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【2023年最新版】借地権と底地を一緒に同時売却する方法

更新日:
作成日:
コンテンツ番号:14173

【2024年最新版】借地権と底地を一緒に同時売却する方法

「借地権と底地を一緒に売却できると聞いたけど、どんな方法?」

「同時売却する際は費用がかかるの?」

同時売却は高値で売れるメリットなどがありますが、注意点や流れを理解しておく必要があります。また売却時には費用がかかるため、本記事では同時売却のメリットと注意点、手続きの流れと必要な費用について紹介します。

関連記事:借地権の売却交渉で地主に拒否された場合の解決策|弁護士が解説

1. 借地権と底地権

そもそも借地権と底地権の概要が分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのためここではそれぞれの権利内容と同時売却について紹介します。

1-1 借地権とは

借地権とは、土地の所有者(地主)から土地を借りる権利のことです。賃貸物件などと同様に、地主と賃貸借契約を締結し、毎月賃料(地代)を支払うことで土地を使用することができます。土地は地主のものですが、借地の上に建築した建物は、借地人名義になります。

但し、借地権には以下のような特徴があります。

  • 土地の所有権は地主である
  • 地主に対して賃料(地代)を支払う
  • 借地に建てた建物の売却をする際は地主の承諾が必要
  • 建て替えする際は地主の承諾が必要
  • 契約期間満了によって解約する時には更地にして返還する

借地権の最大の特徴は、増改築や売却など、借地上の建物に変更を加える際には、地主の承諾が必須になることです。そのため、購入した完全所有権の土地と比べると、建物の活用に制限があるため、不動産価値は低くなります。

1-2 底地権とは

底地権とは、借地権がついている土地のことです。借地権は借地人が地主の土地を利用することができますが、土地の名義は地主になります。そのため、土地の固定資産税などは地主が納税することになります。その分借地人から地代を徴収することができますが、駐車場などとして貸し出している場合は、建物が建築されていないため底地とは呼びません。底地権は建物を建築している借地権の土地の所有者が保有している権利と認識しておきましょう。

1-3 同時売却とは

同時売却とは借地権と底地を一緒に売却することです。完全所有権の土地として売却できるため、通常の土地と同等の価格で売却することが可能です。

ただし地主の同意がなければ同時売却はできません。地主が「土地を売却したい」という考えになっていないと同意を得るのが難しいというデメリットがあります。

2. 借地権と底地の同時売却のメリット

同時売却は地主の同意を得られなければ難しいですが、実現した場合にはさまざまなメリットが挙げられます。ここでは3つ紹介します。

2-1 売買価格が高額になりやすい

同時売却は借地権のみの売却と比較すると売買価格が高額になりやすいメリットがあります。同時売却は完全所有権の不動産として扱われるため、実際に売買された周辺の土地の価格をもとに金額が確定します。過去の売買事例に関しては地価公示・地価調査・取引価格情報 | 土地総合情報システム | 国土交通省で確認することができます。一方借地権の場合は売買事例も少ないため、相場価格が存在しません。そのため以下の計算式で算出します。

借地権評価額=土地の面積×路線価×借地権割合(30%~90%)

路線価とは1㎡あたりの土地の評価額のことを指し、相続税の計算や金融機関の融資審査などに用いられます。借地権割合とはその土地の権利のうち、借地が何割を占めるかを示す数字です。通常の土地と比較すると借地権は自由度が低いため借地権割合を設けて価格調整しています。そのため同時売却の方が売買価格が高額になりやすい特徴があります。なお、路線価と借地権割合は財産評価基準書で確認することができます。

2-2 購入希望者が集まりやすい

同時売却は完全所有権の土地の扱いになるため、自由度が高まり購入希望者が集まりやすい特徴があります。例えば、住宅ローンを借入する際に土地に設定する抵当権は、借地権の場合は地主の承諾が必要となります。抵当権とは万が一債務者の返済が滞った際、債権者は担保とした土地や建物を差し押さえることができる権利のことを指します。

そのため、地主としてはリスクが高すぎることから抵当権の設定を承諾しないことが一般的です。しかし、同時売却すれば通常の土地という扱いになるため、購入者は自由に抵当権の設定することが可能となり、住宅ローンを組むことができます。さらに毎月の地代などを支払う必要もなくなるため、購入希望者が集まりやすくなるメリットがあります。

