約通りに支払わずに滞納している場合、代行業者より滞納者に対して、滞納地代の支払いを督促致します。滞納が長期・悪質なケースの場合は、裁判手続の手配をすることもあります。

6-1-3 契約手続の代行

当初契約時の土地賃貸借契約書や、契約更新時の更新契約書、契約内容の一部変更の際の覚書等、管理の過程で必要となる契約手続きを、地主の代理人として代行します。

また、契約書の他、地代の請求書や契約解除時の通知書など、地主の名義で発行する書類全般について作成代行を受ける形も多いです。

6-1-4 借地人との交渉(地代値上げ・更新料・承諾料など)

契約上定めた地代を値上げしたい、契約の更新に当たり更新料を支払ってもらいたい、借地権譲渡や建物の増改築に当たって承諾料を支払ってもらいたい、という場面では、地主に代わって管理業者が借地人と交渉を行ないます。

交渉に当たっては、管理業者が、専門的な知識や近隣の取引データ等を駆使して、適正金額の査定を行ない、妥当な金額での解決を目指します。

6-2 借地権の買取り

以上述べた管理業務は、いずれも「地主と借地人」という関係性を前提とした業務でしたが、一歩進んで、この関係を解消して、完全な所有権を実現することを目指した業務が考えられます。

その1つが、地主が借地人より借地権を買い取るという方法です。借地権を買い取れば、借地権の制約がなくなりますので、地主が自由に土地を利用することが可能となります。

借地権の買取りを希望する場合、借地人と交渉を行ない、借地人から合意を得る必要があります。その交渉から合意締結に至るまでの業務を管理業者に依頼するということが考えられます。

なお、既に借地権の譲渡を検討している借地人であれば、借地人の側から借地権の買取を積極的に打診されるケースも多いです。

そのため、借地権の買取が出来るかは、買取を打診するタイミングも重要になってきます。この見極めも、業者の専門的な目線で判断して貰う方が確実です。

6-3 底地の売却

借地関係を解消するもう1つの方法は、逆に、地主が底地を売却することです。

地主の立場から底地の売却を検討するべきケースとしては、自身が亡くなった後に残された相続人のことを考えた際に、土地が底地の状態のままで残っていると、ただでさえ借地権により利用が制約されている土地が相続人間の共有になってしまい、一層管理が困難になってしまう恐れがある場合等が考えられます。

相続対策という観点からも、底地の売却を業者に依頼できると安心です。

底地の売却先として最優先に考えられるのは借地人です。

借地人からすれば、底地を買取りできれば、完全な所有権を実現できることになるので、底地の買取について最もメリットが大きい立場にあると言えます。

もっとも、借地人の意思や経済的な事情もありますし、話を持ち掛けるタイミングもあります(例えば、契約更新の時期等は、借地人側でも底地買取を検討している可能性が高いと言えます)。このタイミングの見極めも、業者の意見を踏まえて進めるのが宜しいでしょう。

どうしても借地人への売却が難しい場合も、管理業者が売却先(投資家等)を紹介できるネットワークを持っているケースや、あるいは、管理業者自身が底地の買取を検討できる能力・資力があるケースであれば、借地人が買い取る場合より売却金額は下がるものの、一般的な不動産業者に依頼するよりも、底地売却が実現できる可能性が広がります。

関連記事:地主さんのための底地売却マニュアル【無料】ダウンロードはこちら

7.管理代行業務の費用

管理代行業務の費用は、あくまで各業者が独自の判断で設定するものではありますが、一応の目安、相場というものは考えられます。

例えば、日常的な地代集金業務を業者に依頼した場合の一般的な手数料の相場は、月額地代の3~5%程度と言われています。

但し、あくまで大切なのは、実際の業務の内容との関係で費用が見合ったものであるか、という視点であり、単純な金額の高い安いだけで判断するのは危険です。

特に、費用の安さばかりを強調するような業者に対しては、その安い費用でどうやって利益を出すのか、利益を出すためにいい加減な管理をされる恐れがないか、という観点からのチェックも重要です。

まとめ 

以上述べてきましたとおり、地主が適切に底地の管理を行なっていくに当たっては、費用・手数料はかかるものの、弁護士のいる管理代行業者に管理業務を依頼することが地主のメリットとなるケースが多いと言えます。

この点、当社は、底地案件について専門的に取り組んでおり、また、借地人との間の交渉・権利調整の経験も豊富です。まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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