2-3 地主への承諾料が不要

同時売却は地主への承諾料が不要なため、売却に伴う費用を抑えることができ、実際に手元に残る売却利益が高額になるメリットがあります。

通常借地権を売却する場合は地主の承諾が必須です。しかし承諾するにあたって、地主へ借地権価格の10%程度の金銭を支払うことが多いです。例えば借地権評価額が3,000万円の場合、300万円を支払って承諾料を得るということになります。もちろん承諾料を請求してこない地主もいらっしゃいますが、地主の立場とすれば大きな承諾料を得ることができるため、請求するのが一般的です。しかし同時売却であれば地主とともに売却することになるため、承諾料は発生しないメリットがあります。

3. 同時売却の注意点

ここでは同時売却を行う際の注意点を2つ紹介します。

3-1  売却代金の分配条件を決めておく

同時売却によって得られる売却代金は、事前に地主と借地人で話し合いを行い分配の割合などの条件を決めておきましょう。一般的な基準として借地権割合分が借地人の取り分、残りが地主の取り分とすることが多いです。例えば売却益が3,000万円で借地権割合が60%の場合、以下のような分配利益になります。

借地人の利益=3,000万円×60%=1,800万円地主の利益=3,000万円×(100%-60%)=1,200万円

上記の通り借地権割合が大きくなると借地人の利益が大きくなるため、不満を持つ地主も多いです。そのため仲介役として専門家である不動産会社に相談しながら分配条件を決めるようにしましょう。

3-2  不可分一体の契約を結ぶ

売却前に地主と借地人の間で不可分一体契約を締結しておきましょう。

不可分一体契約とは、地主または借地人が売買契約を破棄した場合、売買契約が白紙になる契約です。同時売却したものの、途中でどちらかが売却するのをやめた場合、購入者にとっては借地権か底地のどちらかしか取得することができなくなります。

そのためそこで買主の利益を守るべく、売却前に不可分一体で連帯債務を負うように取り決めしておく必要があります。不可分一体は、売買契約書の特約事項に以下のような内容を記載します。

契約の一体性本契約は、○○○○と○○○○との間において令和○年○月○日付売買契約と不可分一体の契約とし、一方の契約が不成立となった場合には本契約も失効するものとします。

売買契約書に記載しておけば、売主である地主と借地人だけでなく、買主側も安心して締結することが可能となるため、忘れないように注意しましょう。

4. 同時売却の流れ

ここでは同時売却の流れについて紹介します。

4-1 地主と借地人の意向確認

地主と借地人の間で同時売却について合意を得る必要があります。合意を得た後は不動産会社へ相談しますが、万が一合意が得られなかった場合は、無理に自身で交渉を進めようとせず、早めに不動産会社へ相談し、代わりに交渉してもらうようにしましょう。いずれにせよ片方が反対していれば売却することはできないため、意思確認を行っておきましょう。

4-2 不動産会社に査定を依頼

地主の同意を得た後は不動産会社に売却査定を依頼しましょう。売却価格がわかれば、地主と借地人が得られる利益がわかります。売却にかかる手数料や税金なども費用も一緒に計算してもらうと手残り金額を想定することが可能です。また、手残り金額が分かった後は、地主と借地人と不動産会社が集まって、「売却代金の分配額」を決めておきましょう。売買契約が完了してから決めてしまうと、金銭トラブルにもなりかねないためです。

4-3 販売活動を開始

査定なども完了した後は、不動産会社が販売活動を開始します。ネット上に「制限のない完全所有権の不動産」として掲載され、購入希望者を募ります。

購入者が現れると「買付申込書または買付証明書」を買主からもらいます。買付申込書とは、売主に対して購入したいという意思表示を表した書類です。書類には購入者の氏名住所などの他に、希望価格と融資特約の有無が記載されています。不動産売買においては、販売価格より安い価格で購入したいという指値をされることが一般的です。そのため買主の希望価格に納得できるか確認しましょう。

また融資特約とは「買主がローンなどを借りて購入する場合、ローンの審査が非承認となった場合は売買契約は白紙撤回する」という特約です。指値同様不動産の売買においては一般的ですが、ローンが通らなければ新たな購入希望者も見つける必要があるため、売却するのにも時間がかかることを意味します。とはいえ不動産を購入する方の多くはローンを利用しているため、問題なければ、買付申込書に同意したということで売渡承諾書を買主へ提出しましょう。

4-4 売買契約の締結と決済

希望価格などに問題なければ、売主、買主、不動産仲介業者が集まって売買契約を締結します。売買契約では契約内容の説明と重要事項説明をうけ、問題なければ署名・捺印します。

買主は売買契約書をもってローンの本審査に移行するため、この段階では融資の可否がわかっていません。そのため売買契約時には代金をもらうことができず、そのかわり手付金を受領します。無事買主のローン審査が認可された後は決済を行い、残代金を受領する流れとなります。

4-5 賃貸借契約の終了

決済が完了するタイミングで土地の所有権は買主に移行するため、地主との土地賃貸借契約が終了となります。

5.同時売却にかかる費用

同時売却する際はさまざまな費用が発生するため、事前に計算し、手残り金額を算出しておくことが大切です。そのためここでは同時売却にかかる費用を紹介します。

必要な費用費用支払うタイミング
仲介手数料(売買価格×3%+6万円)×消費税売買契約時に50%・決済時に50%もしくは決済時100%
印紙税売買代金による(数万円程度)売買契約時
抵当権抹消費用1000円(司法書士に依頼する場合1万∼5万円)決済時
譲渡所得税所得税額(短期) = 売却益 × 30.63%所得税額(長期) = 売却益 × 15.315%確定申告後
解体費用100万円~300万円(建物の構造や規模による)解体後(決済後)
測量費用10万円~100万円(土地による)測量完了後
土壌汚染対策費用20万円~60万円土壌汚染対策後

5-1 仲介手数料

買主と売買契約を締結した際、仲介役をしてくれた不動産会社に支払う手数料です。仲介手数料は「(売買価格×3%+ 6万円)×消費税」で算出できますが、同時売却の場合は地主と折半することが一般的です。また支払タイミングは不動産会社によって異なり、「売買契約時に50%・決済時に50%もしくは決済時100%」となります。売買契約時に支払うとなると、売買代金を受け取る前となるため、自己資金で支払わなければいけません。決して安い価格ではないため事前に確認しておきましょう。

5-2 印紙税

売買契約書に添付する印紙は売買価格によって以下の表の通り定められています。

契約金額本則税率軽減税率(平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるもの)
10万円を超え 
50万円以下のもの
400円200円
50万円を超え
100万円以下のもの
1千円500円
100万円を超え
500万円以下のもの
2千円1千円
500万円を超え
1千万円以下のもの
1万円5千円
1千万円を超え
5千万円以下のもの
2万円1万円
5千万円を超え 
1億円以下のもの
6万円3万円
1億円を超え 
5億円以下のもの
10万円6万円
5億円を超え 
10億円以下のもの
20万円16万円
10億円を超え 
50億円以下のもの
40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円

出展:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁 

印紙は郵便局や銀行などで購入することが可能です。不動産会社が立て替えて用意してくれる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

5-3 抵当権抹消費用

借地人は建物に、地主は土地に抵当権が設定されている場合は抹消しなければいけません。抹消しないと買主が新たな抵当権を設定することができないためです。抹消するには残債務を完済する必要がありますが、受け取った売買代金で完済しても問題ありません。既に完済している方は司法書士に依頼し、抵当権抹消登記を行いましょう。

5-4  譲渡所得税

同時売却して売却利益が生じた場合は譲渡所得税が課せられます。譲渡所得税は不動産を所有していた期間が5年未満の場合、短期譲渡に該当し、売却利益に対して計39.63%の税率を掛けた金額を納税します。一方5年以上の場合は長期譲渡に該当し、計20.315%の税率を掛けた金額を納税します。ただし譲渡所得税は仲介手数料や印紙税などを売却利益から差し引くことができるうえ、複雑な計算式であることから不動産会社などの専門家に相談して算出しましょう。

5-5 その他

その他としては「解体費用」や「測量費」、「土壌汚染対策費用」などさまざまな費用が掛かるケースがあります。全ての同時売却にかかるわけではないうえ、土地や建物によって価格が大きく異なります。自身ですべて見積もりを取るとなると、非常に時間と労力がかかってしまうため、仲介会社へ相談しましょう。

 まとめ

借地権と底地の同時売却は、高値で売却できるメリットがあります。借地権だけとなると価格も安くなってしまううえ、土地の自由度の低さから購入希望者が見つかりにくくなります。とはいえ、地主への交渉が必要なため、借地権などを専門としている不動産会社に相談し、代行して交渉してもらうようにしましょう。

当社は借地権を専門に取り扱う不動産会社として、これまで多くの売却サポートを行ってきた実績もあります。また仲介手数料も無料でご対応させて頂いているため、これから借地権の売却を検討している方はぜひ中央プロパティーへご相談くださいませ。

関連記事:【弁護士Q&A】地主から借地を買い取りたいです

この記事の監修者

松原 昌洙マツバラ マサアキ

代表取締役 /
宅地建物取引士

CENTURY21中央プロパティー代表取締役。静岡県出身。宅地建物取引士。都内金融機関、不動産会社を経て2011年に株式会社中央プロパティーを設立。借地権を始めとした不動産トラブル・空き家問題の解決と不動産売買の専門家。主な著書に「[図解]実家の相続、今からトラブルなく準備する方法を不動産相続のプロがやさしく解説します!」などがある。

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